事業を支える「いい」ソフトウェアの4つの特性〜なぜ「いいソフトウェアをつくる。」なのか

今や業種によらず、事業経営にソフトウェアは欠かすことはできません。デジタル化が進んだ社会においては、あらゆるものがソフトウェアを前提としてデザインされていくでしょう。

そうした活動の中核となるはずのソフトウェアですが、それが効果的に機能していない状況も多くあります。

巨額の投資をして作ったソフトウェアが、使いにくく反応速度も遅く、利用者にとって有益なものになっていなかったり、事業に合わせた改善をしていきたいのに、少しの改修に大きな時間やコストがかかってしまったり。

「ちょっとした変更で、なぜこんなに時間がかかるんだろう?」そう思ったことのある経営者や事業責任者は少なくないでしょう。

そうした事業の足枷になるソフトウェアではなく、むしろ事業成長を促すソフトウェアを作っていきたいという思いから、私たちソニックガーデンでは「いいソフトウェアをつくる。」という理念を掲げています。

本稿では、私たちの考える「いいソフトウェア」の4つの特性を解説した上で、理念に込めた思いを記したいと思います。

①目的や意義が「いい」ものをつくる

まず第1に、そのソフトウェアの目的や意義が良いものをつくることに携わりたいと考えています。

ソフトウェアは、誰かの課題を解決するためにつくられるものです。その目的が社会や人にとって良い方向につながるものであることを、私たちは大切に考えています。

私たちソニックガーデンには、お客さまに向けた「一緒に悩んで、いいものつくる。」という理念もあります。ただ指示されたものをつくるだけでなく、その事業や活動そのものがうまくいくように、何を作っていけば良いかも一緒に考えることを大事にしています。

良い目的や意義を持った活動は、関わるメンバーたちも共感できて、より自分ごとのように考えていくことができます。その姿勢はクリエイティブな仕事の成果に大きく影響を与えます。頭と心は切り離すことはできないのです。

②機能や品質が「いい」ソフトウェアをつくりたい

つくるソフトウェアが、どれだけ有益かどうか。必要とする機能を満たすことができているか、それによって問題は解決できるのか、または、使う人にとって満足できる体験を提供できているか。

できるだけ不具合も少なく、セキュリティの心配もなく、使い勝手が良く、見た目のデザインも美しく、応答速度も速い。私たちは、そうした機能や品質が良いソフトウェアを作っていきます。

しかも、それが一時的なものではなく、事業の成長や外部環境の変化に応じて、ソフトウェア自体も適応していくことを大事にしています。

本来のソフトウェアの機能や品質が良いと言えるのは、「Point of Sales(売った時点を最高品質とする考え方)」ではなく「Point of Use(利用する時点を最高品質にし続ける考え方)」だからです。

参考記事:

③ソフトウェアは「いい」開発の方法でつくりたい

そうした製品やシステムが利用者や顧客にとってどれだけ価値があり、満足できる品質であるかを表す指標を「外部品質」と呼びます。そして、高い外部品質を維持し続けるために重要なのが「内部品質」です。

内部品質とはソフトウェアを実現するためのソースコードの品質を表すもので、中でも重要な指針が保守性です。保守性の高さは、改修するためにかかる時間やコストを低く保つことに寄与します。

高い保守性のためには、ソフトウェアは変化できるものだという前提の開発の方法や体制をとらねばなりません。そのために私たちは、工程を分業せず、できるだけ少人数で小さく始め、育てていくスタイルを大切にしています。(これは拙著「人が増えても速くならない」で詳しく述べています。)

私たちソニックガーデンの仲間に向けた理念「いいコードと、生きていく。」という言葉には、こうした内部品質にまでこだわる人と一緒に働きたいという思いが込められています。

▲「いいソフトウェア」は保守性が高く、保守性が高いと、変更コストが一定になる

④関わる人を幸せにするソフトウェアをつくりたい

私たちの考える「いいソフトウェア」の最後の特性は、ソフトウェアに関わるあらゆる人を幸せにできることです。

ソフトウェアは、実体を伴うハードウェアと違い、作っただけでは価値がありません。コンピュータで動かして、それを使う人がいて初めてソフトウェアの価値が生まれます。

そして、使い続けてもらって価値を生み出し続けるためには、改修や改良も含んだ保守が欠かせません。つくり続けていく人たちがいて、ソフトウェアは存在し続けられます。

「一度つくって終わり」ではなく、「使われ続けながら育てていくもの」であってほしい。そのためには、使い手と作り手の両方が満足し、前向きに関われることが、ソフトウェアが継続して価値を生み出すうえで大切だと考えています

ソフトウェアが事業の役に立つことはもちろんのこと、お客さまにはソフトウェア開発そのものがクリエイティブで楽しいものだと知ってほしいし、利用者の方には、ソフトウェアを通じて喜びや利便さを感じてもらいたい。そして、私たち開発する人間も、ソフトウェア開発を通じて幸せになりたいのです。

「いいソフトウェアをつくる。」

私たちソニックガーデンの掲げる理念「いいソフトウェアをつくる。」には、私たちの強みを活かしてお客さまの事業を支えていくことで、より良い社会の実現に貢献していきたいという思いを込めています。

お客さまにしてみると、私たちソニックガーデンは事業成長やビジョン実現のためのパートナーです。そうありたいと願い、日々の仕事に真摯に向き合っています。

一方で、私たちソニックガーデンからしても、お客さまは「いいソフトウェアをつくる。」理念を実現するためのパートナーでもあるのです。

そうして「いいソフトウェア」が増えていくことで、事業も人も、より幸せになっていけると信じています。これからも、この理念に従い取り組みを続けていきます。


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倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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