先日、Amazonの提供するクラウドコンピューティングのサービス”AWS(Amazon Web Services)”のユーザイベント”JAWS DAYS 2015″に呼んで頂いて講演してきました。そこで私たちソニックガーデンが、AWSにどんな形でお世話になっているのか話してきたので、それについて記事として書きました。
目次
社内ベンチャー創業とマネジメントバイアウト(MBO)
私たちとAWSとの最初の関わりは、2007年頃にさかのぼります。当時の私はまだシステムインテグレーターの中にいて、社内ベンチャーも立ち上げていない頃でした。クラウドのビジネスをしたいと考えていた私は、新規事業の事業計画を作って当時に勤めていた会社の中で提案を行っていました。
その際に事業計画を2枚つくりました。一つは従来の自社所有のデータセンターを使うプラン、もう一つはAWSを使ったプランです。その差は数字に顕著に現れました。事業にかかるコストが一桁違ったのです。その結果、やはりAWSのプランで承認されることになりました。
AWSがなければ私のビジネスはもっと大掛かりなものになって失敗に終わっていたかもしれません。スモールスタートをするのに、AWSはうってつけだった訳です。
また、その数年後に社内ベンチャーを私が買い取る形で独立を果たすことになります。それが今のソニックガーデンになるわけですが、社内ベンチャーで使っていたすべてのサーバーはAWSを使って動かしていたので、新たに機器の購入などは必要ありませんでした。
そのおかげで独立時に大きな資金を必要としなくてよくて大変助かりました。
富豪的プログラミングとの相性の良さ
私たちソニックガーデンでは、Rubyというプログラミング言語を活用していますが、AWSとの相性の良さを「富豪的プログラミング」の観点から感じています。Rubyを選んでいる理由の一つに、コンピュータリソースよりもヒューマンリソースの効率化を重視している点があります。
小さなチームで大きな仕事をしようと考えているため、なるべく人手をかけないように心がけています。ソフトウェア企業においては人件費こそが最大のコストであって、働く人の時間がもっとも貴重なリソースになります。
そのためパフォーマンスチューニングなどに時間をかけてしまったりする位なら、お金をかけてさっさと解決してしまった方がトータルで見た場合に安くなるケースも少なくありません。
AWSのように従量課金で柔軟にリソース構成を変えることができるのならば、人のコストよりも圧倒的に安く使うことができるため、人間は人間にしかできないところに注力することができるようになります。
少数精鋭を目指さざるを得ないスタートアップにとっては、AWSは欠かすことのできない存在です。
リモートワークと「納品のない受託開発」のインフラ
私たちはリモートワークで日本全国に散らばりつつ一緒に働くという働きかたを実践しています。それができるのもオフィスにサーバーを1台すら所有していないからです。仕事に必要なものはすべてAWSをはじめとしたクラウドに置いてあります。
そして、私たちの実践するビジネスモデル「納品のない受託開発」では、システムを作って納めて終わりのビジネスを否定して、始めてから継続的にずっとメンテナンスと運用を続けていくスタイルを提唱しています。
そのスタイルを実現するのに欠かせないのが、クラウドでありAWSです。私たちは、AWSの上で自分たちのノウハウを活かして「納品のない受託開発」のお客様のサービスを安定して動かす仕組みを構築しています。
「納品のない受託開発」のお客様の多くは新規事業に取り組む企業なので、まずはスモールスタートを望まれていて、その先には事業拡大にあわせて柔軟にインフラを増強していきたいと考えていらっしゃいます。
AWSだったら、そんな柔軟なニーズにも応えることができるのです。
もしもAWSがなかったら・・・
もしAWSがなかったとしたら、「納品のない受託開発」もなく、そもそもソニックガーデンも生まれてなかったのかもしれません。そんな風に思うと、本当に素晴らしいサービスだな、と感謝の念が絶えません。引き続き、よろしくお願いします。