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不特定多数に物を売るのではなく、特定の誰かの問題を解決する仕事をするときには、相手のことを考えるだけではうまくいかない場合があります。どうすれば顧客の本当の満足を得ることができるのでしょうか。

これまで一緒に仕事をして素晴らしいと感じた人たちは皆、その見ている「目線」が違うことに気がつきました。この記事では、問題解決のプロフェッショナルが備えている目線の持ちかたについて書きました。

アウトソースをするときの2種類の目的

私たちが仕事をアウトソースするとき、2種類に分けて考えています。

一つは、決められた単純作業や繰り返し作業のアウトソースです。そういう作業はクラウドソーシングを活用することもありますが、私たちの会社ではそれほど多くありません。だいたいの単純作業はコンピュータを使って自動化してしまうからです。

もう一つは、自分たちには出来ない問題を解決するためのアウトソースです。ウェブサイトのデザインや、プロダクトのプロモーションなど、自分たちにノウハウやナレッジのないことを依頼して解決してもらいます。

どうすればいいか正解がわからないので、決まった作業を頼むのではなく、仕事の相談をするところから始まります。

後者のような場合、これまでアウトソースを発注してきた側からの経験から考えてみると、問題解決を頼んで良かった方とそうではなかった方には、その人たちが見ている「目線」に大きな違いがありました。

そもそも自分目線の人に大事な仕事は頼めない

自分目線というのは、相手から見た場合を考えた行動ができないことを指します。相手にとってどう役立つのか、と考えるよりも、自分が出来ることは何かとしか考えられないのは自分目線です。

例えば、私は採用の面談をたくさんするのですが、その際に採用は難しいな、と感じる人は、自分が出来ることや、自分がしたいことだけを話す人です。

何ができるかも大事なことですし売り込みたい気持ちはわかりますが、自分が出来ることを言われるだけだと、こちら側でこの人は何だったら貢献出来るのかを考えなければなりません。

相手に自分のことを考えさせてしまっている時点で、自分目線と言わざるを得ません。採用ならば、会社にどういった貢献ができるのか、その裏づけとして技術力や経験があると伝えると良いでしょう。

自分目線では採用に限らずとも相手のある商売では通用しません。商売の基本は、自分が何が出来るのかではなく、相手の何を解決できるか、です。たとえ出来ることは同じでも、相手にあわせて解決できることは変わるはずです。

「受託脳」:顧客に向き合うだけでは物足りない

自分目線でなく顧客目線を持つこと。顧客から見た目線を持って、何を求められているのか理解することは非常に大事なことです。

特にマーケティング活動においては、顧客の気持ちを理解し、顧客にとってのメリットやコスト、手に入れやすさなどを考慮することで良い戦略を立てることができます。

しかし、問題解決の仕事においてはそれだけでは不十分なのです。もちろん自分の顧客が何を望んでいるのか、それを知ることは大事なことですが、それだと、その顧客からの要望を打ち返すだけの人になってしまいます。

発注する側の経験から言えば、そうした仕事をされると非常に不安な気持ちになるのです。成果物の指摘をすれば、すべてその指摘通りに直してくれるのですが、それがまた不安になる。本来であれば、こちらがわからないことを頼んだはずなのですから。

例えば、ウェブサイトのデザインをするならば、サイトからの成約率を増やしたいという気持ちがあるはずで、そのためのデザインを期待しているのに、デザインの正解が発注者にあると思って質問してくる人がいますが、私たちが答えを知っている訳ではありません。むしろ、私たちのためのウェブサイトを作って欲しいのではなく、ユーザから見て良いウェブサイトを作って欲しいのです。

わからないことを逐一、聞いてくるのも困ります。発注主の私の好みで作るのではなく、私のユーザの好みで作って欲しいのです。目的を達成さえしてくれれば私の機嫌を取る必要などないのです。

それは本当のユーザを見るのではなく、顧客だけを見て仕事をしているのです。こういった傾向があるのは、ずっと言われた通りに作る受託の仕事にどっぷりとハマってきた人たちです。まさしく「受託脳」と呼べる姿勢です。

「提案脳」:顧客の顧客を見て自律的に提案できる

「受託脳」から抜け出すには、顧客の顧客を見る目線を持つことです。仕事をするとき大抵は顧客にも顧客がいます。(中には自分のためだけにアウトソースすることも稀にあるかもしれませんが、その場合は受託脳で十分です。)

顧客の顧客を見ることでこそ、本当の意味で顧客の目線になって考えていると言えるでしょう。なぜ自分の顧客がそれを望むのか、その先に得たいものは何かを理解するのに、顧客が見ている顧客を見ることで得られます。

顧客の顧客を見ることができるようになれば、逐一すべてを顧客に確認しなくても「良い感じ」に仕事をしていくことができるようになります。たとえ顧客が言っていたことと違っていても、理屈が通れば出来映えには満足してもらえるはずです。

むしろ発注側からすると、自分たちが必ずしも正解がわかっている訳ではないので、自分と同じ目線にたって、どう実現すれば良いかを提案してくれると、より安心して頼めますし、チームとして一緒にやっている感じが出ます。

さらにその先の顧客の目標を見据えてくれる人と仕事をすると、本当に気持ち良く仕事をすることができます。目標やビジョンまで理解して、対等の立場から発注主の意見に間違いがあると思ったら諌めてくれるところまでくると、本当の問題解決のプロフェッショナル「提案脳」だと言えるでしょう。

そうした関係を作るためには、発注側の姿勢も問われます。自分たちのミッションやビジョンを明確化して共有できなければ、そういった関係にはなれませんし、目的から外れたときに諌めてくれることを受け入れる姿勢を持たなければいけません。

問題解決のプロフェッショナルが持つ目線の違い

どこを見て仕事をするか、その姿勢に本当のプロフェッショナルかどうか現れます。

「顧客目線」という言葉を言うとき、顧客に正面から向き合うのか、顧客の見ている先を一緒に見るのか、大きな違いが出てきます。後者の目線を持つことで、受け身の仕事ではなく、提案型の仕事ができるようになります。

ほんの少し目線を変えることで、問題解決のプロフェッショナルとして「受託脳」から「提案脳」へ脱皮することができるのです。

このことは、顧客の仕事だけでなく、社内の仕事でも同じように応用できます。上司から頼まれた仕事をするとき、上司を見て仕事をするのか、その上司の見てる先を見て仕事をするのか、成果が違ってくるでしょう。

私たちソニックガーデンも「納品のない受託開発」を通じて顧客の問題解決することを仕事にしています。お客さまの問題解決の仕事をするからには、顧客目線の本当の意味をしっかりと捉えて、精進していきたいと思います。