技術者でも出来る、非技術者にも聞いてもらえるプレゼンテーションのフレームワーク

技術者でも出来る、非技術者にも聞いてもらえるプレゼンテーションのフレームワーク

これまでコンサルタントの方と一緒に仕事をする機会もあり、横で話を聞いていて、相手に伝えるのがとても上手だなぁと感心をすることがあったんですが、何度か経験をするうちに優秀な方のプレゼンテーションには共通のフレームワークがありそうだと気付きました。

ここでのプレゼンテーションは、勉強会などのLTや発表というよりも、顧客にプロダクトを説明するケースです。

 

Audience at Humanities TheatreAudience at Humanities Theatre / batmoo

技術者のプレゼンテーションは、中身に詳しいが故に、どうしても「正確に伝えよう」「全て伝えよう」としてしまいがちです。もし技術者を相手にした「セミナー」であれば、それでも良いかもしれません。それも、聴く人たちが詳しく知りたいという動機をもって参加している場合です。

しかし、プレゼンテーションをする相手が、その技術やプロダクトについて詳しくなく、そのプレゼンテーションを聴いたあとに、興味をもってもらって、問い合わせなどのコンバージョンに繋げたいということであれば、正確性や網羅性の優先度は低いと考えた方が良いです。

上手な人のプレゼンテーションだと「よくわからないけど凄かった」という感想が出ます。問い合わせに繋げたければ、それで十分なんです。

よくある技術者がするプレゼンテーションだと、○○とは?といった定義から始まり、全体の構造と特徴を示して、あとは一つ一つの部品と特徴について詳しく説明する資料が何枚か続き、最後にまとめ、というスタイル。

これでは、興味を持ってもらえなかった場合、中だるみしてしまいます。ではどうすれば良いのか。出来る人のフレームワークに従えば良いのです。

上手なコンサルタントの方々のプレゼンテーションには共通の流れがあり、それに従って作れば、誰でもそれなりのプレゼンテーションを作ることが出来るのではないか、と考えました。その流れは以下のようなものです。

  1. 問題に至る背景の共有と共感
  2. 対象とする問題の提示
  3. 解決につながる仮説(プロダクト)
  4. それが正しい解決であるというプルーフ

まず最初に、プレゼンテーションをする相手の人々に共通する背景を説明します。

これは、共感を得てもらうことが目的です。まず、相手と同じ視点を持っているということや、プレゼンテーションをする自分はどういった文脈で話すのか、ということを伝えた上で「同じ問題意識を持っているのかも」という共感を得てもらいます。

これによって、聴く側は話を聞く心の準備ができますし、なによりも同じ問題意識を持っていると思ってもらうことで、対立ではなく同じ方向を向いていると思ってもらえます。

上級テクニックになると、この背景の話の中で、さりげなく数字を含んだグラフや表を入れ込みます。そうすることで、より一層、リアリティが増すので、そこで話されている背景が本当のことだと理解してもらえます。

背景を共有し、それに共感してもらえたら、次はその背景の中で起きている問題を示します。実際には、その背景からは様々な問題が出てくるとしても、それを網羅する必要はなく、ここで提示する問題は、次の自分たちで解決出来ることにフォーカスした問題だけを提示するだけで構いません。

むしろ網羅するよりも、フォーカスをあてた方が良いです。聞いている人たちも考えながら聞いてくれるので、その背景から沢山の問題があることは承知の上なので、あえて自分の主張に繋がる問題だけを伝えます。

そして、その問題が的外れではなく、プレゼンテーションの相手も問題だと感じてもらえたら、それに対する、自分たちのソリューションを提示します。それは、特定の技術かもしれないですし、プロダクトかもしれません。このプレゼンテーションで興味を持ってもらいたい対象です。

問題を解決するものだと提示をしますが、そうすると聞いている方にしてみると、本当かな?と思ってもらえる筈です。実はそのように疑問を持ってもらうことが大事です。疑問を持つということは興味があるということです。

そうして、ようやく準備が整いました。ここまでくれば相手は疑問をもっているので、詳しく聞こうという姿勢になってくれています。そうしたら、あとは好きなように技術やプロダクトの説明をしましょう。

ここでは多少、難しい用語を使ったりしても大丈夫です。そのソリューションであるという仮説が正しいものであるという証明をするのです。機能や特徴の説明も、なぜこの問題の解決に繋がるのか?という視点から説明すると良いでしょう。

実際には、相手との関係性や、お互いの背景、プレゼンテーションの目的などによって、変えていくしかないと思いますが、こういったフレームワークも知っておいて損はないと思います。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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