会社設立から5年をふりかえる企業文化の4F

会社設立から5年をふりかえる企業文化の4F

この2016年6月末で、私たちソニックガーデンは会社設立から5周年を迎えました。そして、この7月から6期目の新しい年度が始まります。もともとは社内ベンチャーからスタートしたソニックガーデンですが、2011年7月に会社設立をして、その後MBOして前の会社から独立しました。

もう5年です。早いものですね。

会社が5年続くというのはそれなりに大変なことらしく、しかも5人で始めた会社が今や24人の仲間に増えて、会社としても成長することができました。人数や売上高をKPIにした会社ではないのですが、結果として、そうした数字面でも成長できたのは、ひとえに支えてくださる多くの皆様のおかげだと感謝しています。

私たちが幸せだと感じられるのは、良いお客様と良い仲間に恵まれて、楽しく好きな仕事に全うできているからです。とりわけ、私たちのコンセプトに共感して頂き、お仕事をさせて頂いているお客様に、改めて感謝の意を述べたいと思います。ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いします。

さて、この記事では、これまで5年かけて醸成してきた私たちソニックガーデンの企業カルチャーを4つの特徴に分けて、ふりかえってみました。

F1)フリー:過去の慣習に従うよりも自分の頭で考える

会社設立してから5年経って感じることは、以前にも増して、より自由に、より身軽になってきたということです。普通であれば、人が増えて年数が経つほどに、組織として良く言えばきちんとしてくるものかもしれませんが、私の感覚でいえば、5年前よりも自由な考え方や働き方が出来ているように思います。

もちろん、企業として押さえておくべき社会的な規範や、お客様や関係者に迷惑をかけないようにする制度や取り組み、経営を続ける上でのリスクヘッジなど、5年前に創業したときに比べて圧倒的に整備されて、安心感は増しています。

一方で、いつどこで働いても構わないリモートワークをはじめ、雇用契約の柔軟さであったり、企業として価値を出すこと以外の部分は、かなり変なこだわりは捨てて、本質を押さえられるようになってきました。

そう、5年経って学んだことは、企業経営をしていく上で押さえるべき「本質」の部分です。本質さえ外さなければ自由で良いのです。だけど、起業したての頃は、何が本質かもわからなかったので、一般的な世の中の慣習に従っていた部分もありました。

会社なんだから、ちゃんとしたオフィスを持つべきで、毎日出社するべきで、社員のことは監視をすべきで、長期の経営計画を立てるべきで、働かせるために目標管理して評価すべきで、毎年右肩上がりを目指すべきで、属人性は排除すべき、どれもよく言われますが、どれも今はやっていません。

どうあるべきか、どうすべきかといった経営判断は、過去の慣習に従うのではなく、自分の頭でどうあるべきかを考えることが先だということです。正解なんてないのだから、もっと自由に発想し、自由に働いていきたいと考えています。

F2)フランク:威厳や格式よりも敬意を持ち率直に話す

もともと堅苦しいのは嫌いで、かっちりした振る舞いよりも、カジュアルな人間関係を好む企業文化ではありましたが、年々より顕著にフランクになってきています。長く付き合ってきていることで、気心が知れてきたということもあるでしょう。

社内で肩書や役職をつけて呼びあう会社もあるようですが、私たちの場合は役職で呼ぶことをしないばかりか、ニックネームで呼び合ったりしていますし、チャット上では、「さん付け」すらなく「ユーザID」で済ませてしまいます。

だからといって無礼で良いという訳ではなく、前提にあるのは互いに対する敬意です。むしろ敬意があるからこそ、コミュニケーションはフランクな物言いでも意見を尊重しあえるのです。では敬意とは、意識をして持つものでしょうか。いや、それでは単なるポーズです。

敬意とは、本来は尊敬の念があって生まれるものです。そのためには、敬意を持つよう呼びかけるのではなく、仲間から敬意を持ってもらえるように行動することです。互いにそうすることで、敬意を前提とした関係を築くことが出来るようになります。

肩書きや役職についたからといって、敬意が生まれる訳ではないのです。あくまで行動で示すのです。フランクに振る舞うことで威厳は失われるかもしれません。しかし、威厳が消えたからといって敬意までが消える訳ではありません。

遠慮のないコミュニケーションは生産性を高めます。腹の探りあいをしていては話は進みません。良いソフトウェアを早く作ることを最も大事とする企業文化です。

F3)フラット:指示や命令よりも内発的動機を活かす

セルフマネジメントできる人材で、フラットな関係性のチームとする。今ではよく言っていますが、会社設立したばかりの頃は言っていなかったことで、この5年のうちに、人が増えてきた中で、はっきりと見えてきたコンセプトです。

社内ベンチャーで経営を始めたばかりの頃は、働く人をコントロールしようとしていました。どうやってうまくコントロールするか、最大限に働かせるにはどうすれば良いか、と考えていた時期もありました。しかし、それではうまくいきませんでした。

世の中にコントロールしようとして出来るものなど、ほとんどないのです。会社の中を完全にコントロールしても、社会や市場はコントロールできないし、人の心はコントロールできる訳はないのです。自分でコントロールできるのは自分だけです。

指示命令で働くよりも、自分がやりたいと思う仕事をすること、自分で納得して仕事をすることが最も生産性が高まります。自分の内から湧き上がる内発的動機に従って働ける会社でありたいと思います。評価や恐怖といった外発的動機で支配しようとするのはダークサイドです。

指示命令がないのは、楽なことではありません。むしろ誰もが自分で考え、自主性を持って動く必要があり、自分の成長に自分で責任を持たねばならないのは大変なことです。ただ、そこまで出来れば自立できますし、依存し合あうことがなくなります。

チームでは助け合うことも大事ですが、それよりも互いに自立している仲間が、さらに大きな成果を出すために協力しあうことだと考えています。

F4)フレキシブル:頑なにならず柔軟に変化を続ける

会社をやって5年も経つと、いろいろなことが大きく変化しています。今のようなリモートワークをしていることも、グループ会社を作っていたり、取締役が増えていたり、新規事業を始めたり、新卒採用をしていたり、オフィスをなくしたり、設立当時は想像もできなかったほどの変化です。

しかし当事者としては、少しずつ少しずつ変化してきたために、それほどドラスティックに変化したとは感じていません。日々のオペレーションの中に変化を取り入れてきたことが良かったし、それが私たちの企業文化の一つだと思います。

今となっては社内では「ふりかえり」という取り組みを誰もが常に行っていることで、そのたびごとに新しいことにトライしていくので、誰かが大きな舵を切らずとも、自律的に変化をしていくことが出来ているように感じます。

綿密な計画をすることも、それを全うするようにマネジメントすることも大事なことですが、それよりも、その場その場で柔軟に変化を受け入れていくことで、計画を超えた新しい何かが生み出される可能性が出てきます。

5年をふりかえってみると、私たちが変化して成長するきっかけになったのは、自分たちだけで考えたことよりも、不意に訪れる外部からの提案や依頼に応えていくことだったように思います。

これからも変化することを恐れずにいるチームでありたいと考えています。

まとめ

他に、”fair”(公平であること)や、”fun”(仕事を楽しむこと)などが企業文化の”F”としてはありそうですが、今回は割愛しました。いい企業文化は崩すことなく、続けていければ良いな、と考えています。

いろいろと書きましたが、5年も会社を続けられたのは、本当に運が良かったんだと思います。もちろん、できる限りの努力もしてきましたが、それでも、良いお客様、良いパートナー、良い仲間に巡り合えて、一緒にやってこれたのは幸運でした。

ご縁を頂いた多くの皆様に心からの感謝の気持ちでいっぱいです。

冒頭の写真は、先日のソニックガーデン家族旅行で、サプライズでみんなが用意してくれたケーキです。5周年おめでとうと言ってくれたけど、その言葉は私から言いたい言葉で、感謝するのは私の方なんです。本当にありがとう。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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