私たちソニックガーデンは「セルフマネジメントな人材とフラットな組織」を目指しています。そのために私たちが人材育成で行っているのが、徒弟制度であり、メンターによる弟子の「ふりかえり」を通じた指導です。
一般的な「ふりかえり」と違うのはチーム全体でするのではなく、弟子にふりかえりをさせて、その結果をレビューします。そのため「仕事の仕方」をレビューするということで「ワークレビュー」と呼んだりもします。
上記にあるように以前にも「ふりかえり」の進め方について書きました。今回のこの記事では、ふりかえりをレビューする立場のメンターが、弟子が自律的な人材に育つよう気をつけている振る舞いについて書きました。
目次
正解も教えないし駄目出しもしない
私がワークレビューなどで何かレビューを求められたときは、なるべく駄目出しもしないし正解を言うこともしないようにしています。正解も間違いも人から教えられると思うと考えることを辞めてしまうからです。
ふりかえりは自分の頭で考えることがとても大事です。自分の頭で悩んで考えて、考え抜いた末に気付いたことは記憶に強く残りますし、納得感もあります。もしくは、考えた末にもらった意見なら響いたりします。
内発的動機を促すために考えさせる
ふりかえりの目的は、仕事に対する行動の改善と成長です。しかし、自分で考えないと行動に繋がらない可能性が高いです。自分自身で気付くからこそ行動しようと思えるはずです。だから、自分で考えてもらうのです。
賞罰や強制といった外発的動機からの行動は継続性がありません。外からの動機づけがなくなったときに元に戻ってしまうからです。ふりかえりでじっくり考えることで、するべき行動に納得し内発的動機が高まります。
目的意識を育てるために考えさせる
ワークレビューでよく聞くのは「それは、なんのためか?」ということです。具体的な答えを示すよりも、本人に何故それをするのかを問うのです。目的意識を持った人は、自律的に改善のためのアイデアが出てきます。
この世のすべてに絶対的な正解などありません。なんのためにするのか?という問いも正解を探すことよりも、考えること自体が大事なプロセスになります。なんのためか?を問い続けることで考える力が育つのです。
戦略的思考を鍛えるために考えさせる
ふりかえりをすれば、仕事の仕方に問題を発見して改善案を考えることになります。この時の改善案が本当に効果的かどうか、対処療法でなく問題の本質を捉えたものか、その点もしっかりとレビューしなければなりません。
そこで私が聞くのは「で?(それで、どうなるのか?)」ということです。ふりかえりでは問題に対しての対処を考えがちです。どうなっているのか、どうなるべきか、から逆に考えさせることで戦略的思考が身につきます。
当事者意識を持たせるために考えさせる
フラットなチームであるためには、各自の当事者意識が重要になります。チームのことを他人事のように思ってしまうと助け合いは起きなくなってしまいます。自分のチームだという意識があれば助けようと思うはずです。
ふりかえりをしてみた結果、その改善のアクションが自分一人では出来ない場合もあるでしょう。そうしたときにチームの協力を得られるようにすると良いでしょう。自分のふりかえりをチームのふりかえりにするのです。
「脳のブレーキ」を壊すために肯定する
自律的な人材になれば、自分の仕事を自分の好きなように改善していきます。自分で仕事の工夫ができるようになると、仕事が急激に楽しくなります。とはいえ頭でわかっているつもりでも、やはりブレーキはかかるものです。
そこで、ふりかえりの中で本人が考えた工夫ややりたいことについて、良い案かどうかに関係なくメンターが肯定してあげると良いでしょう。その体験をすることによって「やっていいんだ!」と「脳のブレーキ」が壊れます。
スッキリせずモヤモヤしたまま終わっていい
正解がないことを考えていくと終わりがありません。ふりかえりが終わってもモヤモヤしたままなことは、よくあります。しかし、むしろそれで良いのです。スッキリすると、ふりかえりが終わると忘れてしまいがちです。
モヤモヤしたままなら、そのあとも引き続けて本人が気にして考え続けることになります。自律的に動ける人材になってもらうためには「自分の頭で考える力」を身に付けてもらいたくて、その訓練とすることができます。
メンターにとっても学びの場だと考える
ここに書いたような形で、ふりかえりのレビューを行うというのは、メンターにとっては結構なストレスになります。言いたいことをグッと我慢して、ふりかえりする本人に考えさせるようにしなければならないからです。
しかし、言われた通りだけのことしか考えないような人材が欲しいのならともかく、自律的に動ける人材になってもらうためには、「考える力」を身につけるのは必須です。答えを言わずに考えてもらうことで磨かれます。
メンターに求められるのは、具体的な答えを言うことでなく、会社の価値観を伝えていくことです。そのためには、メンター自身が会社の価値観を理解していなければなりません。メンターにとっても学びの機会なのです。