自分で書いた本を、面白く読んでしまった〜アジャイルな執筆体験
9月に、新刊『仕事技芸論』が出ます。今回の版元はミシマ社で、これまで書いてきたビジネス書というより、文芸に近い読みものに仕上がったと感じている。
その最終ゲラを読み終えて、不思議な感覚があった。自分で書いた本なのに、先が気になって、面白く読めてしまった。
それだけ、これまでの本と作り方が違ったからだった。
一つめ。テーマはミシマ社からの提案で、『仕事技芸論』というタイトルも三島さんの案だった。最後にタイトル会議も開かれたのだが、頭に「自分と社会をいい感じにする」が付いただけで、主タイトルは最初のまま生き残った。
二つめ。最初に目次を作らなかった。代わりに編集者から質問リストが届き、回答しやすいところから、ブログ記事として週に1本ずつ書いていった。書くたびに感想が返ってきて、それが嬉しくてまた次を書く。読者第一号に向けて連載しているような感覚だった。
三つめ。構成は編集者が組んだ。8割ほど書けたところで届いた目次は、私が書いた順番とはまったく違う並びだった。え、それを第1章に持ってくるのか。そんな驚きがあった。
四つめ。推敲も編集者に委ねた。今回は最初から、遠慮なく直してください、とお願いしてあった。編集者が主体で磨き、私が最終確認する進め方だった。
目次を決めずに、書けるところから書く。すると、形はあとから現れるという、アジャイルな執筆体験だった。これが著者として実に気持ちよく、もっと書きたい、と思いながら最後まで書き切った。
だから、出来上がった原稿は、自分が書いた文章のはずなのに、自分ひとりでは作れなかった本になっている。
これまでの本は、人に薦めるのが少し照れくさかった。自分で書いたものを、自分で自信作だと言うのは、どうにも据わりが悪い。でも、委ねた部分があるからこそ、照れずに誇れる作品になることもあるんだな。
『仕事技芸論』は9月18日発売。自信作、ぜひ読んで欲しいです。
