在宅勤務などのリモートワークをうまく実現するポイントは、必要以上に特別な働き方だと考え過ぎないことではないかと考えていますが、それでもやはり実際にオフィスで働くのとは違う場面にでくわします。「会議」もその一つです。
私たちソニックガーデンでもリモートワークを実践しています。(リモートワーク(在宅勤務)を導入するためのポイントと残された課題)
ソニックガーデンでは今となっては、在宅勤務というのはもはや当たり前の仕事風景になりました。リモートワークにおいて、お客さまとの打ち合わせや、社内の会議などをどのように行っているのか、また、そのために私たちが使っているツールについて、この記事では紹介したいと思います。
Office Now Outdoor Meeting / Office Now
目次
「会議」をなくせばうまくいく?
リモートワークでは会議をどうするのか、これはリモートワークに取り組もうとするチームにとって、おそらく最初の壁になります。プログラミングや原稿の執筆などの個人で出来る範囲での仕事であれば、それらは個人の机でするような仕事なので、リモートワークであっても特に変わりなく仕事をすることができるでしょう。
しかし、何らかの議論を交わしたり、情報を伝えて共有するなど、どうしても一人で仕事をする訳にはいかない状況は多々あります。何より仕事なのですから、その仕事の相手とのコミュニケーションは必須です。そうした時に、会議や打ち合わせが必要になってきます。
とはいえ、会議が増えれば増えるほど、自分が価値を生み出すための時間は減っていき、チーム全体の生産性は下がってしまいます。そこで、私たちソニックガーデンでは、できるだけ会議や打ち合わせを減らすことを考えて経営しています。
そもそもソニックガーデンでは、情報を伝達する目的の会議は行っていません。よく驚かれることですが、全社員がオンラインも含めて、一堂に会して情報共有をするような全社会議はありません。一堂に会して話をするのは、半年に一度の「ビジョン合宿」くらいのものです。それも情報共有ではありません。なので毎週や毎月の進捗会議もありません。
それでも社内に置ける情報共有に関して言えば、特に問題なく出来ているようです。それは情報の伝達という目的であれば、会議やミーティングである必要はなく、それ以外の手段で行っているからです。
例えば、オフラインの人もいれば、仕事の時間や集中してる時間もマチマチのメンバーがいる中で大事なことがきちんと伝わるようにするために、自作のyouRoomというサービスを使っています。これは、メールのように相手の状況に関係なく、情報を届けるためのツールです。権限にあわせて参加者を設定したルームごとに情報を分けて共有します。
社長である私が時折、社内で共有しておいた方が良いかな、と思ったことをyouRoomを通じて伝えることもありますし、会社としての考えかたや私の想いなどは、このブログを通じて伝えることも多いです。私が読んで、社員に読んで欲しいなと思った本などブログを通じて紹介したりしています。私にとってのこのブログは、実は社員へのメッセージでもある訳です。
エンジニア同士については、会社のすべてのプロジェクトはGithubでソースコードが共有されています。社員かギルドのメンバーであれば、全員がお互いのソースコードを読むことができます。読むことができるどころか、それぞれがソースコードのレビューをしょっちゅう行っています。技術的な情報共有は、そのコードレビューの際に行われたりします。
なるべく会議をなくす、ということは私たちのオフィスのレイアウトにも反映されています。(会議室がない?!チームの生産性を高めるオフィスの作りかた)
私たちにとって「会議」とは、ただ情報を共有するためのものではなく、同じ時間を共有して一緒になって仕事をするものなのです。議論や設計を通じて、一緒になって成果物をつくるのが、私たちの会議です。ただ伝えて終わりの会議は存在しないのです。
リモートワークでの会議3つのシーン
では、そんな成果を生み出す仕事としての会議を、リモートワークの中でどうやって実現しているのか、紹介します。ここでいう会議は、共通の成果を出すために同じ時間を共有すること、としています。なので、応答がリアルタイムであることが一つのポイントです。
インターネット以前はリアルタイムで応答をするためには、実際に会うか電話しかありませんでした。しかし、インターネットのサービスを活用することで、必ずしも同じ場所にいなくても、リアルタイムな応答が出来るようになりました。私たちソニックガーデンでは、3つのシーンでそのリアルタイムな場である会議や打ち合わせを実現しています。
- 対面での対話を中心とした会議
- 日々の仕事の中での雑談と相談
- 社外の人も含めた非定期の会議
ソニックガーデンでは、それぞれの会議に応じて、複数のツールを使い分けて使っています。すべてを統合的に満足するようなサービスがあれば、それでも良いのですが、そんな理想的なものは見つかっていません。それに、組み合わせて使うことで、それぞれのシンプルな良さを引き出し、不満があるときは切り替えて使うことができます。これからの環境の変化に対応していくためにも、柔軟に組み合わせて使うのが私たちには合っています。そして、なければ自分たちで作れば良いのです。
それぞれのシーンとツールについて、図にまとめてみたのが以下です。
対面での対話を中心とした会議
「納品のない受託開発」でのお客さまとの毎週定例で行っている会議や、採用の方との面接がこのケースです。このケースで使うのは、主に”Skype”です。相手の顔を見ながら話しをするときは、色々試してみましたが、やはりSkypeが安定しているように思います。
特に、定例の打ち合わせをすることが決まっている相手ならば、事前にユーザ登録と申請をして、簡単に始められる準備をしておくだけの手間は仕方ありません。また、Skypeの良いところは、会議を始める前に、チャット欄で始めて良いかを少し確認できたりするのも便利です。
相手がSkypeを使っていなかったりする場合や、社内でSkypeを起動するのがちょっと面倒だなってときは、以下のインスタント系の対話サービスを使ったりします。
これらの特徴は、Skypeのインストールが要らずに、ブラウザだけで使えるという点です。使うのも簡単で、サイトから一時的なURLを作成すれば、あとはそのURLを共有するだけで誰でもユーザ登録なしで利用することが出来ます。ユーザ登録が要らないのは良いですよね。
私たちはオフィスの社員やお客さまとリモートワークの社員とで多対1の関係で繋ぐことも多いのですが、リモート側からは全員の顔が見えないと話しに参加しにくいという問題があったのですが、魚眼レンズを導入することでその問題は解決しました。
日々の仕事の中での雑談と相談
一方で社内のメンバーとの普段のコミュニケーションでは、“Remotty”というサービスを使っています。これもソニックガーデンで自作したサービスです。
私たちは社内ではあまり会議という体裁をとることはありません。話し合う時間を決めて、議題を決めて、というのは私たちのスピード感からするとタイムラグがありすぎるからです。そこで社内に限って、お互いの割り込みはあえて許容した上で、常にリアルタイムに応答できるようにしておくことで、いつでも相談などの打ち合わせを始めることができるようにしています。そのためのツールが”Remotty”になります。
Remottyは、仕事中は常時ブラウザで立ち上げておくことで、個人ごとのチャットルームができて、話したい時は話したい相手のところに行って話しかけることができるようになっています。相手のところで書き込んでいる内容は、チーム全員が見ることができますが、全員に通知が来ることはありません。なので、話題に参加したければ入っていけばいいし、関係なさそうなら参加せずに自分の仕事をしていれば良いのです。なんでもかんでも通知されて集中できない、なんてことはなくなります。
また、Remottyでは、パソコンのカメラ機能をブラウザから使うことで、一分おきに撮影されて共有されるため、参加しているメンバーのほぼリアルタイムの顔写真を見ることが出来ます。ソニックガーデンでは、このRemottyでオンラインになっていると仕事中で、オフラインだと仕事外というようなイメージで、まるでオフィスのように使っています。
Remottyの画面では左側に全員の顔写真が映っており、誰がどこにいるのかは全く関係ないように見えます。オフィスにいてもRemottyでオンラインにすることで仕事中であることを示すので、リモートワークだからといってのハンディキャップはなくなります。また、最近のアップデートで、日報などのリアルタイム以外の人とも連絡をとることのできるメモ機能が付きました。
Remottyは無料で試すことができます。 → https://www.remotty.net/
社外の人も含めた非定期の会議
Remottyでほぼ会議レスな日常を手に入れることが出来るようになりましたが、もう少しじっくりと話し合って議事録を作りたいような時があります。
また、Remottyでは書いたことを参加者の全員に共有されるため、社員やギルドといった内部の人だけが入れるようにしています。社外の人とは繋がることができません。社外の人からいつでも相談されるのは生産性を阻害されるために、あえてリアルタイムにしていない、というのもあります。
とはいえ、社外の人ともチャットでミーティングしたいときがあります。そうしたときにSkypeで繋いで画面共有しながら議事録を作る、というのも良いのですが、始めるのに少し手間がかかってしまって大袈裟になってしまって億劫になることがあります。
特に普段はRemottyで繋がっているので、顔も見ているし、音声で話すよりもチャット形式で打ち合わせしたいというときに、Skypeはやはり大袈裟です。
もっと気軽に、音声も画像もなく、チャットと議事録だけとれて、また、リアルタイムな会議にしか使わないので、ユーザ登録など面倒な手続きなしに始められて、終わったら消えるようなサービスはないものか、ということを考えて、ソニックガーデンでは“sgMeeting”というサービスを作りました。
社内のちょっとした打ち合わせをしたいときなど、わざわざSkypeを起動するまでもなく、GoogleDosを使って共有文書をつくる必要も無く、サクッとURLを作るだけでチャットのミーティングが出来ます。前述した”appear.in”のようなユーザ登録の要らないサービスなので、社外の人とのチャットミーティングをするときにも簡単で便利に使えます。
希望に近いツールは色々あったんですが、どれもやっぱりユーザ登録が必要なんですよね。でも、社外の人とのやりとりで初めて使うツールでユーザ登録をしてもらうのは敷居が高いんです。ずっとやっていくのがわかっていれば手間もかけても良いんですが、いつもそうとは限りません。そういうときに、事前に作成したURLと打ち合わせの時間を決めておけば、その時間になれば、sgMeetingに集まって打ち合わせをすることができます。会議の場所を指定するように、sgMeetingで作成したURLを指定するのです。
1度か2度しかしない打ち合わせのために、わざわざユーザ登録してもらうのも気が引ける、かといってずっとメールでやりとりは時間がかかって仕方がないときなどにも、丁度いいサービスになっています。作成されるURLは一時的なものなので、議事録を残したい時は、別の手段を使って残しておかないといけません。私たちの場合は、sgMeetingで話した議事録をyouRoomに残しています。
“sgMeeting”を一般利用できるようにしました
sgMeetingは、チャットはチャットでも、常にそこにいるようなものではなく、本当の会議のように時間を決めて使うタイプのチャットになります。
これまでは私たちソニックガーデンの社内限定で使ってきましたが、このたび誰でも使えるように公開しました。私たちが自分たちで使うために作った”まかない”みたいなものなので、無料で利用できます。お気軽にお試しください。