生産的なチームの会議は報告じゃなく生産をする 〜 会議を協働作業にするパラダイムシフト

生産的なチームの会議は報告じゃなく生産をする 〜 会議を協働作業にするパラダイムシフト

会議というのは、仕事をする上で必要不可欠なものですが、会議が多くなりすぎると生産する時間がとれなくなってしまいます。その結果、会議ばかりで仕事をした気にはなっても何も生み出していない・・・なんてことになりかねません。

小回りがきいて生産的だったチームが成長を重ねるにつれて、会議が増えていきチームの生産性を落としていくことはよくあることです。この記事では、生産的なチームであり続けるための、会議に対する取り組みについて考えてみました。

報告と報知のためだけの会議は無くしても良い

会議とは果たして本当に必要なものなのか、ということから見直すべきです。何のために会議をしているのか、実は多くの会議は、「会議」というフォーマットである必要は無いのではないか、と私たちは考えています。

私たちが無くしても良いと考える会議は、報告や報知のための会議です。何人もの人を集めて順番に進捗や状況を報告する会議に出たこともありますが、ただそこで順番に上司に説明していくだけの会議など、集まってする意味などあるのでしょうか。

私たちの会社では、そういった会議は極力なくしています。進捗状況などはすべてツールで共有するようにして、必要であれば確認したい人が自ら見にいけば知れるようになっています。情報は受け取るものではなく自ら取りに行くべきものです。

ここで無くしても良いと考えている報告は、定例の状況報告であり、何かトラブルが発生した場合などは報告が必要ですが、会議という形である必要はないということです。むしろ適時にツールを使って関係者へ報告があってしかるべきでしょう。

全社への報知や連絡についても同様です。一方通行で話をするときに人を集めて会議にする必要などありません。私たちの会社ではオンラインでさえ全社員が集まるような会議はありません。これも会議という形をとっていないだけで報知はあります。

私たちの会社では「Remotty」というツールを使っていますが、その機能を活用して全体への報知を行っています。また、社長である私からのビジョンや価値観は「社長ラジオ」という取り組みで毎朝5分のメッセージを全員に配信して共有しています。

残すべきは相談や議論をするための会議

報告と報知は、会議という形である必要はないということであれば、どんな会議であれば意味があるのでしょうか。私たちは、相談や議論をして問題を解決したり成果を作るための場としてこそ、本来すべき会議だと考えています。

一方通行に話をするのではなく、お互いに話し合う必要のあるからこそ会議として成立します。同じ時間を共有することで、考えてきたことを相手に伝えるだけでなく、その場でのインタラクションを生み出すのは意味があることです。

そのお互いのやりとりを上質なものにするために、テキストで共有できるものは事前に共有しておくようにしています。事前に文脈が共有されていれば、会議の際には最初から議論をスタートすることができて、時間を効率的に使えます。

私たちの会社では、そこからさらに事前にすることとして「Remotty」の上で、ある程度まで議論を煮詰めておくようにしています。お互いの主張や考えを出しておけば、会議では着地させるための議論と決断だけに集中できます。

また、会議のためにプレゼン資料を作ることなどもしません。きっちりした資料を作ってプレゼンをして決裁の合否をもらうような会議も出たこともありますが、社内でそんな一発合格を狙うような試験をすることに価値は感じられませんでした。

Amazon社の会議でも、パワーポイントを使ったプレゼンはなく、冒頭でテキストで用意された資料を参加者全員で静かに読み込んでから、議論を行うという習慣があるそうです。彼らも会議は報告ではなく、議論の場であると考えているのでしょう。

会議の形にこだわらず協働作業にしてしまう

会議の本質とは、参加者同士がその場で話し合って問題を解決すること、もしくは、参加者同士が共に作業して成果物を生産すること、ではないかと考えています。それが実現さえできれば、会議という形にこだわる必要などありません。

私たちが会議で意識していることは、持ち帰っての検討はしない、ということです。いずれ一人になってから検討をするのなら、その場ですれば良いのです。「ライブ力」と呼んでいますが、その瞬間に深く思考し瞬時に答えを出す力が求められます。

会議を情報共有の場ではなく問題解決と設計生産の場と捉えると、退屈な場から一転して非常に創造性と刺激の溢れる場に変わります。ただし、会議が真剣勝負になるので、ぐったりと疲れます。が、そもそも仕事なのだから疲れて良いはずですよね。

会議のために過剰な準備は要らず、会議の中で成果物を一緒に作り上げる感覚は、むしろ会議というより「協働作業」です。チーム内の協働作業だとするならば、会議の時間を決めてそれまで待つまでもなく、いつでも声をかけて始めれば良いのです。

私たちの会社で使う「Remotty」では、リモートの社員も含めて社内の誰とでも気軽に声をかけあえる環境が作れます。リモートワークが前提でオンライン会議となるため会議室の予約も不要で、部屋があるからと時間いっぱい使うこともなくなります。

ツールで代替することで会議自体の回数を減らすこと、会議の形を小口化して1回の時間を短くすること、たとえ会議が増えたとしても会議の時間そのものを使って成果を生み出していくことで、チームは生産的であり続けることができます。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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