事業活動のすべてをコードにする
毎日、Claude Codeに仕事を頼んでいる。文章を書くのも、調べものも、資料づくりも。優秀な部下が何人も増えたような感覚で、それでいて、まだ先がありそうな気がしている。
その「先」が何なのか、最近すこし見えてきた。個人の仕事が速くなる話ではなく、チームの仕事が変わる話だ。Claude Code単体では片手落ちで、GitHubとセットで使ったときに、本当の変化が始まるのではないか。
エージェントに仕事を頼むと、成果物はファイルになる。ファイルはリポジトリに置かれ、変更の履歴が残り、誰がいつ何を変えたのかを辿れる。自分ひとりではない。チームの仲間も、それぞれのエージェントも、同じ場所を見て仕事をする。リポジトリは、エージェントにとっての職場みたいなものだ。
考えてみれば、ソフトウェア開発は、ナレッジワークの進化形だったのではないか。成果物をテキストで残し、変更を履歴で管理する。お互いの仕事をレビューし合い、課題はチケットにして見えるようにする。プログラマたちは、知識をチームで扱う仕事の方法論を確立してきた。
この方法論を他の仕事にも持ち込みたいと考えていたが、GitとGitHubの習熟をエンジニア以外に求めるには、壁が高すぎた。
やってみて気づいたのは、この壁が二つに分かれていたことだ。コマンドを操作する壁は、Claude Codeが消してしまった。自然言語で頼めば、コミットもプルリクエストもエージェントがやってくれる。
だが、コミットやブランチといったGitの概念を理解する壁は残った。そこが腹落ちしていないと、エージェントに頼むことすらできない。それは全社で進めてみての発見だった。それでも、概念は学べば越えられる。
Infrastructure as Codeという言葉がある。サーバーの構成をコードとして書くことで、再現も、レビューも、改善の蓄積もできるようになった。
同じことを、事業活動の全部でやればいい。経理でも人事でも広報でも、仕事の成果物をMarkdownで書いてリポジトリに置く。事業活動のすべてをコードにする、ということだ。
ソニックガーデンでは、これを非エンジニアも含めて、全社で進めている。社長の私自身が率先して、ブログの原稿も、講演資料も、経営の検討メモも、Markdownでリポジトリに入れた。
これは、2016年に全社リモートワークでオフィスを手放したとき以来の変革になる気がしている。あのときは、働く場所が物理からオンライン上のソフトウェアに移った。今度は、仕事そのものがソフトウェアの側に移っていく。
人の作業を補助するためにソフトウェアがあるのではなく、コードになった事業を、人とエージェントが一緒に改善し続けていく。ソフトウェアが先にある会社だ。
いま社内のリポジトリには毎日コミットが積み重なっている。会社が少しずつ、コードになっていってる感じがするな。