オンラインで信頼関係を構築するには

先日、とあるイベントに登壇して「オンラインで信頼関係を構築するには」というテーマで話をしてきました。

コロナ禍の中で、テレワーク/リモートワークに取り組まざるを得ない状況の中、どうやって今までのように信頼関係を築けば良いのでしょうか。オフィスをなくして、全社員がリモートワークで働く私たちの経験を元に考えました。

私なりの意見としては、オンラインならではのツールなど表面的な手段の違いはあれど、信頼関係を築くためには、約束を守ることや互いを知ること、対話をすることなどの当たり前のことをするしかないのではないでしょうか。

どうすれば仕事を任せられるようになるか

オンライン特有の話ではないですが、仕事の関係者から信頼してもらえるようになるには、シンプルに約束を守ることから始めると良いでしょう。相手に仕事を任せたいと思うのは、少なくとも約束を守ってくれる人ではないでしょうか。

それも小さな約束を守ることを繰り返すことが効果的です。大きな約束をして、相当な時間をかけて守って示したとしても、相手が忘れてしまっていたら意味がありません。

約束を守るといってもささやかなもので構いません。待ち合わせに遅刻しないとか、ちょっと頼まれた作業をするとか、そういったもので十分です。内容よりも、約束を守ってくれたことが大事なのです。

「信頼貯金」という言葉がありますが、この口座の特殊なところは、一度に預金できる量に限度があることです。ものすごく大きな出来事も、小さな出来事も一つの成功体験としてカウントされるだけなのです。ポイントは大きさよりも頻度です。

相手に信頼されたければ、小さな約束を何度も守っていくこと。だから、短期的な利害関係とは違って、信頼関係を築くには時間がかかるものなのです。だけど、オンラインだからって構築できないものではありません。

仕事の信頼関係は、仕事でしか得られない

オンラインになると飲み会ができないので、信頼関係を築くことが難しい。そんな意見もありますが、本当の意味での仕事の信頼関係は、いくら飲み会をしても得られるものではないと考えています。

見ず知らずの人と飲み屋で知り合って仲良くなったからといって、自分の大事な仕事を任せようとは思わないでしょう。チームにおける互いのことを知り合う時間としての飲み会には一定の効果はあるでしょうが、それは信頼とは少し違います。

仕事相手として信頼できるかどうかは、やはり一緒に仕事をしてみることでしか得られません。仕事を通じたコミュニケーションで、その人の仕事に対する姿勢などがわかってくるはずです。

私たちは、中途採用の応募者の方と一緒に何か仕事をするようにしています。こちらの依頼に応えてもらう形だけでなく、一緒のチームとして関われるのか確認するためです。仕事というよりも、目的達成のための共通体験です。

結果だけ見れば、強いチームには信頼関係があるように見えます。だから信頼関係を作ると強いチームになれると思いがちですが、チームでの共通の成功体験を繰り返すほどに信頼関係が築かれて強いチームになっていくのです。

信頼関係の前に、人間関係がある

オンラインになることで、職場の人たちとの関係が希薄になってしまった。もしくは、中途採用で入社したときに、人間関係を構築することが難しい。そうした声もあります。これは信頼関係というよりも、人間関係の話です。

職場における人間関係は、困ったときに適切に相談できる人がいるかどうかなので、仕事の成果にも影響を及ぼします。相談できるかどうかの第一歩は、相手と自分が互いのことを知っているかどうかの認識が必要です。

こればかりは個人の努力では難しく、認識してない人に話しかけることは不可能なので、社内で互いのことを知り合う機会を作る必要があります。OJT担当の先輩社員がついたら、社内の人を紹介してあげていく方が良いでしょう。

知らない人同士が一緒に働くプロジェクトならキックオフミーティングで、自己紹介と互いのことをざっくばらんに話をできる時間を作るのは定石です。オンラインで飲み会ができなくても、代わりの時間をとることはできます。

先日、私たちの会社で新しいチームが発足したときは、オンラインでのキックオフでしたが、最初に自己紹介のワークショップとして「偏愛マップ」を作って共有しあうというものをやってみました。共通点が見つかるだけで親近感が湧きますね。

信頼関係にオンラインは影響を及ぼさない

こうして考えると、オンラインであるかどうかは信頼関係の構築に、あまり関係がありません。逆に、オフィスに集まっていたからといって、信頼関係が築けていたと考えてしまう方が怖いと思いませんか。

オフィスにいるからといって、自己紹介などの互いのことを知る機会を作らず、チームで成功体験を共有する機会もなく、個人でいえば約束も守っていかなければ、信頼関係など築けるはずはないのです。

つまり、信頼関係を築きたいのであれば、やるべきことはオンラインでもオフィスでも違いはなく、その手段を少し工夫するだけで良いのです。オンラインだからと特別に新しいことをする必要はありません。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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