直感を超えたソフトウェア開発8つの常識と注意点

2023年6月10日に発売の拙著「人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~」は、経営者やマネージャの方々がソフトウェア開発の経験がなかったとしても、その本質を掴めればと思って書きました。

今や経営や事業をしていく上でITを使ったシステムは欠かせなくなっており、関わらないわけにはいきません。特に、事業そのものにソフトウェアを内包している場合において、ただ使うだけでなく開発して活用していく必要があります。

そこでソフトウェアと、ソフトウェアを作るエンジニアたちをマネジメントしていかねばならないとき、従来通りのマネジメントをしていると、うまくいかないときが出てきます。

ソフトウェアとエンジニアのマネジメントは、ともすれば直感的なものから外れていることがあります。本のタイトルにある「人が増えても速くならない」のも、その一つです。

本書では章の目次ごとに、そうした直感とは違っているソフトウェアならではの常識を並べています。以下で公開します。もしかしたら不思議に思う言葉が並んでいるかもしれません。その謎の答えを知りたいな、と思ったらぜひ本書を読んでみてください。

1章 完成しても、終わりではない

システムは使い始めてから改善が始まる
なぜ,ソフトウェアなのに固くなってしまうのか
プロジェクトからプロダクトの考え方に変える

2章 人を増やしても速く作れるわけではない

2倍の予算があっても2倍の生産性にはならない
遅れているプロジェクトに人を追加するのはやめて
銀の弾丸はないが”金の弾丸”なら有効なときがある
速く作ることはできないが,速く作れるチームは作れる
チームの哲学や文化が揃っていることが大事

3章 たくさん作っても生産性が高いとは言えない

あらゆる状況を考慮するのに時間がかかる
プログラムは現実の理解の上に成り立つ
影響範囲に気をつけて,重複をなくすことも仕事
同じソフトウェアを複数人で同時改修するのは非効率
生産性は,手を動かした時間で測らない

4章 人に依存せず同じ品質で作ることはできない

ソフトウェアは一品モノ,1つずつ中身が違う
外から見える品質と,見ることのできない品質
エンジニアにしかわからないプログラムの美しさ
クリエイティブな仕事の属人化を解決する

5章 プレッシャーをかけても生産性は上がらない

急がせたところで速く作ることはできない
一時的な妥協は,永遠の負債になる
作れば作るほど,生産性は落ちていく
生産性が上がる仕組みを作ることは投資
楽をするための苦労はいとわない

6章 見積もりを求めるほどに絶望感は増す

なぜ,正確な見積もりが出せないのか
見積もりを守るためのバッファの功罪
見積もりと約束が”受発注”の関係を作ってしまう
事業側と開発側が”協働”の関係を築く
「納品」をなくせばうまくいく

7章 一度に大きく作れば得に見えて損をする

プロジェクトが大きくなるとうまくいきにくいのに,なぜプロジェクトは大きくなってしまうのか
ソフトウェア開発はギャンブルのようなもの,大きく賭けると大きく失敗する
小さくすれば不確実さを下げられる
小さく作って,大きく育てられるのがソフトウェア
プロジェクトを小さくするために,作ろうとする機能の範囲を限定する
不確実な未来を,少しずつ確実なものにしていく

8章 工程を分業しても、効率化につながらない

工程を分離しても生産性は上がらない
猫の手を借りても生産性は上がらない
プログラムは最も低い品質に引っ張られる
ソフトウェアの設計はだれのものか

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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