会議室がない?!チームの生産性を高めるオフィスの作りかた

会議室がない?!チームの生産性を高めるオフィスの作りかた

先日、私たちソニックガーデンはオフィスを移転しました。移転するにあたり、新しいオフィスの内装やレイアウトを検討したんですが、そのことは改めてオフィスとチームの生産性の関係について、じっくりと考える良い機会となりました。

この記事では、チーム活動における生産性とオフィスのレイアウトについて考えてみたことを書いています。

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在宅勤務かオフィス勤務か

ソニックガーデンでは、在宅勤務を許可していて、実際に社員の1名は地元の兵庫県の自宅でずっと在宅勤務をしています。また、ある社員は海外に行きたいということで、1年間の海外生活をしながらリモートで、通常の仕事をこなしていました。以下の記事で、その様子がわかります。

そうした働きかたを実現するためのインフラとして全てのツールや環境は、インターネットとクラウドに置いて共有をしたり、離れていても気軽に話せるような社員同士の信頼関係を普段から醸成したりするようにしてきました。

そんな訳で、私たちの働きかたを考えたら、東京近辺に在住の社員であっても自宅勤務は可能です。なので、豪雨が降ったり、台風が来たり、雪が降ったりすると、彼らは出社せずに自宅で仕事をします。また、お子さんが熱を出したり、家庭の事情があったりしたときも自宅で仕事をします。

しかし、それでもなんでもない日は会社に来て仕事をしています。一度、オフィスの移転を考えたときに、オフィスをなくしてしまって、全員が「ノマド」な感じで仕事をすれば良いんじゃないかと検討したこともあります。しかし、そのときの答えは「チーム活動にやはりオフィスは必要」というものでした。参考:仕事をするのにオフィスはいるのか?

「ただ勤務するための場所」としてのオフィスというよりも、普段から近くにいて「閃きを共有できる空間」としてのオフィスが必要だと考えたのです。

 

また、在宅勤務でも良いけれど、実際のところずっと家にいると、家族から声をかけられてしまって集中できなかったり、うまくオンとオフを切り替えられなかったりして、結局、外に出てコワーキングスペースやカフェに行くことになったりするそうです。それならば、その行く場所はオフィスでも良いんじゃないか、という発想です。

なので、在宅勤務でもカフェでもいい人たちにオフィスに来てもらうことを考えてみるなら、そこで強制的に出社しなければいけないようなルールを作るのではなく、どこよりも快適に働ける環境を作ってあげれば、オフィスに自主的に来てくれるはずだと考えています。

私たちソニックガーデンで言えば、プログラマを中心とした会社で、実際に毎日仕事をして、お金を稼いでくれるのは彼らなので、プログラマたちの環境を一番にすることが大事です。プログラマには大きめのディスプレイと、座り心地の良い椅子を用意する一方で、社長には社長室も社長席もありません。だけど、それで良いんです。

そんな働きやすい環境をつくるのも経営者の仕事のひとつです。

会議室で仕事をするという経験

私は以前から、チームで働くときの生産性を下げる要因は「会議」ではないか、と考えていました。大企業で働いた経験から言えば、ここで言う「会議」というのは、参加者の時間を調整して、会議室を予約して、全員が揃う場、です。時間と場所と人に制約があり、実際に開催されると、その3つが拘束される訳です。

決まった時間にならないと相談できないことも、場所を移動しないと話ができないことも、人が集まらないと物事が決められないことも、どれも、それって実はかなりのムダを産んでいるのではないでしょうか。

 

その「会議」という制約をなくすにはどうすればいいか。私たちが考えたアイデアの一つが「会議室をなくしてしまう」ということでした。

チームで働く上で、打ち合わせをすること自体は大事なことです。会議室のホワイトボードなどのファシリティも便利なものです。さて、普段の仕事場を離れて合宿をすると生産性があがるのは何故でしょうか?会議室を借り切ってチームで仕事をすると、普段よりも仕事が捗ったという経験はありませんか?

 

ソニックガーデンが社内ベンチャーだった頃は専用のオフィスもなかったので、本社の会議室を一室借りて、みんなで集まってそこで仕事をするようにしていました。

会議室で仕事をしていると、打ち合わせを始めたいときは声をかければすぐに始まるし、終わればまたすぐに自分の仕事に戻れる。移動コストはほぼ無しです。そうなると、普段から打ち合わせをしているのか、自分の作業をしているのか、その境界が非常に曖昧な状態になってきます。

普通に考えると、そういう状態は生産性を落としそうな気がしてしまいますが、実はそうでもなかったんです。

もしかすると、ただ黙々と手を動かせば良いだけの仕事だったら、そんな環境では問題があったかもしれません。しかし、私たちがしているのは新規事業だったり、ソフトウェアの開発だったりといったクリエイティブな仕事だったので、何かあったときに仲間にすぐに相談できる環境の方が、デメリットよりもメリットの方が大きかったのです。

場所を移動しないで、時間も決めないで、いつでもその場で打ち合わせが出来る、というのは、思った以上に便利です。スピード感を大事にする小さなチームにとって、わざわざ会議室に行ったり、会議の時間を待ったりするのは、せっかくのその良さをなくしてしまいかねません。会議室を仕事場にする感覚、もしくは仕事場を会議室にしてしまう感覚です。

それ以来、私たちは「会議室と執務室を分けない」というポリシーを持つようになりました。

コワーキングスペースのようなオフィス

いつでも参加できて、いつでも離脱できるという環境であれば、無駄な会議が減ります。打ち合わせにちょっとだけ顔を出すとかもしやすくなります。そして、同じ部屋にいてなんとなく様子がわかる、というのは思った以上に情報共有になります。

仕事をしていて打ち合わせが必要になったら、瞬間的に始められることが大事です。そのときに、わざわざ会議室にいかないとホワイトボードがないというのは困ります。その場でサッとホワイトボードでアイデアを絵にできると捗ります。

話し合うことがあったら、自分たちの席の周辺で、さっと打ち合わせが始まって、終わったらさっと解散できるというのが理想です。時間と場所に縛られない打ち合わせのために、仕事をする場所で打ち合わせが出来る環境をそろえておくと良いはずです。私たちのオススメは、アスクルで買えるコンパクトな縦型の移動式ホワイトボードです。

 

働いている場所と、打ち合わせをする場所に壁を作らず、近くで打ち合わせと仕事をする環境を用意することで、いくつか良い副作用も産まれました。

たとえば、お客さまがいらっしゃって打ち合わせをしている時も、そこに隔たりはないので、近くで仕事をしている人にもなんとなく話している内容が聞こえてきます。もし、その打ち合わせで自分に関係がありそうな話であれば、そこから参加すればいいのです。すぐに助けることができます。

経営に関する打ち合わせも可能な限りオープンな場所でしたいと考えていました。密室で決まったことが社内に展開されるというよりも、経営について話し合っている様子から、なんとなく共有できている状態が望ましい。そのためにも働くみんなの近くで経営の打ち合わせもしています。

社員が全員でランチを食べながら情報共有をしたり、全員で夜にお酒を飲みながらディスカッションしたりすることもよくしています。そんなときも会議室にいく訳でもなく、なんとなく集まって、ホワイトボードやディスプレイを使って行います。そういうのもしやすくなりました。

 

ワンフロアで壁が無く、いつでも作業をしたり、打ち合わせをしたりできる環境を考えて設計していくと、まるでコワーキングスペースのような空間が出来上がります。まさしく私たちのオフィスはそんな雰囲気です。

お客さまに気軽に来て頂いて、打ち合わせの前後はそこで仕事ができるようにしたいですし、そして、一緒に協力してもらうパートナーの皆さんの多くはフリーランスの方も多いので、私たちのオフィスで仕事をしてもらえたらとも考えています。

そして、もし私たちがお客さまの相談に乗っているときに、同じ場所にいるデザイナーさんやライターさんとコラボする仕事が産まれたりするといいんじゃないか、と思っています。まさしくコワーキングですね。

また、シェアオフィスのような雰囲気でもあります。実際に、私が取締役を努めています株式会社ジェニュインブルーのメンバーも、新しいオフィスには一緒に入ってもらい、2つの会社でシェアする形になっています。シェアオフィスの新しい形です。ジェニュインブルーの越川社長もブログを書いてくれています

ソニックガーデンと契約を結んだ人たちであればいつでも入れるコワーキングスペース、そんなコンセプトで作りました。

 

そういうコンセプトもあって、今回の新しいオフィスの内装デザインは、渋谷のコワーキングスペース“Connecting The Dots”の運営もされている北川さんにお願いしました。私の考えをよく理解して頂き、限られた予算の中で素晴らしいデザインをして頂きました。本当にありがとうございました。

2013年7月からのソニックガーデンの新しいオフィスの様子などは、会社のブログにて紹介しています。あわせてご覧ください。
渋谷区神南にオフィス移転しました! 〜 ソニックガーデンの新しいオフィスを紹介します

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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