その努力を無駄にしないために、要領のいい仕事が出来るようになる考えかたとは

その努力を無駄にしないために、要領のいい仕事が出来るようになる考えかたとは

一生懸命に仕事をする、というのはどういうことでしょうか。決められた作業リストがあって、それを全部こなすこと、時間をかけてでもやりきること、そういったことも一生懸命に仕事をすると言えるでしょう。しかし、それだけでは価値のある仕事に繋がらないことも多く、努力が無駄になることもあります。

一方で、どこにでも要領のいい人はいます。要領がいい人は、仕事も早く終わらせることができて、しかも評価される仕事をしています。短い時間で成果を出せる方が、沢山の価値を産むことは違いありません。では、そうした人たちは産まれ持った能力が高いのでしょうか。それもあるけど、それだけではないでしょう。

そもそも、要領がいいことと、努力することは排他的ではありません。要領がいい・要領が悪いという軸があるなら、努力する・努力しないという軸もある筈です。それは4象限で考えることが出来ます。

要領が悪く、努力もしない人はどうしようもありません。要領はいいけれど、努力しない人に、要領が悪くても努力する人が勝つことができれば美談になります。ただ、現実で最もいいのは、要領が良くて、その上で努力することです。

ソニックガーデンでは、能力や年次に関係なく、要領のいい仕事の仕方を求められます。どれだけ楽に仕事をすることが出来るのか、限られた時間の中で要領よく仕事をすることで、仕事をお願いする方にとっても、本人にとっても、有意義な時間の使い方が出来ます。要領よく仕事をすることを善しとするカルチャーがあります。努力はその上でするものです。

では、そうした要領のいい仕事をするにはどうすればいいでしょう。私たちはセンスだけに頼らないで、思考方法の訓練をすることで、徐々にできるようになると考えています。この記事では、その「要領が良くなる方法」について考えてみます。

Golf flagGolf flag / Ben Sutherland

目的を確認し見失わないように

私たちは、作業をこなすだけでは価値はなく、目的を達成することが本当の仕事だと考えるようにしています。

そのために、言われた作業を盲目的にひたすら努力することよりも、最小限の労力で目的を達成するために頭を使うことを求めます。目的を達成出来るのであれば、要領よくショートカットしたとしても許されます。

大事なことは、「目的は何か」ということを見失わないことです。

作業を目的としてしまうと、頭を使うことをやめてしまいます。作業は仕事ではないのです。結果を出すことが仕事なのです。

もしかすると普通の会社であれば、部下や社員には作業をすることを求めることもあるかもしれません。仕事とはしんどいものだという考えかたもあるかもしれません。しかし、そんなことは本当は誰も求めていません。それって要領が悪いですよね。

目的を確認し、結果を出すためになら、頭を使って楽をする方法を考えていいのです。そのために、仕事の依頼があったら、上司や顧客にその目的を確認するように、そして、それを見失わないようにします。

目的のためなら常識を疑うアプローチを

目的を見失わないだけでなく、仕事を受けるときに目的を把握できたら、それを実現するためのより簡単なアプローチを考えて提案できるようになることを目指します。そこまで出来て、本当に要領よく仕事をすることが出来るようになります。

そのためには、常識を疑ってかかるようなアプローチが必要です。

これって仕事も同じことで、ただ努力しても劇的な成果には結びつかないんですね。要領よく仕事をするためには常識を疑う必要があります。ただこれを上手に考えられるようになるためには経験が必要です。

そのためには常日頃から、そういう意識をもつことが大事です。どんな単調な作業であっても工夫する余地は残されていて、そうした作業をするときでさえ、裏技を使うことを考えながらするかどうかで変わってきます。

意識をもって仕事に取り組むこと、それが経験を積むということです。

要領の良さを評価するカルチャーと仕組み

目的のためにアプローチを変える提案をする、とはいっても、仕事を頼む側が、その要領のいいアプローチの提案を受けれ入れなければ、これはうまくいきません。そのために必要なのは、カルチャーと仕組みです。

同じ時間であれば、簡単な方法で目的を達成した方がお互いに嬉しいと思えるようなカルチャーのない組織では、そうはいかないでしょう。また、作業をすることで満足するような人がいてもうまくいきません。要領よく仕事して残業しないで済ませることの方が良い、というカルチャーです。

たとえばソニックガーデンでは、何か取り組みをしようというときに「そもそも」という言葉がよく出ます。よくある「なぜなぜ」ではなく、そもそも何をしたかったかを確認します。それで、より良いアイデアが出れば、誰からのアイデアであっても受け入れます。

そういった気持ちの問題がひとつ。

もう一つ必要なのは仕組みです。お客さまからの依頼で仕事をするときに、もし作業や機能一覧で契約していたとしたら、どれだけ目的に叶うための効率的なアプローチであっても、その内容を覆すことはできません。仕組みがなければ実現できないのです。

たとえばソニックガーデンでは、月額定額という形で受託開発を行っています。それであれば、限られた時間の中で最大限の効果を出すアプローチをとろうとすることに対し、お互いに前向きになれます。だから、仕様の段階まで戻って、楽に実現する方法を提案します。

このような、楽になることを善しとするカルチャーを醸成することと、それが不自然にならない仕組みをもたせることによって、社員は要領のいい仕事を志向するようになります。

私は、経営というのは、「気持ち」と「仕組み」の両方を揃えてあげることだと考えています。気持ちだけで仕組みがなければ続きませんし、仕組みだけで気持ちがなければうまくいきません。大事なのは「気持ち」と「仕組み」の両方です。

要領のいい仕事をして、人生の時間を有意義に過ごしたいものですね。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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