仕事を進める上で会議は避けて通れない。公式なものからフランクなものまで、誰かと仕事をする限りは会議をしないということはない。仕事の時間のうち、会議の占める割合も大きいのではないだろうか。
その会議をどれだけ生産的にするか、会議そのものの生産性をあげることは、仕事全体の生産性に大きく影響する。今まで通りの会議スタイルで、これからも生産性を気にせず会議を続けていくのは、非常に無駄であり、もったいない事だ。
イマドキのツールや環境を活かすことで、より高い生産性の会議に変えることができるはずだ。生産性の高い会議をするための工夫について書いた。会議の当たり前を変えていこう。
目次
みんなの見えるところでメモを取ろう
どんな打ち合わせであっても、何らかのメモを一緒に見ながら打ち合わせをすると良い。そのメモは、紙やホワイトボード、テキストエディタを画面で共有するのでも、なんでも構わない。会議に参加している全員が見えるようにしていれば良い。
自分の手元だけでメモする人がいるが、それは非常に勿体無い。セミナーじゃないのだから、皆で書いて、共有した方が良いだろう。
イマドキであれば、画面に写してテキストを共有して、ホワイトボードなど自由記述できるものは補助的に使うのが良いだろう。そこで書いたメモがそのまま会議の記録として残すことができるからだ。議事録と言うよりも、議事メモとでも呼ぼう。
議事メモをとるために私たちは、今は Quip というツールを使っている。マークダウンが使えて、同時に共同編集が出来て、企業で契約が出来るからだ。これまで色々と変遷があったので、今後も変わるかもしれないが。
最初もしくは事前に、その議事メモに話をしたいアジェンダを書いておく。そうすることで、今の会議は何のために集まって、何の話をするのか、共通認識を持てるし、途中で忘れることもなくなる。多少の脱線も良いが、戻ってくることができる。
議事メモは、一般的な議事録と違い、誰が何を発言したか一言一句残すようなものではない。話をしながら、アウトラインでまとめていくイメージだ。会議をしながら、話をまとめて構造化していく。そうすることで、話も進みやすくなる。
だから、議事メモを取るのは、スキルがいる。打ち合わせをしながら、話全体を把握した上で、構造化していくのは、それなりの経験が要るだろう。議事メモを取るのはルーキーにさせる仕事ではないのだ。
また、心理的なものだが、画面に表示される議事メモに一緒に向かって話をすることで「問題vs私たち」の構図を作り出すことができる。なにより、参加者が一緒に「議事メモ」という成果物を作るクリエイティブな場に変えることができる。
そして、会議が終わったら、その場の全員で議事メモの内容を確認する。そこには、次のアクションも各自の宿題も明記されているはずで、それをその場で確認してしまうのが、もっとも生産性が高い。
大企業に新卒で入ったばかりの頃は、議事録を書かされる機会が多かった。会議中はメモをとって、会議が終わった後に記録のレポートにした上で、上長の確認をとってから参加者全員に送る。いかにも儀礼や形式を重視する日本企業っぽい話だ。
しかし、いずれ送られてくる議事録を読む逆の立場になって、正直に言えば読んだりしないことがわかる。おそらく、誰が言ったか言質を取り、言った言わないで揉めないための議事録だろうが、リスク対策にかける費用対効果としてはすこぶる悪い。
思考停止したような昔ながらの議事録文化は捨て去ろう。
話したい内容は事前にやり取りしよう
会議の場では、せっかく一堂に会して話をするのだから、一方的な報告の時間は無くしたい。参加者が順番に報告していくような進捗会議や、上長が一方的に話を聞かせるような会議は、もはや会議で集まる必要はない。
イマドキなら、グループウェアでも、コミュニケーションツールでも、社内で連絡や共有するためのツールがあるだろう。メールしかない、という会社は・・・あるかもしれないが、それはまず社内コミュニケーションツールから見直そう。
メールだと、複数人へ共有する連絡や、言葉を応酬しあうような議論は、ツールの特性から難しい。しかし、閲覧権限があって、画面上で会話をやりとり出来るようなツールがあれば、わざわざ会議をしなくても、報告も連絡も出来る。
私たちは、Remottyというツールにある「掲示板」という機能を使っている。チーム単位で用意された掲示板に、話をしたいことを書き込んでおく。同じチームのメンバーは自分の都合の良いタイミングで掲示板をチェックし返事をする。
何も同じ時間に一緒にいなくても、ある程度の議論は進めることが出来る。むしろ、次の会議までに、掲示板の上で議論を深めておくことが重要だ。参加者の全員が事前にその掲示板のやりとりを見ておけば、いきなり核心から議論できる。
そうして会議の場では、最終的な決定を下すための着地に向けた議論ができる。ある程度の発散フェーズを事前に済ませておくのだ。それに、会議でいきなり議題に入ってアイデアを出すというのはきついが、事前にわかってれば考えておける。
会議をするのは、自分ひとりのコストではなく、参加者分の掛け算になるのだから、なるべく効果の高い時間にしたい。
チャットで済むものはチャットですませよう
もっとも会議の生産性を高めるには、そもそも会議をしないことだ。なんでもすぐに会議をしたがる人がいるが、会議する前にできることは沢山あるし、会議せずに決められることも沢山ある。
社内などで、チャットが使える関係にあるなら、会議まで溜め込まずにチャットで済ませてしまえば良い。関係者の全員が集まる場でなければいけない理由がないような話は、なるべく早いタイミングで話をして解決してしまえば良いのだ。
もちろん、しっかりと時間をとって議論すべき内容もあるだろう。むしろ、そういった大事な話をするために貴重な会議の時間は使った方がよくて、本当に議論すべきこと以外は、前述のような掲示板や、チャットで済ませてしまおう。
テキストチャットの良いところは、そのチャットのやりとりの結果がテキストに残って、後から他の人が追いかけて読むことが出来ることだ。会議に出たら1時間なり拘束されるかもしれないが、サッと読むだけなら相当に短い時間で済む。
さらに生産性をあげるためにやっていること
ここまでのところで、かなり会議自体の生産性は上げることが出来るが、それ以上に上げるにはどうすれば良いか、私たちの実践を紹介しよう。
テレビ会議を活用すること。私たちは全員リモートワークということもあり、基本的に物理的に会って会議をすることはなく、会議はほぼ全てzoomやappear.inなどのオンラインミーティングのツールで行なっているので、会議室に行く必要がない。
会議の直前まで仕事をして、会議が終わるとすぐに仕事に戻れる。会議室を確保してる訳ではないので、議題が終われば会議が終われる。せっかく集まったから、という心理は働かない。テレビ会議は、リモートワークでなくても取り入れて良い実践だ。
テレビ会議だと、誰かが画面共有をすれば良いので、前述の画面のテキストメモを見ながらの会議もやりやすい。議論には参加しないけど、聞いてるだけのラジオ参加もしやすい。リアルで無言だと威圧感はあるが、オンラインだと存在感は消せる。
社員のみんなに伝えたいことがあるからと、人を集めて会議をすることもやめた。音声を録音したり、動画メッセージを作成して、全員にシェアをすれば、各々が好きなタイミングで視聴することが出来る。人を集めるよりも効率的だ。
あとは、会議の人数を制限することだ。議論し合うためには、3人がベスト。多くて5人までだろう。それ以外はラジオ参加や、ツールで共有するので十分だろう。人は多いよりも少ない方がいいのだ。
今は当たり前にやっている会議だって、常識から疑ってみれば改善して変えられることは沢山ある。会議の生産性をあげて、早く仕事を終わらせよう。
今回、記事中で紹介したツールは以下の通り。
私が、仕事のやり方を見直すきっかけをもらえた本。おすすめ。