津山で「Homing 2026」に登壇してきました:成功を追わない起業と経営

津山で「Homing 2026」に登壇してきました:成功を追わない起業と経営

岡山県津山市で開かれた「Homing 2026」の第1回に、ゲストとして登壇してきました。会場は津山市立図書館。地域で新しい挑戦をしたい人たちが集まる、事業アイデア創出コミュニティのイベントです。

Homing は2018年から続いていて、今年で9年目になるそうです。津山を拠点に、創業を目指す人や、地域で何かを始めたい人が集い、応援し合う。そういう場が地方で長く続いていること自体が、すばらしいことだと思いました。

会場に来ていたのは、これから起業を考えている人、すでに事業をしている人、支援機関の方など。社会人が中心で、津山の方が多く、なかには隣町の鏡野町から来てくださった方もいました。

いただいたテーマは「成功を追わない起業と経営」。起業のイベントで「成功を追わない」とは何事か、と思われそうですが、これは私が15年やってきたことを、振り返った先にある言葉です。

起業というと、大きな志を掲げて、退路を断って、綿密な計画で挑むもの、というイメージがあります。でも、私の始まりは「一緒に働く仲間を守りたい」という、それだけのものでした。壮大なゴールを掲げて逆算したのではなく、いまあるものを受け入れて、目の前のことに手を打ち続けてきた。そうしていたら、いつの間にか15年が経っていた。そういう話をしました。

面白いのは、この進み方には「エフェクチュエーション」という名前がついていたことです。優れた起業家に共通する思考様式を、経営学者のサラス・サラスバシーが研究して見つけたもの。手元にあるものから始める、損しても大丈夫な範囲で試す、出会った人と協働する。私はこの理論を知らずにやっていました。日本では、神戸大学の吉田満梨先生たちが紹介されています。

講演のあとの質疑や交流会でも、この「エフェクチュエーション」に反応してくださる方が多くいました。「逆算しないやり方に共感した」「今まさにやっているけれど、そういう呼び方なんですね」といった声をいただきました。理論を知らずに続けてきたことが、誰かの実感と重なるのは、面白いものです。

もうひとつ、アンケートで印象的だったのが「起業のイメージが変わって、勇気が持てました」という感想です。私が伝えたかったのは、まさにそこでした。成功を追いかけなくても、幸せに働き続けられる。そんな起業や経営があってもいい。誰かを変えようというのではなく、私はこうやってきた、という話をしただけですが、それが誰かの何かのきっかけになったのなら、話した甲斐があったと思います。

岡山は、うちの若手が育つ拠点「親方ハウス」がある土地でもあります。東京の本社オフィスはなくしたのに、岡山には土地を買ってオフィスを建てた。そういうご縁のある場所で話せたのも、感慨深いものがありました。

お招きいただいた Homing の皆さん、暑いなか集まってくださった参加者の皆さん、ありがとうございました。

主催のレプタイルさんが、当日の様子を開催レポートにまとめてくださいました。講演の内容や、質疑・交流会での反応まで丁寧に書いていただいて、ありがたいかぎりです。

Homing 2026 DAY01 開催レポート → https://homing-tsuyama.jp/2026/07/13/第9期-homing-2026-day01-開催レポート/

講演でも触れた「仕事を、労働ではなく技芸として捉える」という話は、9月18日にミシマ社から発売される新刊『自分と社会をいい感じにする 仕事技芸論』で書いています。予約の受付も始まりました。

『自分と社会をいい感じにする 仕事技芸論』(ミシマ社)→ https://amzn.to/3Rsmj5e

登壇資料はこちらです。

倉貫 義人
倉貫 義人
ソニックガーデン 創業者
クラシコム 取締役CTO

「納品のない受託開発」の実践者。著書多数。心はプログラマ、仕事は経営者。

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