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第一回 プログラマの道を極めた先に見える景色

プログラマのキャリアを考えたとき、経験を重ねた先は管理職、もしくは独立してフリーランスといった選択肢がほとんどです。

しかし、どちらもプログラマとして腕を磨き続けることが難しい環境です。 そんな状況だからこそ、会社に所属しながら、ずっとプログラマを続けられる「第三の道」を選んだ方々に、プログラマを一生の仕事にした先に見える景色を語っていただきました。

第1回の対談相手は、ソニックガーデンに入社して8年目のベテランプログラマ、遠藤大介さんです。

小学校の卒業文集に「夢はプログラマになること」と書くくらい、根っからのプログラム好き。いろいろな技術の流れを追いかけるのが好きで、いつも新しい技術で遊び続けている遠藤さんは、まさに「遊ぶように働く」を体現している人でもあります。

ソニックガーデンでのこれまでを振り返りながら、プログラマとしての戦い方を語りました。(全4回)


開発だけじゃなく、ビジネスの構想から関わるプログラマへ

倉貫の顔倉貫
ソニックガーデンでは、私とプログラマのみんなで定期的に1on1をしていて、YWT(やったこと、わかったこと、次にやること)を話すんだけど、この前の遠藤さんの1on1では、ソニックガーデンで働いてきた10年間をふりかえってもらったんだよね。
遠藤の顔遠藤
久しぶりに倉貫さんとゆっくり話ができて、楽しかったですよ。
倉貫の顔倉貫
そのときの話に、すごく感動して。遠藤さんは「プログラマの道を極めた先の景色を知っている人」だなって思ったんだよね。
遠藤の顔遠藤
「プログラマの道を極めた先の景色を知ってる人」。たしかに、プログラマとして頑張るほど楽しくなってますね。今が一番楽しい。
倉貫の顔倉貫
楽しいよね。プログラミングが好きで、プログラマとしてのキャリアを続けたいと思う人はいる。でも、ある程度の年齢になったとき、どうやってプログラマとしての楽しさを仕事の中に見つけていくのかが、多くの人にとっての悩みになってるんじゃないかな。
遠藤の顔遠藤
一般的には、プログラマって「要件通りに開発する仕事」の印象があるから、そこをキャリアのゴールだと捉えると、楽しさもどこかで頭打ちになってしまう。

でも、プログラマの活躍の場って、もっとたくさんあると思うんですよね。

僕は「要件通りに開発する」だけじゃなくて、お客さんとビジネスの構想から一緒に考えたい。さらに、その構想を実現可能、かつ、きれいな形でソフトウェアに落とすところまで、自分でやり続けたいと思ってるんです。
僕にとっては、そういう全部をひっくるめた仕事が「プログラマ」なんですよね。
倉貫の顔倉貫
遠藤さんは、お客さんから「新しいビジネスを一緒に考えてほしい」って相談してもらえる関係性を築けてるよね。 それって、本当に技術者冥利に尽きる仕事の頼まれ方だと思う。
遠藤の顔遠藤
そうですね。自分が思い描いていたプログラマとしての理想的な働き方が実現できてるなって感じがします。
倉貫の顔倉貫
遠藤さんが思い描いていた「理想のプログラマ像」って、どんなプログラマだったの?
遠藤の顔遠藤
イメージしてたのは、ビジネスを考えている人とプログラマが、二人三脚でワイワイガヤガヤしながら頑張る働き方。
個人的には、大人数よりも少数精鋭で回すのが好きっていうのもあります。

あとは、技術者として大事なことが追求できて、かつ、それがビジネスの成長につながる環境で働けたらいいなとも思ってましたね。
倉貫の顔倉貫
技術者として大事なことって?
遠藤の顔遠藤
僕は、自分の腕を磨くこと、効率化することだと思ってます。
倉貫の顔倉貫
なるほど。「二人三脚」「少数精鋭」は、ソニックガーデンのビジネスモデルのキーワードだよね。
遠藤の顔遠藤
今のお客さんとの関係性は、僕が理想としてきたビジネスサイドと開発が二人三脚で働く究極型だなって思ってます。お客さんと直接話しながら、自分の指先だけで想像を超えるようなものが作っていける。それって最高に楽しいじゃないですか。
倉貫の顔倉貫
こんなに楽しそうに働いてる遠藤さんの存在って、プログラマにとって希望だよね。ソニックガーデンが目指してきた「プログラマとして理想的な働き方」が実を結んだんだなって。経営者としても素直に「あぁ、よかった」って嬉しい。
遠藤の顔遠藤
もはや、遊んでんのか仕事なのか線引きが難しいくらいですけど(笑)

技術者として頑張るほど、自分の首がしまる矛盾

倉貫の顔倉貫
とはいえ、遠藤さんもソニックガーデンに入社した当初は、いろいろと苦労をしていたよね。 さっき「理想のプログラマ像」の話をしたけど、そもそもどういう経験からそういう考えになったの?
遠藤の顔遠藤
僕は昔からソフトを作りたいと思ってたので、大学を卒業して、ガラケーのサイトを作る仕事を始めたんです。
当時は開発については右も左もわからない状態だったから、とりあえずがむしゃらに働いてました。そこである程度働いたら、企画を「考える人」と「つくる人」、2つの役割があるんだなぁって気づいたんです。

でも、なぜか「考える人」と「つくる人」がそんなに仲良くなくて。
倉貫の顔倉貫
「仲良くなかった」っていうのは、ちょっと壁がある感じ?
遠藤の顔遠藤
考える人の案が技術的に難しそうなとき、つくる人は他の案を提案しますよね。決して案を否定してるわけじゃないのに、その意図をうまく伝えられなくて「開発の人は冷たい」「お願いしたことやってくれない」って思われることがありました。
倉貫の顔倉貫
それで、お互いの認識がズレて、壁ができてしまうと。
遠藤の顔遠藤
「なんでうまくいかないんだろうな」ってずっと思ってました。「みんなが一丸になって仕事できたらいいのに」って。
倉貫の顔倉貫
なるほど。
遠藤の顔遠藤
そういうモヤモヤした気持ち以外にも、技術者にとって大事なことをするほど売上が減っていく矛盾した構造にも気がつきました。 僕はさっきも言ったとおり、技術者にとって大事なことは、腕を磨くことや効率化することだと思ってるんです。

でも、技術者として頑張るほど、自分の首がしまるんですよ。人月単価での見積もりは、効率化して作業時間が減れば、売り上げも減る。
倉貫の顔倉貫
そうだよね。
遠藤の顔遠藤
そんなときに、たまたまソニックガーデンの「納品のない受託開発」を知ったんです。

納品のない受託開発は月額定額だから、技術力の向上や効率化を追求しても売上が減らない。いい意味で「作ることを約束しない」で、お客さんと絶えず話し合いながら一緒に方向性を決めていく感じも、僕にとってはすごく理想的でした。
倉貫の顔倉貫
私ももともとプログラマだから、自分がやりたい開発環境・開発プロセスを目指す中で納品のない受託開発やソニックガーデンを作ってきたんだよね。

少数のできる人たちで回す、お客さんとプログラマが直接やりとりをして一緒に働く形が絶対にいい。そう思って、ソニックガーデンにはそれが実現できる開発環境を実装した。
それが、遠藤さんの「理想のプログラマ像」にフィットしたのかな。
遠藤の顔遠藤
こんなきれいに当てはまる会社がある?と思いましたよ。そこは、運命を感じましたね(笑)

「正解のある世界」と、「正解のない世界」

倉貫の顔倉貫
遠藤さんは、ソニックガーデンに入社して何年目になるんだっけ?
遠藤の顔遠藤
8年目に入ったところですね。
倉貫の顔倉貫
納品のない受託開発を約10年やってきた中で、どんな気付きがあった?
遠藤の顔遠藤
そうですね、ひとつは「戦い方を変えなきゃいけない」ことですかね。
倉貫の顔倉貫
「戦い方を変えなきゃいけない」。どういうことだろう?
遠藤の顔遠藤
ソニックガーデンに入る前までは、お客さんに「正解」を確認してから作るのが一番王道で、間違いのない仕事のやり方だったんです。

「正解」も難しい言葉ですけど、要するに決まりがある世界だったんですよね。僕はこれまで仕様書や要件定義で形が決まってるものを、いかにきれいに作るかという仕事をしてきたんです。
でも、ソニックガーデンでそのやり方をすると、逆にお客さんが困ってしまうケースが多くて。そこではじめて、「世の中って正解がないんだ」と気づきました。
倉貫の顔倉貫
そうだね。特にソニックガーデンの場合は、新規事業に取り組むお客さんが多いから、そもそも何を作るとユーザーにうけるのかも、わからない。

仕様書や要件定義が正解かは置いといて、「これをこうします」と決まりがある世界と、それが全く決まってない世界では戦い方が違うよね。
遠藤の顔遠藤
僕は「正解のある世界」で仕事をしてきて、その中で効率よく戦う術は身につけてたから、ソニックガーデンに入社した当初もその戦い方をしようとしたんです。
だから、当時は倉貫さんに何度も「正解なんてないよ」って言われましたよね。でも、「これでいいですか?」って確認して進めるのが癖になってたんです。
倉貫の顔倉貫
ソニックガーデンのプログラマにお客さんが求めることは、単にコードを書くことではなくて、お客さんが新規事業を暗中模索している段階から一緒に考えて、それをソフトウェアで実現していくことだと思ってます。すごく難しいことではあるけど、それこそがプログラマの価値だと思っているし、ソニックガーデンのプログラマが目指す姿でもある。
遠藤の顔遠藤
納品のない受託開発で正解を当てに行く姿勢でいると、それは実現できないですよね。でも、どっちに行けばいいか全くわからない「正解のない世界」で戦う術を僕は知らなかった。
「正解のある世界」と「正解のない世界」の差が想像以上に大きくて、自分なりの戦い方を見つけるまでかなり苦しみました。「あれ、俺どうすればいいんだ?」って。

自分にとって理想のプログラマ像を目指し、ソニックガーデンと出会い、技術者として腕を磨くことに集中できる環境を手に入れたはずが、思い描いていた理想がうまく実現できない苦労を経験してきたという遠藤さん。 自身のそれまでの経験が通用しない苦節の日々の中で、少しずつ「正解のない世界」での戦い方が見えてきます。

遠藤さんが「納品のない受託開発」を10年やってきたからこそたどり着いた一つの答えは、「開発者の帽子を脱いだほうがうまくいく」ということでした。

(第2回につづきます。)

文=小野寺ちひろ(ソニックガーデン)/編集=マチコマキ

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