2024年ふりかえり

去年と同様、2024年を思い出せるようにふりかえっておきます。2024年も、多くの方と関わり支えられた一年でした。ありがとうございました。

倉貫書房の1冊目を発売開始

去年のふりかえりでは準備中だった出版事業ですが、諸々の準備が整い、2024年3月に初の書籍「私はロボットではありません」の発売を開始しました。版元は「倉貫書房」となりました。

社会人3年目になる主人公の健太が、未来を映すアプリで自分の望まない未来を見てしまう。不思議な男リッキーとの出会いから、未来を変えるために奮闘していく。「ふりかえり」「ざっそう」「タスクばらし」を身につけ、いい感じに働けるようになっていく・・・という小説です。

書籍の制作なので、装丁や印刷会社なども自分たちで手配したので大変でしたが、実際に印刷された書籍を手に取ると、感慨もひとしおでした。

そこからの販売も、オンラインの直販から始めて、独立系の書店さんを中心に置いてもらったり、文学フリマにブース出店したり、下北沢の本屋 B&Bさんでイベントしたり、色々とチャレンジしました。順風満帆とはいきませんが、自分たちで作った作品を届けていく楽しさを感じています。

また、出版事業を自分たちで取り組んだことでの出会いも多くあって、出版・書店業界に何か貢献できることはないかと考えるようにもなり、いくつかのプロジェクトも始まりそうです。

ザッソウラジオ3年目に突入

がくちょとのポッドキャスト「ザッソウラジオ」は3年目に突入しました。今年もたくさんのゲストの方にきていただきました。ありがとうございました。どの皆さんとのおしゃべりも楽しく、私にとっては癒しの時間でした。ザッソウラジオを続けられて、一番に嬉しいのは私だと思います。

1月 櫻井将さん 2月 小島英揮さん
3月 吉田満梨さん 4月 水本武志さん
5月 武田雅子さん 6月 本條晴一郎さん
7月 沼本和輝さん 8月 フジイユウジさん
9月 小川達大さん 10月 大塚万紀子さん
11月 宇田川元一さん 12月 武藤北斗さん

ソニックガーデン13期(後半)

13期のソニックガーデンは、拡大と整理のバランスに取り組んだ期でした。人が増えて組織が大きくなるにつれ、働く人の職種や年齢の幅も広がり、できることが増えていくことは喜ばしい一方で、放置すれば混沌とした状態になってしまいます。

また私たちソニックガーデンは、経済活動をする事業体という側面と同時に、文化活動を共にする共同体、すなわちプログラマたちのコミュニティとしての側面もあります。むしろ後者の方が属性が強い。事業拡大だけを目指していないからこそ、一緒に働く上での価値観のすりあわせが重要になります。

全社員を巻き込んでコーポレートアイデンティティを考えることは、そのための良い機会となりました。また、普段はリモートワークで全国各地にいるベテランのプログラマたちを数人ずつ毎日いれかわりで1週間ずっと合宿していく合宿ウィークにも取り組みました。

経営としては春ごろから14期からのタイミングで施行できるように、組織のマネジメント体制や給与制度の見直しを進めていました。クラシコムから輸入したキャリブレーションという報酬改訂の仕組みを導入したり、評価や給与の制度についても大きな改訂をいれました。

こうした制度の見直しは、継続的に実施していますが、何が大事なのか、どうありたいのかを経営者として問われる機会となり、どれも簡単な意思決定ではなく日々苦悩してました。

ソニックガーデン14期(前半)

6月期なので、7月からソニックガーデン14期が始まりました。

採用活動の取り組みは、外部のパートナーさんたちに入ってもらってチーム化できました。継続的な活動となることで、戦略的な動きができるようになってきたように思います。

バックオフィスとしては、より精緻に速く財務状況を把握するために、経理機能の内製化に取り組んできました。こちらも良い出会いによって、新しいパートナーシップも築けました。

グループ会社である「イシュラン」が黒字化できたことで、今まで以上に事業活動を推進できる体制を作っていくことができました。社内事業である「じぶんシリーズ」も好調です。

「納品のない受託開発」事業も、大きめのバージョンアップを行なって、よりお客さまと「一緒に悩んで、いいものつくる」ことができるようになりました。

秋には、やっとコーポレートサイトの刷新にあわせて、準備してきたミッション・ビジョン・パーパスを公開することができました。

こう書いていますが、どれも私個人としては直接マネジメントしていたわけではなく、経営陣、メンバー、パートナーさんたちの尽力によって成し遂げられたものばかりです。

親方と弟子の徒弟制度3年目へ

ソニックガーデンの徒弟制度も3年目に入りました。最初に弟子として入社したメンバーたちも3年目となり、今や開発の立派な戦力として活躍し始めています。少しずつ新しい弟子たちも増えています。

また、新たに親方になってくれたベテランが二人。それと同時に「親方ハウス」であるオフィス拠点を、愛知県の瀬戸と、兵庫県の神戸に開設しました。瀬戸は、コワーキングスペースの一部屋を間借りして、自分たちで壁塗りからしました。

弟子を育ててくれる親方たちと私で、定期的なふりかえりの機会を作っています。親方たちが弟子を指導していく上で気づいたことや学びを共有してもらっていますが、私にとっても学ぶことの多い時間になっています。

2024年から「弟子ハッカソン」という取り組みも始めました。弟子たちにとって、プログラミングを単なる仕事の手段としてでなく、興味関心の赴くままに取り組める遊びでもあるように思ってほしいと考えての取り組みでしたが、やってみると面白くて、1年続けることができました。

徒弟制度が3年が経過するタイミングということもあり、岡山で働く弟子たちが増えてきたこともあり、岡山で新しくオフィスを用意することにしました。今回は土地を買って、自分たちで設計から関わって、自社オフィスを作っています。これも面白い取り組みになっています。

プログラミング文化の普及活動

昨年は、カルチャーコミュニケーションと定義づけていましたが、プログラミングに関する社外活動も継続し、精力的に取り組んできました。

経験の浅いプログラマや未経験に近い方を対象にした「ソニックガーデンキャンプ」は、2回開催できました。しかも、1回は待望のリアル実施を軽井沢で行いました。やはり、現地に集まって取り組む方が一体感も出て良かったです。2025年は、親方のいる瀬戸でリアル開催を予定しています。

プログラミング業務経験者を主に対象として、コーディングスキルを高める「ソニックガーデンジム」も、2回開催しました。年々レベルもあがっており、ジムを経験してソニックガーデンに入社できるところまでレベルアップした人もいます。

プログラミングそのものを楽しむためのハッカソン「ツクアソ」も2回開催しました。こちらも参加者が増え続けています。

2024年はスポンサー活動も多くさせて頂きました。JAWSのイベント、技術書展、中高生Rubyコンテスト、そして42Tokyo。42Tokyoは、その理念に共感してのことで、一緒にイベントなどできるのが2025年になりますが、非常に楽しみです。

「いいソフトウェアをつくる」ことを目指すソニックガーデンとしては、良いソフトウェアを作れるプログラマを世に増やしていくことも取り組むべき使命です。その延長で、中高生を対象にしたプログラミングの学校のようなものを始めたいと考えており、2024年は、良い出会いがありプロジェクトをキックオフできました。

中国でZeroDXアワードを受賞

とあるきっかけて、中国の家電/IoT企業のハイアールが主催している「Zero Distance Excellence Award for 2024」にて賞を頂きました。とても嬉しかった。

その授賞式があるため、初めての中国出張で青島に行きました。

授賞式もハイアールの会社見学なども素晴らしかったのですが、謎の体調不良に見舞われてしまい、ホテルでほぼ寝たきり状態でした。。高熱にうなされて、現地の病院に連れて行ってもらい、様々な処置をしてもらいました。

ハイアールの皆さんにはご迷惑をおかけしました。一緒に訪中してくれたソニックガーデンのメンバーには助けられました。ありがとうございました。

中国での病院体験は、なかなか得難いものだったので、これはこれで良い経験になりました。

クラシコムの取締役CTOに就任

2018年から社外取締役として関わらせてもらってきた株式会社クラシコムにて、このたび取締役CTOとしての任命を受け、11月の株主総会にて承認をいただきました。

私が最初に参画したときは、取締役も兄妹お二人だけの会社で、エンジニアも3名ほどの状態でした。そこから順調に成長を重ねて、2022年にはグロース市場への上場も果たすまでになりました。

クラシコムでは、ECに関わるほぼすべてのシステムを外部のプラットフォームに依存せずに開発・運用しています。社内のエンジニアチームを中心に、アプリ開発をサンアスタリスクに、バックエンドをソニックガーデンに任せる形の体制となっています。

2024年のうちに、ソニックガーデンが関わるシステム部分がリリースされ、旧システムからの一部リプレースおよび移行を実現できました。このプロジェクトも大いに学びのあるものでした。

経営者としての学びと変革

ありがたいことに、ソニックガーデンもクラシコムも、事業と組織が成長できていることで、ずっと同じ仕事をすることなく、いつも違うことに取り組ませてもらっています。経営の再現性の無さを痛感し続けています。

仕事に慣れることがあまりなく、それはいつも素人みたいな状態とも言えて、それなりに器用にやれる範囲で済んだうちはよかったものの、個人の器用さだけでは解決できない規模や状態になってきつつあると、周りに頼らざるを得ません。もっとうまく人に頼れるようになりたいものです。

実際のところ、2024年の夏から秋頃にかけては、うまくいかない取り組みも多くあって落ち込むこともありました。端的に言えば、権限移譲がうまくできず、自分にも正解がないのに現場に口出しをするものの、それでうまくいかないようなことです。

まだ答えはなく、具体的な取り組みも見えていませんが、どうも自己変革が必要な時期に来ていることを感じています。2025年の個人的なテーマは、松下幸之助さんの言葉「任せて任せず」になりそうです。

また、単年度での事業を見ていくだけでなく、これまで蓄積してきた資産を活かした成長投資も考えていきたい。2024年には、そのための地ならしをしていたように思います。

2024年の内省的なふりかえり

2024年は、自分自身50歳をむかえる年でもあり、今までにないような感じで体調を崩すことも多かったため、これまで以上に健康について意識をするようになりました。

一方で、若い頃に感じていた50代のイメージと違って、まだ仕事に対する気力や体力も十分にあると感じています。どういう立場や役割であるかはさておき、仕事は続けていきたいと考えています。

そう思えるのも、少なくとも今の仕事は自分にとって、苦役のような労働といったものではなく、学びと成長の機会になっているからだと思います。そういった状況こそが、ありがたいと感じます。

仕事を続けていく前提で、人生設計がアップデートされた感じです。その上で、個人としてのチャレンジも増やしていきたいと考えるようになりました。これまでは人生に取り外し可能な仕事が乗っかっていたことから、これからは仕事の上に人生を乗っけていく感じです。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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