about me: 2011年12月アーカイブ

2011年ふりかえり

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2011年は色々と転機になる年になりました。
振り返ってみると、2011年の私の漢字は「起」でした。

社内ベンチャーだったSonicGardenをMBOして、株式会社ソニックガーデンを起業したのが最も大きな変化ですね。会社を退職するという経験も産まれて初めてしましたし、自分の会社を持つということも初めてでした。


1年前の今頃には、すでに会社を作る企画は動き出していたので、今年の動きは自分自身で驚きがあるかというと、元々の想定からそこまで大きく違ったというとそんなことはないですが、結果としては想定よりも一層前向きに進んだように思います。

今年はこれまで以上に沢山ブログを書いた年でもありました。沢山アクセスを頂いた記事を1位から5位まで紹介しながら、ふりかえってみたいと思います。

1位:モチベーションの源泉:何のために働くのか、転職か起業か

この記事を書いたのは7月7日で、事業のMBOが成立するまでは非公開だったのですが、既に株式会社ソニックガーデンを設立した後だったんですね。今回は起業するにあたって、一人で始める訳ではなく、仲間とともに立ち上げたんですが、仲間たちのモチベーションの源泉を深く考える機会があり、それを記事にしたのでした。とても頼もしい仲間たちがいたからこそ、起業することが出来たと思っています。

2位:オフェンシブな開発〜「納品しない受託開発」にみるソフトウェア受託開発の未来

起業するにあたって、やはり自分がずっと考え続けてきたソフトウェア開発の理想的なあり方を追求したいと思い、仲間たちやお客様とディスカッションを繰り返し、考え抜いて作り出したのが「納品のない受託開発」という「ソフトウェアパートナーシップモデル」でした。このビジネスモデルがあったからこそ起業できたとも言えますし、起業したからこそ、このビジネスモデルが実践できているとも言えます。

3位:写経で身につけるプログラミングの基本

SonicGardenではコンサルティング事業の一環として教育事業も行っています。アジャイル開発やRubyでのプログラミング、クラウドでの運用経験などを身につけてもらうものですが、少し普通の教育プランと違うのは、研修スタイルでも、コーチングのスタイルでもなく、SonicGardenのオフィスにきてもらってOJT形式で、一緒に働く中で身につけてもらうというものです。そのOJTの中で考えたことを記事にしました。

4位:『国境なきプログラマ』を目指す~ノマドワークの究極のかたち

SonicGardenのプログラマは、本人の希望によってはノマドでタイムフリーな働きかたが可能です。その最たる事例を紹介したのが、この記事です。海外で働きたいという本人の希望があり、アイルランドに移住しつつ、SonicGardenの仕事をしてもらうというスタイルを実現させました。このスタイルは、これまでの組織の形や契約形態では実現しえなかったことかもしれません。これも起業したことで得られたことの一つです。

5位:株式会社ソニックガーデンを設立しました〜退職から独立の経緯と起業への思い

独立をして株式会社ソニックガーデンの設立が出来たことが、今年の一番の出来事として残っています。私自身は、経営者として大きな賭けに出るタイプではなく、石橋をしっかり叩いてから新しいことに挑戦するタイプだと認識しています。なので、それほど大きな賭けで起業した訳ではないですが、それでも思い切ったことには違いありませんでした。

私が成し遂げたいビジョンのために起業する選択とその実現まで辿り着けたのは、多くの方との出会いがあったからで、厳しい意見や暖かい応援、どれもが私の中で力になっています。

今年もありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。

良いお年を。

先日、2011年冬の「ビジョン合宿」に行ってきました。SonicGardenでは、半年に1度くらいに全員で合宿に行くようにしています。これは、よくある「開発合宿」ではなく、あえてパソコンを使わずに自分たちの会社の経営や戦略やビジョンについて徹底的に語り合う合宿で、私たちは「ビジョン合宿」と呼んでいます。


ずっと以前は開発合宿をしていた時期もあったのですが、あれは結局は日常の仕事がそれほどエキサイティングでなかったり、日々の仕事場では会議や電話取りなどがあって開発に没頭できないなどの理由があればこそ価値があったのかもしれません。しかし今の私たちの開発スタイルは、毎日が無駄な会議もなく開発に没頭できるようになっており、もはや毎日が開発合宿のような状態になってしまったので、あえて開発をするためだけに合宿をする必要はなくなったのでした。

そうして開発合宿は必要なくなったのですが、開発合宿中に朝昼晩と一緒にご飯を食べたり、お風呂に入ったりしながら話をする時間というのは、実はチームで一体感をもつのに大事な要素でした。そこで「ビジョン合宿」と称して、徹底的に語り合うことだけをする合宿を定期的に開催するようにしたのです。

どんな場所とスケジュールだったか

今回の合宿では、三浦半島にあるマホロバホテルを利用しました。5名部屋を予約しましたが、部屋は非常に広く、会議用のスペースとディスカッションできる円卓があり、ホワイトボードのレンタルも出来て、とても集中して議論ができる環境でした。そして、京急で品川から1時間でいけるというのも大きなポイントで、午前中から議論を開始できます。また食事も美味しく、三浦海岸のマホロバは今までいくつも行った合宿場所の中で、一番よかったと思います。おすすめです。

特に、部屋の中にある円卓のテーブルが議論をする際に非常によかったです。四角いテーブルではなく、全員がお互いのことを見て話すことができる円卓は、全員が対等に発言できる権利をもっているような印象を与えてくれて、とても活発な議論ができたように思います。今度オフィスを移転する際は、ぜひ部屋の真ん中に円卓をおけるような広さのところを検討したいと思うほどでした。

当日の朝に現地集合し、まるまる一日中ディスカッションできるようにスケジュールを組みました。マホロバは午前中からの早めのチェックインも対応してくれました。昼食と休憩は挟むとはいえ10時から18時までのディスカッションは相当ハードですが、普段そこまですることがないので、合宿ならではということで徹底的にやっています。18時からは風呂に入って食事、レクリエーション、そして宴会で一日目が終わります。2日目は、9時から11時まで最後のまとめとふりかえりを行い、それでホテルをあとにしました。

ディスカッションでの気づき

SonicGardenでは普段から情報共有やビジョンについても話し合ったりしていますが、それでも本人の成長や環境の変化などがあって、少しずつズレたり思うところが出てきたりするものなので、定期的にそうした思いをチームで共有して、改めてチームのビジョンを自分のものにする必要があると考えています。それがビジョン合宿の目的になります。

午前の部では「ビジョンの共有」というテーマです。SonicGardenは7月が期初めなので、この12月末で上期が終わるというタイミングでもあるので、先ず最初は、会社の上期終わっての顧客獲得数や売上高、コスト、利益などといった計数についての共有を行います。基本的にプログラマに対しても、計数情報はすべて社内ではオープンにして誰でも見えるようにするという方針でやっているので、いつでも見えるのですが、あえてプログラマが数字を毎日意識することはないので、こういう機会に説明して共有します。プログラマも数字を理解し意識することで、普段の働きかたの中から全体を意識した行動ができるようになると考えています。

会社の計数を共有したら、そこからビジョンの共有に入っていきます。具体的にはSonicGardenのコーポレートサイトに書かれている内容を改めて読み返しつつ、それについてのディスカッションを交わしていきます。このビジョンの共有のタイミングで、以前からのお決まりですが、社長である私はその議論に参加しないというのをやっています。議論に参加しないだけでなく、部屋からも出て行ってしまって、そこでの議論は聞かないようにしています。これは、やはり普段だったら言えないことを言えるようにするというのと、ビジョンの共有と言うとどうしてもトップダウンに伝えることにしてしまいがちなんですが、それでは腹に落ちないことも多いので、自分たちで考えてもらって認識のあってるところ違ってるところを共有してもらうというやり方をとっています。

なので、午前中は私は三浦海岸をぶらぶら散歩などしてました。

ディスカッションのポイント

午前中のビジョンの共有のポイントは「成果を出そうとしない」ということで、それを最初に明言しておき、全員が言いたいことが言えたら良いというようにしています。ついつい会社の議論だと成果や正解を出そうとしてしまいがちですが、そもそもその前提となるところ、思いの部分の共有はロジカルに理解することよりも、もっと泥臭いやり方の方がしっかりと共有できるものだと思います。

午後は2つのテーマで話し合ってもらいました。「競合に勝つにはどうすればいいか?」と「新しいサービスを生み出すには?」というテーマです。このテーマ出しだけは私がやりますが、そこから先の議論は、午前と同じくみんなで考えてもらいます。午後はさすがに部屋から追い出されることはないのですが、それでもみんなに考えて話してもらうことが大事なので、なるべく私が発言しないようにしないといけません。ただし、発言しない人が同じテーブルにいたら気を使ってしまうので、私はここはあえてだいぶ離れた場所で、議論を聞きながら仕事をしていました。私は各人が話してる様子を見ることで、会社がどういう状態かを把握しようとします。

午後のディスカッションのポイントは「時間をきってしまうこと」ということで、必ずしもベストな回答が出なくても時間がくればまとめるようにします。そうしないとずっと考えてしまうことになるし、長いこと考えたからといって良い答えが出る訳ではないので、時間を決めておき、その時間がきたら議論は終了させます。

宴会とレクリエーション

風呂の後は宴会です。今回の合宿は年の暮れということもあり、会社の忘年会も兼ねてます。こうしてお酒が飲めるというのも、ビジョン合宿の良いところです。開発合宿で来ていたころは、合宿中になんとか作らないとという気持ちばかりで、夜にお酒飲むとかできなかったものでした。

宴会のあとは、恒例になっていますが卓球大会をしてから、続きは部屋飲みです。ウノをしたりスティックボムをしたり、楽しく夜は更けていきます。部屋で呑むといいのは、そのまま寝てしまえることですよね。

ソニックガーデン検定の実施

SonicGardenでは人月ではないので、プログラマの生産性については個人個人が別々であるという前提でいます。なので、ルールを用意して生産性を揃えることは考えていません。とはいえ、それぞれのプログラマの生産性はどれほどのものか、というのは常に把握していなければいけません。そこで、一つの試みとして、ソニックガーデン検定を実施しました。

今回のソニックガーデン検定は、合宿の15日ほど前から、ある特定のアプリケーションを全員でいっせいに別々に開発を行い、そのお披露目を合宿で行うというものです。同じアプリを、同じ制限時間の中で開発することで、それぞれの持ち味や性質などがわかるようになるという狙いです。

今回は、Foursqareをモチーフにしました。すでにあるサービスの完コピを課題にすれば、仕様をどうするかで悩む必要はないですし、外から使ってみながら内部のモデル構造を考えながら作らないといけないので、データモデルを考える訓練にもなります。バンドで言うと耳コピみたいなものでしょうか。

4人のプログラマでエントリしましたが、四者四様のプログラムが出来上がり、発表はかなり楽しめました。全員が12時間以内程度で、iPhone用のインタフェースでのチェックインが出来るような一通りのものが出来上がったのを見るのは心強い思いでした。

ふりかえりと宣言大会

2日目の午前中の9時からチェックアウトの11時までは、合宿そのもののふりかえりと、宣言発表を行います。合宿1日目の午後に話し合った経営戦略について、具体的なアクションとしてどうするかをまとめます。2日目の午前は、私も参加します。ようやく円卓に入って一緒に話をします。特に、みんながまとめてくれた意見に対して、私としてはどう考えているかを話しをします。

一通りのまとめとふりかえりが出来たところで、次は各自で次の半年にすることの宣言をします。宣言のフレームとしては「この半年間でわかったことは何か?」それを受けて「次の半年にやることは何か?」そのために「みんなに協力してほしいことは何か?」の3つです。最後の「みんなへのお願い」があるのが、ひとりでやるわけじゃない感じがして気に入っています。

大企業ならともかく、ベンチャーや小さな会社の場合、ビジョンの共有などといったまどろっこしいことはあまりしなくても、わかりあえて進めていくことは出来るかもしれませんが、私としては、小さい組織だからこそ話し合うことが大事だと思っています。

こうした合宿は必ずしもすぐに成果が出るものでもないので、ついおろそかにしがちですが、人が一緒に働く上で、お互いの気持ちや考えていることなんかをしっかり共有しておくことは、情報共有なんかよりもずっと大事なことなんです。

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  • 倉貫 義人
  • SonicGarden 代表取締役社長
  • ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。日々アジャイルソフトウェア開発とリーンスタートアップを実践しています。クラウドを活用したワークスタイルの変革を目指しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」がモットーです。
  • 詳しいプロフィール
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