2011年に起業してから学んだことを改めて思い返しています。まとめると以下のような3つの学びがあったように思います。
- 人の縁こそビジネスの基本
- 仕組みや規則はシンプルが一番
- 変化しないことは現状維持ではない
これらの学びと、その学びから得られた2012年の行動指針について考えました。
目次
人の縁こそビジネスの基本
「人との出会いを大事にしましょう」なんて、みんなわかってそうなことですが、会社員をしている頃と起業してからでは、その重みが本当に違うんだと実感しています。
会社員の頃は、やはり組織に属していますから、新たな出会いや社外の繋がりがなくとも「ワークする」仕事は沢山ありました。しかし起業してからというと、お客様にしても、パートナーにしても、新たに採用する社員にしても、どれも縁がきっかけで産まれています。
紹介してもらってお仕事を頂いたり、勉強会で出会った人にお仕事をお願いすることになったり。新たな出会いがあることで、思っていた未来から外れることがあるけれど、それが成長の機会だったりします。
そのためには、いつもと同じ場所にいたり、同じコミュニティにばかり行っていては駄目だと気付きました。私の2011年は「リーンスタートアップ」というキーワードに惹かれて勉強会やコミュニティに参加したことで、これまでにない人たちとの多くの出会いがありました。
「新しい違うフィールドに出て行く勇気をもつこと」が1つ目の行動指針です。
そして「キープインタッチ(Keep in touch)」も大事です。一度きりの出会いはただのすれ違いに過ぎず、何度か会う機会があってこその「縁」です。これまでだったら勉強会に足繁く通うことで知り合いが出来て縁になっていくこともありましたが、最近はFacebookのおかげで縁が出来やすくなったように思います。
自分のことを知ってもらっているというのは、ビジネスをしようとする際にすごいアドバンテージになります。エンタープライズ分野のビジネスでは特に、人と人の繋がりや縁が大事にされますし、これからはより一層そうなっていくのだろうと思っています。
こんな当たり前のことを今更ながら実感していますが、会社の傘から出てみないと気付けなかったことでもあります。改めて多くの出会いと縁に感謝です。
仕組みや規則はシンプルが一番
大きな会社に属していると、そこにある規則や常識が世間一般のものと同じだと思ってしまうことがあります。特によくわからないことや苦手な分野については、既に用意されたルールに従うことは簡単なことなので、つい従ってしまいがちです。
起業して自分たちの会社の規則などを決める際も、元々いた会社の規則を参考にすることも考えたのですが、重厚長大すぎると気付いたのでやめました。自分たちの考える会社像やビジネスモデルにあわせて、必要最低限なシンプルなものを作ることにしました。
私たちが会社についての一般常識が少なかったことも幸いしたのかもしれませんが、会社の仕組みを決めていくにあたり、一つ一つどういう意味かを勉強しながら決めていったので、いらないものをなくしてシンプルに出来たのだと思います。
そのプロセスを経たことで、これまで常識や制約だと思っていたことは、ただの会社内に限ったルールだったことを思い知りました。勿論、日本の法律から外れることは駄目ですが、それ以外はビジネスの創意工夫として色々するべきです。
起業する前に「社長は会計や資金繰りが大変でやりたかったことが出来なくなるよ」と言われたこともありました。しかし、それは真実ではありませんでした。その人たちが考えるビジネスの常識に過ぎなかったのです。
何か新しいことに挑戦しようとするならば、それまでの常識だと思われていたことよりも、自分たちのビジネスについては、自分たちが一番良く知っているので、だいたいにおいて自分たちの頭で考えたことは正しかったことが多いです。
「常識を疑って自分たち自身で考えて行動すること」が2つ目の行動指針です。
慣習や常識に無闇に従うのではなく、自分たちで考えて、自分たちなりの「答え」を持っていることが大事です。会社における決めごとの全てに「何故そうしたのか?」の理由があるべきだと思うようになりました。
それが会社内の哲学やポリシーになって社員のみんなに浸透すれば権限委譲も出来るようになります。しかし、その結果として、いつか今の自分たちの中ですら「会社の常識」が出来てしまう時がくる筈で、そうなったときに自分たちで自分たちが作った常識を壊していくという意思を持っていたいと思っています。
変化しないことは現状維持ではない
これも良く言われることで、ただ現状維持をしているつもりで何も変えないで安定して経営をしていくことは、実は現状維持にすらなっていないということがあります。
起業したばかりの頃は混沌としていて、安定してるなんてことはなくて色々と考えて変えてくるのが当たり前で、いつかもっと安定させたいと思ったりもしましたが、世の中は自分たちだけでまわっている訳ではないので、そうそう安定するなんてことはないんですよね。
会社員でいたころは、半年や1年といった単位で評価されて、場合によっては組織変更や異動などにより数字がリセットされることもありましたが、起業するとそんなことはなくなります。
年度の目標や期ごとの評価も大事ですが、その期間を走りきれば良い訳ではなくて、間違いだと気付いたり、もっと良いアイデアがあったりしたら、どんどん変えていかないといけないし、そうした方がうまくいっているように思います。
会社を経営していくと少しずつ安定しそうになりますが、いつまでも起業したてのような気持ちと状態を維持していけるようにしたいと思っています。そのために、常に会社に新たな変化を持ち込んでいきたいし、既にある仕組みを壊すことができるとしたら、それはトップにしか出来ないことです。
「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という言葉がありますが、歴史に学びすぎて経験できないなんてことの方が実は愚かで、変化をするためには経験しないとわからないことが多いはずです。
「変化するために新たな経験に投資していくこと」が3つ目の行動指針です。
経営するということは、会社がもつ経営資源をどこに賭けるか(投資するか)を考えることだと思っています。お金を生み出す営業活動や制作といった仕事をすることも大事なことですが、生み出された資源をどう使うかを考えることこそが経営者の仕事になるんだと思います。
会社を立ち上げたばかりで大きくないうちは、次の半年や1年先のために何にどれくらい賭けるのかを考えるので精一杯です。しかし、この先経営をつづけていくことで、10年経ったときには、そこから10年先の未来のために賭けれるような会社にしていきたいと考えています。それが会社の成長のような気がします。