自律型のリモートチームがチームワークの質を高めるためにやってきた3つの取り組み

自律型のリモートチームがチームワークの質を高めるためにやってきた3つの取り組み

私たちが提供している「納品のない受託開発」というサービスでは、お客さまの「顧問プログラマ」という形で、顧問税理士や顧問弁護士のようにずっとパートナーとして、ビジネスの成長を技術から支える仕事をしています。

そして、リモートワークを推奨していたり、セルフマネジメントを主体とした「管理のない会社経営」を標榜していることもあって、私たちソニックガーデンは一匹狼の集まりのように誤解されることもありますが、決してそんなことはありません。

実際のところ私たちの働きかたは、とてもチームワークを重視し、チームで価値を提供することを大事にしています。この記事では、私たちの考えるチームのあり方と、チームワークの質を高めるために取り組んでいることについて書きました。

一人で出来るからといって一人で背負うことはない

「顧問プログラマ」に求められるのは、お客さまの相談役として、いかなる相談にも乗れるように開発するソフトウェアの全てを把握していることです。また、一人当たりの出せる価値を最大化するために、工程による役割分担を廃止し、すべての工程を担当することを仕事としています。

私たちソニックガーデンにおいて、一人前と呼ばれる段階になるためには、全ての工程について一通りできることが前提になります。だからと言って全ての工程を必ずしもたった一人でこなさなければならない訳ではありません。お客さまからは顧問でも、社内ではチームの一員なのです。

一人の人間に完璧さを求めることは現実的ではありません。人には得意不得意があって当然です。一人の人間が全ての苦手をなくして、また病気すらせず1日たりとも休まずに仕事を担当することも無理があります。そうした課題を解決するためチームとして助け合いカバーをするのです。

よくサッカーに例えるのですが、プロのフットボールプレイヤーとなれば、ドリブルもシュートもトラップも出来て当然です。その上で得意なポジションがあって、そこで本領を発揮しつつも、お互いにカバーしあって相手のゴールに向かうのです。私たちの考えるチームも同じことです。

チームならお客さまには安定と安心を提供できる

私たちがチームで仕事をすることで、お客さまにとってより高い価値を提供することができます。顧問プログラマという仕事は属人的な仕事で、だからこそ価値があるので、それ自体は良いと考えていますが、かといって人に依存して発生するリスクへの対策をしていない訳ではありません。

チーム内で扱う技術要素は共通化して前提知識を揃えること、一定レベル以上の認定をするまで顧問の仕事をさせないこと、ソースコードは必ず共有した上でコードレビューを通じて品質を高めることなどの取り組みによって、継続できなくなるリスクをチームで回避するようにしています。

お客さまがエンジニアの社員を雇うなり、フリーランスと契約するなりしても、その人たちがいずれいなくなる可能性は避けられません。私たちを顧問として契約をして頂ければ、会社としてサービスを提供するため、私たちが倒産したりしない限りは、いなくなるということはありません。

また、内製をしている場合はエンジニアの得意不得意に対処するときに問題が発生します。不得意な部分をカバーするためにもう一人雇うとなると2倍のコストがかかってしまいます。私たちはチームで対応するため、状況に応じてそれぞれ得意なメンバーがサポートに入ることができます。

チームとして場所は離れていても同じ時間帯に働く

お互いに助け合って共通の目標に向かうために大事にしていることは、いつでも相談しあえる状態にしておく、ということです。チーム内にも関わらず、受発注をするような関係性ではチームで働いているとは言えません。それこそ外注先で個人事業主の集まりみたいになってしまいます。

チームであるということは、利害関係を超えて助け合えるかどうか、という点こそが重要だと考えています。時には、自分の仕事を差し置いてでも仲間が困っていたら助ける、そういう関係がチームです。いつでも相談できるようにするために、私たちは働く時間を揃えるようにしています。

私たちソニックガーデンでは、リモートワークを推奨しているため、多くのメンバーが在宅勤務としてオフィスに来ることなく仕事をしています。ただし、仕事の時間帯だけは同じ時間帯で働くのです。物理的な距離を埋めるツールはありますが、タイムラグを埋めることは難しいからです。

私たちの考えるチームとしてのリモートワーク、オフィスで働くのと変わらないチームワークを実現するために、仕事中は「Remotty」を開いたままで、いつでも仲間と繋がるようにしています。その結果わかったことは、チームワークにとって大事なことは場所より時間ということでした。

担当のお客さまが違っても同じ職業に就く仲間がいる

「納品のない受託開発」を遂行するチームとしては、ひとりひとりが一流の「顧問プログラマ」として高い価値を出せるように成長していきたいという志をもって集まっています。チームは仕事の上で助け合うだけでなく、お互いに刺激を受けて切磋琢磨しあっていく環境でもあるのです。

顧問プログラマとしては、お互いに助け合いつつも、それぞれに担当のお客さまを持っています。チームの全員で同じお客さまやプロジェクトに入るということはありませんが、お客さまは違っても携わる立場や、するべきミッションは同じです。同じ職業に就いていることが共通項です。

私たちの仕事は問題解決をすることなので、それぞれの仕事に再現性はありません。あるお客さまで通用した手段が、別のお客さまに通用するとは限らないのです。抱える状況は千差万別です。だからこそ、それぞれの持つ暗黙知を持ち寄って、ナレッジを共有することに価値があります。

抱える状況は違っても同じ職業に就く仲間がいて、それぞれの目指す先、同じ目線を持った仲間がいるというチームは、話をしても共通の話題で盛り上がることができます。一人でも生きていく力を持っている人たちが仲間として支え合うからこそ、より高みを目指すことができるのです。

経歴は違っていても同じ価値観を持った人を採用する

自律型チームの特徴のひとつは、仕事の判断を上司に仰ぐことができないという点があります。もちろん仲間に相談はできますが、決めるのは自分です。何にせよ自分自身で判断しなければならず、誰かが決めてくれるということはありません。その拠り所になるのがチームの価値観です。

会社としてのルールや制度で縛るよりも、共通の価値観のもとで、それぞれが自律的に動いて判断を問われたときに各自が責任をもって判断することで、圧倒的な生産性の高さを実現することができます。逆に、価値観が違えば、どれだけ高い能力を持っていても持て余すことになります。

足りないスキルは高めることはできますが、価値観を変えることは難しいことです。つまり、価値観の近しい人を採用することしかないと考えています。私たちは中途採用の際に、履歴書を見ることはありません。その人がどんな経歴を持っているかよりも、どんな価値観かを重視します。

そのためにも、採用過程において私のブログを読んでもらうことにしています。社長である私のブログには、私たちの価値観が詰まっています。そこで違和感を感じるか共感を覚えるか、一つの判断材料です。チームの価値観を明文化することは、チームワークにとって大事なことでした。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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