ウェブサービスをローンチさせるということは、とても大変なことだと実感しています。ここでいうローンチとは、世の中に出すことでユーザに使ってもらう状態になることを言っています。ビジネスとして成立させるにはさらに遠い道のりがまっています。だけど、まずはローンチしないと始まらない。しかしローンチさせるだけでも大変です。
日常の中でインターネットを使っていれば「こういうサービスがあればなぁ・・」と思ってアイデアが浮かぶことがあると思います。もしくは、新しくローンチされた誰かのウェブサービスを見て「これ、同じこと考えてた。やってれば良かった。」と思うこともあるでしょう。しかし、ウェブサービスのアイデアを閃くことから、実際にローンチできることまでには、実に大きな溝があります。
Campfire in NB / Martin Cathrae
自分でプログラムやデザインが出来るか、もしくはそれが出来る信頼に足るパートナーが見つかるか、といったことも重要ですが、もし、たとえプログラムを作ることができるとしても、オープンソースやクラウドによってコストが下がったと言っても、実際にローンチに至るまでは難しい、という印象があります。
目次
ウェブサービスのローンチに必要な「情熱」
ウェブサービスのローンチが難しいのは、そこに至るまでには相当な「情熱」が必要だと感じているからです。いや、なにがなんでもローンチさせるという「執念」かもしれません。
最初にアイデアが閃いてから、実際に企画を考えたりプログラムを作っていく途中に、挫けるタイミングはいくらでもあります。例えば、ちょっと競合調査をすれば、他に良いものがたくさん見つかります。そうすると、作ったとして本当にユーザが使ってくれるんだろうか、自分のやっていることに意味はあるんだろうか、等と、ついつい考えてしまいがちです。それでも自分が正しいと信じる「情熱」が必要なんです。
また、エンジニアにありがちですが、プロトタイプを作って満足するというケースや、逆にこだわり過ぎていつまでたっても完成しないというケースもよくあります。開発する技術を習得したかったり、腕試しをしたかったりという情熱だけでは、ローンチまでは至らずに終わってしまいます。ここでも、ウェブサービスをローンチした先のゴールがあって、そこに向かう「情熱」がないと続けられなくなってしまいます。
「ちょっと儲かりそう」とか「あれなら自分でもできそう」くらいの気持ちでは、なかなかローンチまでは難しいです。とはいえ、そこまでの情熱を燃やし続けるのは大変なことですし、何も工夫しなければ挫けると思います。
「情熱」を維持するための最も効果的で最も危険な方法
もっとも効果的な情熱の燃やし方としては「退路を断つ」という方法で、サラリーマンの場合は会社を辞めて独立したり、会社経営や個人事業主をしていたとしても、受託などの他からの収入をなくしてしまうことをすれば、やろうとする新規事業に賭けるしかなくなるので、なんとしてもローンチしようとするでしょう。
しかし、それではリスクが大き過ぎます。そもそもローンチできたからといってマネタイズするまでは、かなりの時間がかかりますし、そちらの成功の方が大変です。
そういうリスキーな方法ではなく、副業的に少しずつ進めたり、限られた時間の中でも続けていきローンチに漕ぎ着けるために、なんらかの仕組みを作ることで、情熱を保ち続けることが出来るのではないか、と思います。
「情熱」を維持するための仕組みを作る
ソフトウェアはユーザがいて初めて存在してるのと同じです。そこで、まずは自分たち自身がユーザになれるサービスにした方が良いでしょう。よく「ドッグフードを食べる」と言われますが、自分たちで普段使っていれば改善の意欲は湧いてきますし、最悪、他にユーザがつかなかったとしても存在価値を感じられます。逆に、自分が使わなければ次第に忘れていってしまうことになります。ソニックガーデンのサービスも基本的に自分たちが必要だから作っているものが殆どです。
ソフトウェアは使う人が重要ということで、自分たち以外に最初に使ってくれるユーザを探すというのも大事なことです。誰かが使ってくれて、良いことも悪いこともどちらにせよフィードバックをもらえることは大きなモチベーションになりますし、責任感も緊張感も増します。
最初のユーザを巻き込みつつ、自分たちをうまくドライブするには、イベントなどへの出展や応募に参加するというのは良い方法です。期限が決まりますし、着地しなければいけないですし、それなりの完成度でなければ注目されません。イベントへの応募は良い動機付けになりますし、もしそうしたイベントで賞をもらえたらメディアにも注目されます。
もし、そういうイベントがタイミング的になかったり、もうちょっと前の段階で人を巻き込みたいとしたら、プライベートなプレローンチパーティを開催するのは良い手かもしれません。自分たちの知り合いの中で、作っているサービスを使ってくれそうな人たちに集まってもらいお披露目パーティを開催するのです。その日付が決まると、それまでに恥ずかしいものは出せないので一生懸命追い込まれることになります。また、実際に会って意見をもらうことで、非常に強いフィードバックを得ることができますし、そうして協力してくれた最初のユーザはファンになってくれる可能性が高く、今後の口コミや招待なども期待できます。
その他人を巻き込む期限を設定するときは、あまり長くしすぎない方が良いです。つい完成度を気にしてちょっと長めに設定すると、必ずだれてしまいます。長くても1ヶ月くらいでゼロから必要最小限の機能を作るくらいの期間設定が良いと思います。その必要最小限の機能をリーンスタートアップではMVPと呼んでいます。小さいものを作るには小さな情熱で済む訳です。
なんとか情熱を絶やさずにウェブサービスをローンチさせるには以下がポイントになりそうです。
- 自分たちで使うこと(自分たちが必要としているものを作ること)
- 他人を巻き込むこと(馴れ合いの中でグダグダにしないこと)
- 短い期限を設けること(かっとなって出来る範囲にすること)
それでようやくローンチできたとしても、本当に大変なのはマネタイズするまでです。ローンチ後に続けていけるかどうか、そこには我慢と執念が必要になってきます。その話はまた別の機会に。
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