テレビ会議を劇的に円滑にする簡単なノウハウ

リモートワークをする人たちだけに限らず、今や多くの場面でテレビ会議を活用する人が増えてきたように思う。時代の流れなのか数年前に比べて、抵抗を示す人たちが減り、もっとうまく活用したい機運も高まっている。

テレビ会議を活用すれば、生産性は圧倒的に向上するし、働き方も一変する。移動時間ゼロで、誰とでもミーティング出来るのだから、電話がなかった時代が想像できないように、テレビ会議に慣れると無かった時代を思い出せなくなる。

一方で、まだ上手に活用できていない人たちも多い。うまくいかなくて苦手意識を持っていたり、やってみたいけど心理的なハードルがあったり。テレビ会議を活用しないのは、人生を損しているので、多くの人たちに出来るようになってほしい。

そこで本稿では、本当にささやかで簡単なことだけど、劇的にテレビ会議をうまくするためのポイントについて書いた。

マイク付きイヤホンを使うこと

最も大事で、最もシンプルなノウハウを一番最初に書こう。テレビ会議をする際は、マイク付きイヤホンを使ってほしい。

慣れてない人ほど、ノートパソコンでそのまま繋ぎがちだが、そうすると周囲の雑音を拾ってしまって、本人は気付かなくても、相手側には非常にノイジーに感じてしまうことがある。

それに、相手からの声も聞こえにくくなるし、かといって、ボリュームを上げると、周りに声が聞こえてしまう。相手側にとっては、周りの人に聞こえてるかもしれないと思うと安心して話せない。

解決策は、マイク付きのイヤホンを使うことだ。iPhoneを買ったら付いてくるもので十分。高価なヘッドセットとかでなくても良い。かっこいい無線じゃなく、有線のものの方が安定してて良い。

特別な機材は不要、カメラ付きノートPCでOK

「テレビ会議をするのに、どんな機材を使ってますか?」とよく聞かれるが、特別な機材は使わない方が良い。

カメラ付きのノートPCさえあれば良い。そして、今どきの殆どのノートPCにはカメラが内蔵されている。なければ、3万もしないChromebookでも良いから買おう。

良い機材が揃ってないと、画面や音声の品質が悪いから、なんてのは昔の話で、今やスマートフォンでも十分にテレビ会議できる。

ただ、スマートフォンでテレビ会議をするのは上級編で、画面や表情をみたりするために、それなりのディスプレイの大きさが必要になる。タブレットくらいあれば問題ないだろう。

なによりも、特別な機材を用意するのは大変だし、いちいち準備が面倒で、そうなるとテレビ会議をすることが億劫になる。楽じゃないと当たり前のことにはならない。だから、特別な機材なんて使わない方がいい。

複数いる会議室と繋ぐTV会議はダメ

テレビ会議のよくある光景が、会議室に数人が集まって、遠くにいる一人だけとテレビ会議を繋ぐ様子。これ、うまくいかないので、やめてほしい。

リアルにいる人たちが集まってる場に対して、離れた場所から声をかけて会話に入るのは、とても難しい。どんな機材を用意しても難しい。機材の問題ではない。

もし、遠方にいる人からの一方的な発信を受け取る講義形式であったり、リアルに集まってる人たちの会議を遠方の人はただ聞いてるだけのラジオ形式なら問題ない。

しかし、ちゃんと議論とか話をしようとするなら、全員が各自のパソコンからテレビ会議に参加すると良いだろう。

全員を同じコンディションにする

マイク付きイヤホンも、特別な機材を使わないことも、各自のパソコンからテレビ会議に参加することも、どれも、テレビ会議に臨むコンディションを同じにすることを狙いとしている。

なるべく全員を同じ状態におくことで、疎外感をなくし、公平に話がしやすくなる。

私たちソニックガーデンの場合、東京の自由が丘にワークプレイスがあるので、そこで働くメンバーもいるが、例えば自由が丘に二人いて、岡山にいるメンバーとテレビ会議をしようというときは、それまで自由が丘で隣に座っていた人たちが、それぞれ別の部屋にいってテレビ会議に繋ぐといったことは、よくある。

テレビ会議の方が主で、それを円滑にするためにリアルな場を整えるのだ。

全員が顔を出すこと

テレビ会議の場合、顔が映し出されるので嫌がる人もいるかもしれないが、これも全員を同じ状態にするという原則からいっても、ちゃんと顔出しする方が良い。

リモートワーク否定派の人が言う、テレビ会議だと空気感が読めない、という問題のほとんどは、相手の顔が見えるかどうか、だと思う。空気感みたいなスピリチュアルな話ではなく、伝えているのは表情だろう。

それに、人間の脳の特性なのかわからないが、人の顔が見える方が安心感は非常に大きくなる。ちゃんと議論したいなら、互いの表情がわかるように顔を出してテレビ会議に臨もう。

声に出して相槌をうつこと

とはいえ、いくら画面で表情を伝えようとしても、相手が見ようとしていなければ、伝わらない。テレビ会議で話していて不安になるのは、相手が聞いてるかどうか、わからなくなることだ。

それこそリアルな会議であれば、話してるときにその場にいる人たちが目の端に入れば、頷いている様子など見て安心することができるが、テレビ会議ではそれが難しいのだ。

そこで、聞いてる側の人は、静かに相槌を打つだけでなく、「うんうん」と小さく声に出して聞いてあげると良い。そうすると、話してる方も一人で話してる感じがなく、安心して話ができる。

話終わったら「以上です」

テレビ会議の特徴は、全員の声が同じ大きさになることだ。物理的な会議室なら、会議室のすみに座っている隣同士で小さな声で話をすることもできるが、テレビ会議では出来ない。

つまり、同時に話をするのはテレビ会議の間は一人だということになる。これが制約だ。うまくタイミングを合わせないと、どこで話に入って良いかわからなくなってしまうことがある。

それを避けるためにも、自分が話終わって、他の人に話してほしいときは、「(こちらからは)以上です」と言ってあげると良いだろう。

慌てない、落ち着いて、雑談してもいい

テレビ会議をするのに慣れていない人で、異常に慌てている人がいる。すぐに要件に入ろうとするし、話し終わるとすぐに切ろうとする。電話料金でもかかると思っているのだろうか。

そんな感じだったら、もしテレビ会議でなかったとしても、良いコミュニケーションは出来ないのではないか。前後に多少の雑談があった方が円滑にすすむはずだ。

テレビ会議だからといって特別なことは何もなく、テレビ会議に参加した時も、普通に会議室に入ってきたくらいの感じでいれば良いのだ。

周囲が煩いときは気にせずミュート

カフェなどからテレビ会議に参加すると、思ったよりも周囲の音や声を拾ってしまうことがある。もし、自分のまわりが煩いなと自覚したら、自分のマイクをミュートにしよう。

そして、自分が話したいときだけミュートを解除すれば良い。そして、ツールによっては他の人を強制的にミュートにすることが出来るものもある。

もし環境音で煩いのであれば、気にせずに煩い人をミュートにしてしまえば良いし、ミュートにされた方も気にしないで良い。変に気を使うのはやめよう。

テレビ会議が始まるまえにチャットで声かけを

あらかじめ時間を決めておいて、テレビ会議をする際に、いきなり繋いでくる人がいて驚く。確かに、テレビ会議をする予定だったから良いものの、違和感を覚える。

ちょっとしたことだが、いきなり始めるのではなく、リアルタイムで反応しあえるチャットを使って、声かけをしてからテレビ会議に入る方が良いだろう。

「これから繋ぎますね」と一言あるかどうかで、だいぶ印象が変わる。互いの状態を確認してから繋ぐのがポイント。

画面共有をしてメモをとること

テレビ会議であっても、ミーティングには違いないので、ただ空中戦で話をするだけでなく、互いの認識を文字にして確認しながら話をした方が建設的で、生産的な会議になる。(イマドキの会議の生産性を上げる3つの基本 〜 議事録を捨てて「議事メモ」をとろう

リアルな会議室であれば、ホワイトボードを使おう、という話だ。ホワイトボードに書き出すことで、「問題vs私たち」の構図を作り出すのだ。

テレビ会議ではどうするのか。テキストを書いているメモを、画面共有の機能を使って、会議の参加者全員で見るだけで良い。とてもシンプルだ。私たちは、そのツールとして「Quip」というのを使っている。

イメージを共有するときもツールを活用

この辺りからは上級編になる。

ホワイトボードであれば、文字だけでなくフリーハンドで絵をかけるが、そういったイメージを共有したいときはどうすれば良いのか?

これもシンプルで、画面共有しながら、自分が使い慣れたお絵かきツールを使って描くだけだ。モダンなツールで言えば、ショートカットの豊富なSketchだし、使い慣れたパワーポイントでも良いだろう。

特別なツールを使おうとしないことがポイントだ。どうしてもフリーハンドにこだわるなら、iPad Proなどを使うのもありだろう。

ラジオ参加するときはフェイスをオフに

私たちの会社では「ラジオ参加」と言って、ミーティングのメインの参加者じゃない人や、ただ興味があってミーティングを覗いてるだけの人が、聞くだけの参加をしたりする。それで情報共有を促進している。

「ラジオ参加」ができることが、物理的な会議室のいらないテレビ会議の革命的なメリットの一つと言える。ちなみに、もう一つの革命的なメリットは、録画して共有できることだ。

「ラジオ参加」をする際には、ミュートにしておくのと、顔を映すカメラもオフにしておく。何も喋らないのに、ずっと居座ると威圧感が出てしまうからだ。

ソフトウェアは使い分ける

テレビ会議のツールはいくつかある。私たちは、Zoomをメインに使っているが、それ以外にも、appear.inや、グーグルハングアウト、Skypeも使っている。

Zoomが今のところ、映像の品質も良いし、何よりも帯域を使いすぎないので、通信量も抑えられる。よって、私たちがバーチャルオフィスとして使っているRemottyと連携して、すぐに起動できるようにしている。

しかし、Zoomの場合、いくら簡単とは言えインストールが必要なので、一度だけテレビ会議をするような時には向いていない。

私たちで言えば採用面接や初回営業など、もしかすると一度で終わってしまうようなときは、appear.inを使っている。appear.inの良さは、本当にURLだけで通話できることだ。

それ以外にも、相手に合わせてツールも使い分けることがある。本質はテレビ会議をすることで、ツールを使うことではないのだから、慣れているものを使ってもらうほうが良い。

テレビ会議の背景にも気を配る

テレビ会議をするときに気になるのは、相手の背景だろう。ビジネスの話をしているときに、相手側の背景がもろに和室だったりすると、どうも格好がつかない。そんなときはどうするか。私たちは、こうしている。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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