「まかないランチ」のふりかえり 〜 気楽にマジメな話をする場の作りかた

「まかないランチ」のふりかえり 〜 気楽にマジメな話をする場の作りかた

私たちソニックガーデンでは、毎週の金曜日にオフィスで食事をつくって、社員のみんなで一緒に食べるという「まかないランチ」を実験的に先月くらいから始めました。なんとなくペースも掴めて続いているので、振り返ってみました。

ホットプレート一つで「まかないランチ」

自分たちで食事を作ると言っても、私たちが入っているのは普通のオフィスなので、本格的なキッチンがある訳ではありません。そこで、ホットプレートだけを購入して、その出来る範囲で作ることを始めました。

ソニックガーデンの経営哲学として、最初から大きく始めない、というものがあります。どんなことも、最初は必要最小限で足りないくらいのところから始めて、うまくいきそうであれば、徐々に広げていくということをしています。

今回の「まかないランチ」もそうやって始めました。

しばらくやってみてわかったことは、ランチ程度なら工夫次第で、ホットプレートでも案外ちゃんと作れるということです。これまでに作った料理は、牛丼、タコライス、鶏飯、麻婆丼、スタミナ丼、キーマカレーと、すべて丼物です。

丼物であれば、あとはサラダと味噌汁を用意さえすれば、それなりのランチになりますし、お茶碗とお皿に分ける必要がないので、後片付けも楽です。

材料は今時ネットスーパーでだいたいのものは買えてしまいます。(余談ですが、ネットスーパーを使い始めて、その使い勝手の悪さに愕然としました。UIをなんとかしてほしい。)

なぜ「まかないランチ」を始めたのか?

私たちの「まかないランチ」では、ソニックガーデンの経営者である私や副社長と、現場で働いてくれているプログラマのみんなが一緒になってランチをとりながら、ざっくばらんな雑談もしますが、どちらかというと会社のことについて話をしています。

会社のことを話すといっても、仕事の進捗会議をする訳ではありません。経営者である私がその時々で考えていることや、新しく取り組んでいることなどについて、共有をしています。現場の話というよりも、もうちょっと経営の考え方の話です。

経営をしていく上での理念や哲学について話をしようとすると形式ばってしまうことが多く、また、そのためだけに時間を割くというと抵抗感も出てきてしまいます。そうして、つい立派なことを話さないといけない気持ちにもなってしまいます。それは億劫になります。

つまり、結論も出さないし、決断もしないような話をしたいときに「会議」という場は向いてないのです。

そこで、もっとフランクに時間を気にせず話ができる場があると良いと思い、週に1度くらいは全員で集まって食事をしながら話をする機会を作ろうと考えました。

ただ問題になったのが人数です。全員の人数が6人までであれば、外食のお店も探せば見つかりますが、7人を超えて一緒に話をしながら食事できる店というと、なかなかありません。

そして、ソニックガーデンはギルドも入れると、その人数は超えてしまっていました。

そこで考えたのが、自分たちで食事を作るというアイデアです。はてなさんをはじめ、色々な会社でもやっているので、自分たちでも試してみることにしました。

気楽に真面目な話題をする場所

「まかないランチ」をしばらく続けてみて、経営と現場での意思疎通が進んだように思います。特に、最近は社長である私が現場に出張って仕事をすることが殆どなくなっていて、それ自体はいいことだと考えていますが、やはり仕事を通じて伝えることが出来ない分、このように伝える機会があるのは良いことだと思いました。

また、自分たちで料理を用意するというのも良いきっかけになっています。コンビニでお弁当を買ってきてオフィスで話をするのでも同じことですが、どうしてもタイミングがバラバラになってしまいがちですし、経営者側がついつい忙しいことを理由に参加しなかったりしてしまいますが、自分たちで作るという特別感がそういうムードを払拭してくれます。

オフィスで「まかないランチ」を食べるという演出は、「気楽に真面目な話をする場」を作りだしてくれています。

気楽に気楽な話をするのはただの懇親会ですし、真面目に真面目な話をするのは会議です。普段はなかなか考えない経営について皆で考えるような場としては、そのどちらかではなく、その中間くらいがちょうど良いですね。このアイデアは、スコラ・コンサルトさんのオフサイトミーティングを参考にしています。

同じ釜の飯を食う「まかないランチ」は、一種のオフサイトミーティングなのです。

課題は料理づくりですね。人数が10人ほどの料理を作るのはそれなりに大変です。料理というより給食な感じです。ただ、一人きりで作ると大変ですが、一緒に作る副社長と話をしながら料理を作るというのは、割と新鮮で、思ったより話が出来て良い感じです。料理を作りながら経営会議をしています。

もう一つの課題は、在宅勤務でリモートで働く社員が参加しずらいことです。これは今後の課題です。

ソニックガーデンのまかないを作って食べてる様子などは、会社のブログで紹介しています。あわせてご覧ください。
ソニックガーデン金曜恒例社長の作る「まかないランチ」

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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