不惑:惑わず生きていくために30代で身につけておきたい4つの悟りと経験

不惑:惑わず生きていくために30代で身につけておきたい4つの悟りと経験

「不惑」とは、「四十にして惑わず」という、かの有名な孔子の言葉らしいですね。

色々と迷いながら生きてきたとしても、40歳くらいになったら惑わずに生きたいものです。惑わずに生きていくために、30代までのうちに気付き、その気付きからこうした経験を詰んでおいたら良いんじゃないかと思うことを、今回は記事にしました。

As Far as the Eye Can See
As Far as the Eye Can See / “Caveman Chuck” Coker

絶対にうまくいく正解などない

もしも新しいことに挑戦しようとするときや、これまで経験したことのない未知の領域に取り組むとき、若いうちは、つい正解や正しいやり方を求めようとしていました。

そういえば、私に相談に来られる方にも、どうすればアジャイル開発が出来ますか、という答えを求めてくる方が多いです。しかし、そこに答えはなく、参考になる事例や考えかたの根底は伝えられても、ルーチンワークではないのですから、それぞれに違う状況ごとに、自分の頭で考えるしかないのです。

そう、新しいことに取り組むときに、絶対にうまくいく正解などないのです。無情にも、その立場にいる自分で考えるしかありません。正解などないからこそ、取り組むべき価値があり、解決して喜ぶ人がいるのでしょう。

正解のない問題を解決するには、そのときそのときの状況に応じて、思考停止をせずに自分の頭で考えて、失敗しながらも改善を続けていくしかありません。

それを続けることで得られるのは、どんな苦難や困難が立ち塞がったとしても、仲間と一緒に工夫さえすれば乗り越えられるんだという経験です。それは、少しメタな視点で見た経験値です。

「まぁ、問題が起きても、なんとかなるよ」と思える経験を詰んでおくことです。そのためには、仕事をする上で起きうる問題に対して、逃げずに乗り越えていくということが大事になると思います。

待っていても救世主は現れない

もしも事業の責任者をすることになれば、そこで事業に必要な、自分が理想と思うスキルセットが、自分自身や自分のチームに足りないと感じるときがあるでしょう。

そうしたとき、○○が出来る人がジョインさえしてくれれば、みたいなことを考えがちです。そして、わからない分野については、ついスーパーマンのような人を求めることになります。そういえば、CTO募集がよくないという記事が話題になりましたね。

たとえば私たちソニックガーデンの場合は、逆に、エンジニアリングには強みがありましたが、マーケティングはそんなに上手じゃありません。だから何でも出来るマーケターがいればなぁ、と夢見る時期もありました。しかし、無情にもそんな人はいくら待っても現れることはないのです。

急にスーパーな救世主が現れて救ってくれるなんてことはないので、少しずつでも自分たちで経験を積んで、出来ることを広げ、知っていることを増やしていくしかありません。最初は未熟でも良いのです。そして、チームで分担しながら成長していけば良いのでしょう。

大事なことは、たとえ最初は未熟であっても、一緒に苦難にも立ち向かってくれて、そこから経験を積んで共に成長してくれるチームをつくることでしょう。

世の中にただでうまい話はない

救世主を待つ話に通じますが、自分たちよりも圧倒的にレベルの高い人を仲間に入れるには、やはりそれ相応のコストを支払う必要があります。だから難しいのです。つまり、なんの対価も支払わずに何かを得ることなどないのです。

世の中のすべては基本的には等価交換です。ただ、そこで支払うものはお金には限りません。たとえば将来の可能性を支払うことで今なにかを得ることも出来るでしょうし、時間をかけるという支払い方もあれば、精神的な自由を支払うこともあるかもしれません。恩を売る、という言葉もあります。

たとえば、ベンチャーキャピタルから投資を受けて資金調達を成功したとして、それは別にただで貰えた訳ではないでしょう。その資金調達をするために、相応の時間をかけて説明や交渉という努力をしたはずで、それが対価であり、また、出資されたということは、必ず大きくして返す必要が出てくる訳で、将来に渡る精神的な束縛を対価として支払ったとも言えます。

無情ですが、そんなに世の中に本当にうまい話はないわけです。

ただし一方で、時間という対価をうまく支払うことで得られることは沢山あります。たとえば、ただ漫然と過ごす一年と、何か目標にむけて少しずつでも努力した一年、結果を見ると大きな差が生まれることになります。なんでもすぐには結果は出ませんが、少しずつの積み重ねが大きな差を産むことはよくあることです。

ダイエットがうまくいった人、スポーツが上手な人、音楽が出来る人、英語が話せる人など、他人を羨ましく思うこともありますが、それは、それだけの時間という対価を支払った結果なのでしょう。ブログなんかもそうかもしれません。一気に読者を増やすことも記事を増やすことも出来ません。少しずつの結果です。

少し先を見据えて、少しずつでも投資をしていくのです。ここでいう投資はお金でもあり、時間でもあります。経験を得るための時間です。時間が過ぎても何もしていなければ何も得られません。ゼロをいくら積み重ねてもゼロのままです。人も組織も急には変われないのです。

人は思った通りに動いてくれない

社会に出て数年の若い頃、何か会社で経費を使ったり、新しいツールを導入したりするときに、上司を説得するのが大変で、面倒なことだと思っていました。私がいたのはそこそこ大きな会社だったので、稟議書のような手続きを踏まなければいけないことも面倒に思っていたものです。

それでも、その会社で自分の主張を通して生きていくためには、上司や周囲を説得することは必要なことだったので、組織の中でずっと取り組んできました。その経験を通じてわかってきたのは、なにも意地悪で反対されている訳ではなく、きちんとした説明さえすれば、話は通るんだということです。稟議書だって、上手に使えばwin-winになるためのコミュニケーションツールになるのです。

そうして説明や説得をすることの重要さを知ってから、部下や社員を持つようになって気付いたのです。説明や説得はなにも上司や顧客に対してだけするものではなくて、部下や社員にもする必要なものだということにです。

指示命令で働かせたところで、納得感のない仕事は雑になりますし、生産性も上がりません。なにより指示命令だけで働かせることを続ければ、指示命令を待って働くだけのチームになってしまいます。そんなチーム、誰も望んでいないですよね。

人はそう簡単には思った通りに動いてくれないものです。

ソニックガーデンでは、社長や副社長から社員へのお願いはあっても指示はありません。お願いであるならば、その理由など納得できるように説明しなければいけません。とても面倒ですが、人と人の関係とは本来そういうものです。

相手が誰であろうと、説明して説得するスキルを身につけておきたいものです。

不惑

今、自分の置かれた環境や支えてくれる周囲の方々に感謝をしつつ、幸運だけに頼るのではなく、自らの力で自然体で切り開けると信じること、ではないでしょうか。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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