組織が大きくなってきて、若い人も入ってきて、色々な職種が混在するようになってきて、いよいよ規則や制度を作らねばと考えた一年だった。
組織における規則の重要さについて、とても学べた。一方で、果たして本当に規則がないといけないのかも考えた。規則より大事なことは何か。
それは「ふりかえり」では。個々人で内省することも、先輩や上司からのフィードバックありきの内省も含めて、修正と学びの機会があること。
規則があることで、アンフェアなことも起きず、問題も事前に防ぐことができる。厳密であればあるほど、間違いが起きなくすることができる。
だけど、間違いがないってことは、失敗もなくなり、組織や業績は安定するかもしれないけれど、そのかわりに学びの機会が失われていないか。
人は、自分の意思で考えて行動したことでしか学べない。それがたとえ失敗でも成功でも。つまり「自分でつかんだ答えなら、一生忘れない」。
規則や制度、ビジネスモデルで人を守っているように見えて、育つ機会を奪っていやしないか。時には、はみ出ることで学ぶこともあるのでは。
大事なことは「ふりかえり」を欠かさないこと。それも、頻度を高くして、周りからフィードバックする。そうすると失敗ではなく学びになる。
ふりかえりが文化にまでなっていれば、厳密な規則がなくても、時間はかかるけれど、価値観は揃い、大きな間違いは起こらないのではないか。
組織が大きくなったから規則が必要になるのではなく、スケールに対して効率を求めるから規則が有効なのではないか。効率を忘れたらどうか。
いちいち考えたり、間違いに対して是正したり、違う考えをすり合わせたり、効率は良くないけれど、長い目でみたら、強い組織にならないか。
ふりかえりだけはしっかりと根付かせる。それさえあれば、自分たちで考える力が身につくし、ケースバイケースでこそ変化に対応していける。
もちろん法令を破ることの無いように、周囲に過大な迷惑をかけたり、誰かをひどく傷つけるようなこともないよう、規則として制定しておく。
規則や制度が悪いわけではない。とても大事で欠かせないけれど、規則があるからと思考停止にならず、チャレンジしやすい風土にしたかった。
そういえば、ソニックガーデンにはコードレビューはあるけどコーディング規約がない。常に更新され、今が最高のコードを書けるからが理由。
これに通じるものがある。私たちの指針は、すぐ目の前に、最初からあったんだな。
仕事をするときに、指示された仕事よりも、任された方がやる気が出る。というのは道理だけれど、そもそも任して良いかどうか判断が入る。
誰かと働くとき、仕事を頼む側と頼まれる側には、力量や経験や視野の違いがあり、互いのことを知ってるかも含めて関係性には段階がある。
たとえば新卒で入社したばかりだと、まず仕事は、任されるより指示されることが多い。これはまだ任して良いかわからないから仕方がない。
指示された仕事でも、真摯に前向きに取り組んで成果を出していけば、その姿勢を見ることで信頼関係はできて、仕事を任されるようになる。
仕事を任されるようになったら次は、どうすればより成果を出せるのか考える。その中で自分の強みや軸を見つけ、磨いて発信していくこと。
自分の軸が確立して強みを周りに知られるようになると、今度は周りの人から頼られるようになる。この分野はこの人に頼ろうとなっていく。
頼られる人になれば、独立してフリーランスでもやっていけるし、会社にいても自立して強い立場でいられる。生殺与奪の権を自分で持てる。
互いの強みを活かして頼り、頼られることでチームや仲間になれる。頼られたことに期待を越えて応えていくことで、社内外に評判が広がる。
最終的に、ひとかどの人物になって一目おかれるようになっていけば、何か新しいプロジェクトなどあった時に、誘ってもらえるようになる。
もはや仕事として頼られるというよりも、損得なしで一緒に遊ぶ感じで誘ってもらえて、それが良い経験になったり、仕事に繋がったりする。
そこまでいくと、仕事か遊びかわからないし、仕事相手か友人かわからなくなるけれど、自分の強みを活かして楽しく働ける。自由な働き方。
自立や自由が良いと望むとしても、それを環境に求めるのではなく、自分自身で期待を超えた成果をあげていけば、段階的に手に入っていく。
どうすれば自由に楽しく働けるかを考えたり悩むよりも、どうすれば卓越した成果を出せるのかを考えた方が、いずれ自由に働けるのかもね。
アオアシ最新刊を読んでからの、アオアシ本を読みます!サブタイトルが良いですね。アオアシは育成に携わる人は読んで欲しい。
最近、私としては若手プログラマの育成に携わり、改めて感じることが、『自分で掴んだ答えは一生忘れない』という劇中の言葉。
たとえば仕事に対するスタンス。上司から言われた仕事だと思って取り組んでいる限り、そこから得られるものは限りなく少ない。
面白くなさそうな仕事であったり、一見キャリアに繋がらなそうな仕事であったり、そうした自分の望む仕事じゃないこともある。
そうした時にさえ、自分の仕事だと考えられれば、どうすればより成果が出せるのか、学べることはないか、前向きに取り組める。
どんな仕事でも、テーマを持って頭を使って一生懸命に取り組めば、何かしら得られるものはある。それが次のチャンスに繋がる。
こうしたことを、どれだけ説明しても、懸命に伝えても、人は変わりはしない。人は知識を教えられるだけでは変わることはない。
だけど、自分で考え、気付き、自分なりの覚悟を持つことができれば、その人の仕事ぶりは大きく変わる。周りからの目も変わる。
前向きな人には仕事を任せられる。仕事は任せられるようになると面白くなる。任せてもらえるためには、自分で気付くしかない。
面白い仕事が与えられないと不平をもらしているからと、育成を担うマネージャは、面白いと思う仕事を渡そうとしてはいけない。
そんなことをすれば、その先も誰かに与えられる環境でしか生きていけなくなる。与えられるだけの人は、ずっと不満を言うはず。
だから、自分で気付いてもらうしかない。マネージャは真摯に成果を求め続けることしかできない。葛藤から気付くのは自分だけ。
『自分で掴んだ答えは一生忘れない』