雑談ばかりで仕事しない人をどうするか?など、ザッソウにまつわる質問と回答

先日、雑談と相談をあわせて「ザッソウ」と呼んで浸透させることで、チーム内のコミュニケーションを円滑にするための関係づくり、最近はやりの言葉で言えば「心理的安全性」を高めようという本を出しました。

ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」

おかげさまで様々なところで講演や取材の機会を頂くのですが、そこで聞かれる質問があるので、本稿では私なりの回答をしたいと思います。

雑談ばかりで仕事しない人をどうするか?

「雑談ばかりで仕事しなくても良いんですか?」そんな訳はありません。

まず大前提にあるのが、そのチームの目的はなにか、ということを確認すべきです。チームである限り、なにか目的や達成したい目標があるはずです。雑談ばかりで仕事をしないということは、その成果に対して真摯な姿勢ではないということですね。

ザッソウが有効なのは目的が共有されたチームに対してです。なんの目的もない集まりで雑談をすれば、それは雑談ばかりになって仕事をしないなんてことも起きるでしょう。まるで、よくない井戸端会議です。

ですので、まずはチームとしての目的を確認して共有するところから始めましょう。もしチームとして成果を出す必要がなければ、雑談ばかりしても良いでしょう。しかし、チームの全員が成果を出したいと思っていたら、そんなことにはなりません。

私が社外取締役を務めさせてもらっている「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムでは、職場のあちこちで楽しくおしゃべりをしている雑談あふれる環境です。それでも大きく成果があがっているのは、18時で全員退社という意識が徹底されているからです。少し昔の記事ですが、今も変わらない哲学が語られています。

18時で全員退社、それでも160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムにみる働き方|ライフハッカー[日本版]

雑談が苦手な人はどうするか?

なにも無理して、とりとめのない話をする必要はないのではないでしょうか。ザッソウで言う雑談は、立食パーティで見知らぬ多数の人と話をすることではありません。職場の仲間同士での仕事に絡めた会話です。それならば出来る人もいるはずです。

そもそも雑談そのものよりも大事なことは、気軽に相談できる関係性をつくることです。気軽に相談できないことが、様々な問題を引き起こします。どうしてもアイデアが浮かばないときや、決断をするのが難しい問題に出会ったときに、一人きりで考えていても進まないようなときに、誰かに相談することで解決の糸口が見つかることがあります。

そうしたときに気軽に相談できる人間関係を築くことが大事だと本書では伝えています。そのための手段の一つが雑談というだけであって、他の方法でも構いません。

たとえば、オフサイトミーティングのような場を用意して、ある程度のファシリテーションを入れて自己紹介を兼ねた対話をしてみるのはどうでしょうか。人間関係を築く上で互いのことを知り合っておくことは基本です。一度でも、そういう機会があれば、次から話しかけるハードルはグッと下がります。

私たちの会社で最近に取り組んだのは、入社する予定の人たちと入社前に合宿に行ったことです。一泊二日の中で、ライフラインチャートという手法を使って互いの人生について語り合い、身体を使ったアクティビティをしてきました。こうして相手のことを少しでも知っていれば、話のきっかけは作ることがしやすくなります。

雑談を嫌う人とはどう接するか?

「雑談しようとしても乗ってきてくれない人がいます」今度は相手方の問題です。これも無理強いをするわけにはいきませんから、無理に雑談しなくても良いでしょう。

ただし、本人が周りに相談しやすい状況にあるのか、周りからも相談しやすいと思われているのか、いずれも出来ていないのだとしたら、もしあなたがマネージャならば、その状況は解消したほうが良いでしょう。

まず、その本人がどういった状況にあるのか、本人と確認してみることから始めましょう。1on1のように二人で話す機会をつくってみるのはどうでしょうか。そこで、チームとして成果をあげていくためには、どうしたら良いのかというところから話をするのです。もし問題がないことがわかれば、あえて雑談を推奨しなくても良いでしょう。

たとえば、私たちは「ふりかえり」という機会を週に一度は作っています。メンターや同僚と、ふりかえりをする本人の1on1形式でやることが多いです。トップダウン的に指導するのではなく、自身の「ふりかえり」という形をとることで、あくまで自分ごととして改善に対して主体的になってもらうことが狙いです。

ふりかえりの中で、もし気軽に相談ができなくてチームに問題が起きていると自覚したなら、その振る舞い方も変わることでしょう。

いくらふりかえりをしても改善する気がないとしたら?どうやったとしても、やる気がないのだとしたら??・・・なぜ、そんな人を採用してしまったのでしょうね。。

雑談の価値を認めない上司をどうするか?

これも先ほどと同じで、他人をなんとかしようとしている話です。しかも、自分よりも立場が上の人間を変えようとしています。こればっかりは、どうしようもありません。

効率化だけを追求して、出来る限りの仕事を詰め込んで、ちょっとした余裕さえなくしてしまうことが成果をあげる方法だと信じて疑わない人に、どれだけ余裕や雑談が大事だと言ってもわかってもらえないでしょう。しかも、下の人間からだと尚更です。

そもそも、こうした問題は何もザッソウに限った話ではありません。アジャイル開発だろうとホラクラシーだろうとリモートワークだろうと、従来型のヒエラルキー組織にいる限りは、下から組織を変えていくことは相当にエネルギーのいることです。絶対に無理とは言いませんが、そのエネルギーの使い方は建設的とは思えないのです。

もし自分のチームを持っている立場ならば、せめて自分のチームで取り組むようにすれば良いでしょう。何も上司を巻き込んで全社でなくても良いはずです。それで成果が出せたなら出世することもあって、より広い範囲に影響力を持つことができるかもしれません。また、うまくいっているチームがあれば、他のチームも真似して取り組むということもあるでしょう。

もし勉強会をする文化のある会社であれば、ザッソウ本を使ったアクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)読書会をやってみるのはどうでしょうか。ABDは準備や宿題のいらない手ぶらで参加できる読書会です。同じ会社の仲間とABDを実施すると、文脈が共有されているだけあって、非常に深い議論をすることができます。読書会むけにゲラの無償提供もしています。

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さて、そこまでやっても何も変えることができないし、上司に相談することもできないような環境にいて、絶望してしまったとしたら自分の中でしっかりと答えを出してから、その上司に相談に行きましょう。

「お話があります。お時間をください」

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倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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