新しいウェブサービスを成功させるには、いくつもの要因があるはず。突飛なアイデア、優れた技術力、市場のタイミング・・・それらも大きな要因ですが、もっと重要なものがあります。それが「ネットワーキング」です。
新しい発想を得るため、自分たちのウェブサービスのフィードバックを得るため、優れた技術を持った人を採用するため、マーケティングに必要な資金を得るため、影響力を持った人に自分を知ってもらうため・・・そのために様々な人と出会う必要があり、その活動がネットワーク作り、つまりネットワーキングです。
資金も人脈も知識も少ないスタートアップにとって、そうしたネットワーキングは非常に重要な行為です。昨年、サンフランシスコとシリコンバレーに行ってきて、そこでおきているネットワーキングの機会の多さに羨望を感じたものでした。もっとインターネット上だけの話なのかと思っていましたが、彼らは実際に会う機会を沢山持っているのです。
インターネットが当たり前になり、その上でのウェブサービスで一攫千金を狙っているとしても、そこに必要なのは、実際に人に会うという行為。自分一人で出来ることは限られています。スタートアップでアイデアがあっても資金がない、技術力があってもアイデアがない、ウェブサービスは作れてもプロモーションのノウハウがない、など。
自分たちだけでは成功の確率は低いけれど、ネットワーキングの中で出会った人たちから支援を得たり、相手を助けて自分も利益を得られたりすることで、成功の確率は大きくあがることでしょう。何よりも、挑戦しようとしている若者にとって、投資家や成功者と直接に話をすることができることは、「自分でも出来るんじゃないか」と脳のブレーキを外すきっかけになるのです。
この脳のブレーキを外す行為に、実際に会うというのは非常に重要なスイッチになるんです。私もアジャイルの本を執筆したり、講演したりと挑戦しようと思えるようになったのは、10年前に平鍋さんに出会い、一緒にお酒を飲むようになって、自分でも出来るんじゃないか、と勘違いするようになったのが最初のきっかけでした。それも、コミュニティというネットワーキングの場での出会いがあったからでした。
最近、日本にも「勉強会」の文化は根付き始めていますが、まだ職種や技術に特化したものが多い印象です。サンフランシスコでは、SF New Techというイベント、シリコンバレーでは、SV New Techというイベントがあり、そこでは「ウェブサービス」を肴にピザやビールでネットワーキングするという「場」があります。
その「ウェブサービス」を中心とした「ネットワーキング」のための「場」を、日本でも作りたいという思いで立ち上がったのが、ヌーラボの橋本さんが中心になって作られた JP New Tech です。その第0回とも言うべきプレパーティが、昨日開催されました。
運営スタッフのリアルな知り合いを誘い合って40名ほどが集まる盛況なイベントで、運営の皆さんのファシリテートもうまく、参加された皆さんの意識も高く、どんどんと名刺交換や自分たちのサービスやビジネスの紹介をしあうという、ネットワーキングとして目指す場が出来ていたように思います。運営スタッフの皆さんありがとうございました。
今回の JP New Tech の参加者としては、「楽しかった」ということは勿論とても大事なことだったと思うし、「勉強になった」ということも大切なことだと思うのだけど、一過性でなく、次に、ビジネスに、価値に、未来につなげていくことが大事になってくると思います。参加者の皆さんが、ここでのネットワークをどう活かすのか、そして私自身どう活かそうか、楽しみにしています。