あのとき飲んだ酒なんだっけ?を解決してくれるiPhoneアプリ「SakeLover」をリリースしました! 〜 その開発の経緯と裏側、今後について

あのとき飲んだ酒なんだっけ?を解決してくれるiPhoneアプリ「SakeLover」をリリースしました! 〜 その開発の経緯と裏側、今後について

先日、ソニックガーデンで初めてのiPhoneアプリ「SakeLover」をリリースしました。

SakeLover は、日本酒好きのためのアプリで「あのとき飲んだ酒なんだっけ?」を解決してくれます。

美味しいお酒を飲んだとき、その時は感動してるんだけど、後から思い出せずにそのままになってしまうことがありますよね。そうした美味しいお酒との出会いを、飲んだお酒の感想はもちろん、瓶のラベルや料理写真を「アルバム」として登録できます。

SakeLoverアプリのコンセプトについては、以下のムービーを作ったので、そちらをご覧頂ければわかるかと思います。

おかげさまで大変好評を頂いていて、瞬間風速ですがアプリストアのフードカテゴリの4位までいくことができました。ブログやニュースでも取り上げて頂くなど、とても良いスタートをきることが出来ました。ありがとうございます。

なかでも東京の地酒である澤乃井を作られてる小澤酒蔵さんのブログでも紹介頂けたのはとても嬉しい出来事でした。

アプリそのものについては、皆さんの記事で紹介もして頂いているので、私の書くこの記事では、ソニックガーデンの中から見たSakeLoverについて書いてみたいと思います。

初めて尽くしの取り組み

SakeLoverは、ソニックガーデンとしては様々な点で新しい取り組みばかりでした。

これまでにMessageLeafというサービスを出してはいましたが、本当のコンシューマをターゲットにするiPhoneアプリを作るということは、初めてのことです。そのために技術的にも、RubyMotionとObjective-Cに取り組むことになったのですが、これも初めてです。

そして、このSakeLoverの企画はプログラマからの発案ということで、私のアイデア以外でソニックガーデンのブランドから製品・サービスを出すというのも初めてのことでした。

SakeLoverというのは、私たちにとっては、かなり実験的で挑戦的なプロジェクトだった訳です。

プロジェクトが始まったきっかけ

最初のきっかけは、ソニックガーデンのプログラマの @mah_lab のアイデアからでした。当初はワインにハマっていた彼は、飲んだワインを記録していけるアプリが欲しいと言っていました。

しかし、エンジニアが一人だけでは、作っただけで満足したり、リリース後のプロモーションが出来なかったり、作る所までいかずに技術を調べて満足したりする可能性が高いと考えました。

そこで、AnkiBlankの開発でプロダクトオーナーとして一緒に開発してくれたダヴィンチウェアさんに協力を頼み、今回はソニックガーデンの開発に協力してもらうことにしました。

人を巻き込むことが情熱を絶やさないポイントのひとつですね。

ちょうど、ダヴィンチさんは日本酒にハマっているということで、日本酒でいけるなら協力しましょう、ということで、 @mah_lab のこだわりはどこへやら、一瞬でワインから日本酒へ早速ピボットして、プロジェクトがスタートしました。

仮説検証と技術検証

そうして始まったプロジェクトですが、最初から今のアプリの形を考えていた訳ではありません。そもそも最初のアイデアが正しいかどうか、そこから検証をしていくことになります。

本当にお酒を記録したくなるか、記録する際の動線はどういったものか、酔っぱらっても使う気になるものか、色々な観点を確認するために、フィールドワークと称して何度も3人で呑みにいったものです。

技術的には、初めてのiPhoneアプリを作るにあたり、Rubyしか出来ない我々がどうするか、と考えて最初に選んだのが「RubyMotion」という技術です。 @mah_lab が色々と調べてプロトタイプを作ってみたのですが、色々とノウハウが足りず、断念しました。

結局、Objective-Cを使ってネイティブのアプリを作ることになります。もしかして @mah_lab がRubyMotionに飽きただけなんじゃないかと勘ぐっていますが、採用技術を変更した理由は彼がいずれブログに書くでしょう。

ミッションとビジョン

仮説検証を何度か繰り返しつつ、プロトタイプを改善しつつ、方向性を固めていく中で、徐々に手応えを感じるようになってきます。

ただ、それでも開発を続けていくということは大変なことなので、挫けそうになったり、なぁなぁのまま自然消滅していくようなプロジェクトを見てきた経験から、Whyを考えることにしました。ミッションとビジョンです。

なぜこのプロジェクトをやっているのか、それが必要です。将来的な収益は勿論、事業として成立させることも目指していますが、ただそれだけでは目の前の仕事の方が良いに決まっています。金銭面だけでない取り組む意義が必要なんです。

そうして考えたミッションとビジョンが以下です。

ミッション:日本酒の美味しさを世界に広める

ビジョン:日本の文化を、日本人がアプリにして海外に紹介していくことで、日本の酒蔵を盛り上げ、日本酒の良さを多くの人に知ってもらっている。

リリースと謝辞

今年に入ってリリースに向けて佳境に入ります。

デザインを改めて美しくデコレーションするために入ってもらったのが、「ズルいデザイン」で有名な赤塚さん。赤塚さんのおかげで、それまでの無機質だった見た目が一気にカッコ良くなりました。ありがとうございます。赤塚さんには名刺カードも作ってもらいました。

iPhoneアイコンは、ダヴィンチさんの昔からの知り合いである @Jacminik さんに作って頂きました。かなりリアルで良いシズル感が出ています。ありがとうございます。

そして、テストユーザとしてご協力頂いた皆さん、ありがとうございました。

そして、これからご利用頂くユーザの皆さまもありがとうございます。

SakeLoverの今後について

今回のリリースでは、iPhone版を最初に、そして、ローカルでだけ動作するアプリとしてローンチしました。これは、SakeLoverのビジョンに向けた最初の一歩で、ひとつめのマーケットでの検証のためのローンチです。

なので、今回だけで終わる訳ではありません。今後は、Android版も出していきますし、サーバサイドも充実させることで、オンラインで繋がるような仕組みも作っていきます。

ただ、それにしても全ての機能を作ってからでは、仮説が膨らみすぎると判断し、今の段階でローンチしました。

事業化についても考えています。今時点での仮説としての事業プランがあった上での今回のファーストリリースではあったのですが、これも、一歩進んだことでまた見直しをしつつ進めていくことになると思います。


なぜソニックガーデンがお酒のアプリを?

最後によく聞かれることでもありますが、ソニックガーデンとして何故SakeLoverか?ということですが、ソニックガーデンでは、受託開発を事業の半分として実施しながら、半分は新しい事業に投資していくという経営スタイルをとっています。

これは、「とりあえず」でやっている訳ではなく、事業のポートフォリオとして考えているので、しっかりとこの形を続けていくつもりです。

よく、受託をしながらでは出来ない、とか、受託と新事業の相性はよくない、とか言われていますが、「納品のない受託開発」というスタイルを採用している私たちの場合、仕事時間の100%を受託にとられてしまうような働き方にはなりませんし、普段から言われたものだけを作っている訳ではないので、プログラマにはソフトウェアを企画する力があります。

そして、新しい事業を興すには、一度のチャレンジでうまくいく保証なんてないので、何度もチャレンジできることが大事だと思っています。うまくいかなかった経験を次に活かせるような環境をつくることが大事です。その都度、起業してたら日本では大変です。

部門のような単位で分けるのではなく、ひとりのプログラマの働く時間で50%は受託を行い、50%は新規事業に取り組むことで、何度もチャレンジできることを実現しています。どちらも真剣に取り組んでいます。

今のご時世、どんなアイデアが当たるかわからないもので、上司や社長が判断するのは難しい。少しでも取り組む価値のあるアイデアであれば、臆せずチャレンジできる環境を整えることが、会社と経営のできることだと考えています。

シュートは打たなければ、ゴールは決まらない。私たちにとって、SakeLoverの今回のローンチはひとつのシュートだったということです。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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