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第三回 Give it a try. ( とりあえずやってみよう)

プログラマのキャリアを考えたとき、経験を重ねた先は管理職、もしくは独立してフリーランスといった選択肢がほとんどです。

しかし、どちらもプログラマとして腕を磨き続けることが難しい環境です。 そんな状況だからこそ、会社に所属しながら、ずっとプログラマを続けられる「第三の道」を選んだ方々に、プログラマを一生の仕事にした先に見える景色を語っていただきました。

今回の対談相手は、2012年に入社した伊藤淳一さんです。

Amazonレビュー100件を超える「プロを目指す人のためのRuby入門」(2017年)を上梓、フィヨルドブートキャンプのメンターを務めるなど、プログラマとしての社外活動にも積極的な伊藤さん。ソニックガーデンでのこれまでを振り返りながら、プログラマとして生きていく魅力を語りました。


ソニックガーデンへ入社し、プログラミングの腕を磨き続けている伊藤さん。体験したことや感じたことは、すべて自身のブログ「give IT a try」に綴ってきました。その投稿数は、約12年間で850件以上。そしてブログだけでなく、書籍の執筆やセミナーの登壇、イベントの参加と、伊藤さんは仕事以外の活動も積極的です。社長対談のラストとなる第3回では、伊藤さんがこれからやりたいことや活動の原動力を聞きました。

プログラミングスクール問題は悩ましい

倉貫の顔倉貫
これからの5年後、10年後。伊藤さんは、どんなことをやりたいですか。
伊藤の顔伊藤
開発の仕事をしながら、社会を良くするような活動に関わっていきたいなと思ってます。
倉貫の顔倉貫
社会を良くする活動って?
伊藤の顔伊藤
人から喜ばれたり感謝されたりする仕事がしたいし、自分のやった仕事で社会が良くなってほしいし、将来子どもたちが幸せに暮らせる世の中にしたい。仕事だけでなく、そういったことにつながる活動かな。
倉貫の顔倉貫
相手も良し、世間も良し、自分も良しの三方良しみたいな。自分さえ良ければいいではなく、みんなが幸せがいいよね。
伊藤の顔伊藤
そうですね。仕事の場合は、やっぱり利益も大切ですし。それで最近気になってるのは、プログラマという職業のこれからです。

今って、プログラマに対する世間の視線が、だいぶ変わってきましたよね。ソニックガーデンに入社した頃、僕は「プログラマをかっこいい仕事にしたい」と思ってました。今は、子どもが憧れる仕事の1つになっていて、僕もブログなどで微力ながら貢献できたかもと考えています。
倉貫の顔倉貫
プログラマを取り巻く環境は、変化したね。昔は、「キツい」「帰れない」と言われて、 35歳定年説とか、まことしやかに語られていたし。今は、リモートワークしやすい仕事としても挙げられるようになった。

伊藤の顔伊藤
一方で、安易に「プログラマになろう」とうながすビジネスが誕生してきたのは、どうかなぁと。
倉貫の顔倉貫
さすがにね、一部のプログラミングスクールが言う「半年でプログラマーになって年収××万円」は、現実的ではないと思います。

例えるなら、「英会話教室に半年くらい通って、通訳の仕事ができます」と言ってるようなことと同じだよね。日常会話はできるだろうけど、プロフェッショナルな通訳に必要なスキルは違う。プログラマも、同じです。
伊藤の顔伊藤
プログラマが素晴らしい仕事、憧れる職業となり、目指したいと考える人が増えるのはいいことです。でも、スクールを卒業して実務経験が少ないままでは、スキルに応じた仕事しかできないから、理想とする憧れのプログラマ像とはほど遠くなる。結果、「あれ?こんなはずじゃなかった」という人を生むのは、不幸ですよね。そういったミスマッチはなくしたい。

なので今は副業として、僕がここは信頼できるなと思っているプログラミングスクールで、メンターをやっています。時間はかかったけれど、実際に就職できた生徒さんもいますし、社会を良くすることにつながっているといいなと考えてます。

やっぱり、社会を良くするような仕事や活動をしていることは誇りだし、自信にもなります。そうやって筋が通って迷いがなければ、人生は良い方向に進んでいくと思うので。

プログラミング文化を根付かせたい

倉貫の顔倉貫
やっぱり、プログラミングって楽しいものだし、せっかくプログラミングに触れる機会が増えているから、楽しむ人がたくさん出てきてほしいよね。実はソニックガーデンは、創業10周年を迎えての次の10年、プログラマの裾野を広げたいと考えているんです。

具体的にはまだ決めていないけれど、プログラミング=仕事ではなくて、カルチャースクールのレッスンみたいに楽しむ人を増やしたい。プログラミングの追求だけでなく、プログラミング文化を根付かせる活動だね。
伊藤の顔伊藤
野球で言うところの、草野球とプロ野球、メジャーリーグみたいな。
倉貫の顔倉貫
さらにサッカーで例えるなら、Jリーグがあって、選手を目指す人もいれば、子どものクラブもあり、応援する、試合観戦を楽しむ人たちもいる。選手以外にもサッカーに触れている人口が多いんです。プログラミングも、それが理想。

趣味でも下手でもいいから、プログラミングを楽しむ人が増えると、よりプロフェッショナルなプログラマへの憧れも募るだろうし、目に見えないシステムやサービスへの関心も深まると期待したいところです。
伊藤の顔伊藤
僕が今後取り組みたいこととも、重なりますね。
倉貫の顔倉貫
そうでしょう?私たちは、「納品のない受託開発」というオリジナルのビジネスで起業して、10年続いてきた。事業規模も、起業当初より10倍ぐらいに成長しました。「やってきたな」の自信は当然あるし、これからも事業規模は大きくなっていくでしょう。でも、次の10年を考えたときに、ただ事業を拡大していくことは、まったく面白くないんですよ。
伊藤の顔伊藤
一緒に納品のない受託開発をやりたいっていうプログラマも増えてほしいけど、そこだけじゃないですよね。
倉貫の顔倉貫
そう。私たちは数字を追いかけて事業規模を拡大したわけじゃなくて、プログラミングを一生の仕事にする、そのためにやるべきことを続けてきたんです。結果、今の成長にたどり着いた。その延長線上で考えたとき、次に私たちがやることは、プログラマの裾野を広げることだと思っています。

「とりあえずやってみる」の精神と、物事を達成する3つの鍵

倉貫の顔倉貫
社会を良くする活動と言えば、伊藤さんは奥さんと一緒に、働き方や子育てに関するスピーカーとして、イベントなどに登壇してるよね。テレビ取材を受けたこともあるし。
伊藤の顔伊藤
そうですね。この間も、地元の中学校で行われた講演会へ妻と一緒に呼ばれましたね。妻は自宅の敷地内で週末だけのパン屋をやっているので、女性の起業について聞かれる機会も多いです。
倉貫の顔倉貫
プログラミングとは関係ないところでも、社会に貢献してる。そういったエピソードも、すべて伊藤さんのブログにまとまっているじゃない?ブログは2009年の12月1日から始まってるけど、どんなモチベーションで書いているの。
伊藤の顔伊藤
基本は業界への恩返し、みたいなつもりです。プログラミングを始めた頃に、分からないことを調べてネットで見つけて、「助かるな〜」と思ったことがあったんですよ。だから、誰かの役に立つと良いなの気持ちで書き続けてきました。
倉貫の顔倉貫
ブログのタイトルは、「give IT a try」。「とりあえずやってみよう」の意味。
伊藤の顔伊藤
何事も、やってみなきゃわからないですからね。やらずに終わるよりは、やってみてダメだったと思うほうが、まだすっきりするかなと。だから「これいいかも」と思ったら、僕は「とりあえずやってみっか」と行動に移してみるタイプです。
倉貫の顔倉貫
なるほど。現在の伊藤さんがあるのも、「プログラミングやってみよう」からだよね。

伊藤さんは、プログラマのキャリアとしても年齢的にも、若い人から相談を受けることがあると思います。たとえば、20代後半くらいの人にキャリア相談をされたら、どんなふうに答える?

伊藤の顔伊藤
そうだなぁ・・・。僕の場合は、「こうなりたい」「こうしたい」というゴールがあるとき、今の自分が「ゴールに対してどのくらいの場所にいるのか?」の距離を自分なりに測って、そのギャップを埋めていくことをシミュレーションしてます。

近いならあと1ステップで行けるし、遠いなら、その距離をさらにいくつかのステップに分けて、1つずつ進んでいく。そんなふうに、「自分の状況と理想をイメージして、ギャップを埋めてみたら?」みたいにアドバイスするかもしれませんね。あと、物事を達成するためには、3つの鍵があると考えてます。
倉貫の顔倉貫
3つの鍵?
伊藤の顔伊藤
努力と勇気、そして運の3つですね。たとえば「お金持ちになりたい」だったら、努力は必要だけど、努力さえしていれば到達するとも限らないですよね。リスクを取らなきゃいけないようなことが、絶対あると思うんですよ。

失敗するとちょっと痛い目を見るけど、うまくいけば荒稼ぎできるタイミングが現れたとき、そこをびびらずに「えいっ」と乗り切れる勇気も必要。そして、運。リスクが成功するか失敗するかも運です。
倉貫の顔倉貫
努力と勇気、そして運。その上で、「やってみよう」なんだね。
伊藤の顔伊藤
あとは、人生って思いもよらぬところで、思いもよらない人との縁がある。自分自身も、偶然うまくいったことがたくさんありますよ。奥さんのパン屋も、実家の土地があったから始めやすかったし。そのあたりは、自分でコントロールできない要素だと思うんです。

でも、努力してれば、運も引き寄せやすいだろうし、リスクを取って勇気を出すことが成功に繋がると思ってます。運はどうしようもないけれど、無茶をせずに、努力や勇気をバランス良くかな。
倉貫の顔倉貫
うんうん、ありがとう。今回あらためて話をしたおかげで、伊藤さんとの思い出を振り返ったり、これからを考えることができました。

先ほど、「プログラミングの裾野を広げたい」と言いましたが、そのためにも社会に対して発信をしていき、知ってもらうことが大切。そこでね、ぜひ伊藤さんが持つ発信の力を貸していただきたいです。今後とも、よろしくお願いします。

以上で、2人の対談を終わります。 次回は、7月より当社の新しく執行役員となった野上誠司と、倉貫との対談を公開予定です。

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