ソニックガーデンのブログにて、私たちのグループ企業であるジェントルワークスの串田社長のインタビュー記事が公開されました。プログラマしかいない会社でバックオフィスをどうしているのか、その謎を解き明かす内容になっています。
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この記事では、私の視点からバックオフィスを専業とするジェントルワークスという会社を作った理由について書きました。
目次
プログラマだけの会社をつくる
私たちソニックガーデンで取り組んでいる主な事業に「納品のない受託開発」があります。これは、お客様の抱える問題をソフトウェアで解決することを、顧問のように継続的に提供するサービスです。
「納品のない受託開発」をするのは「プログラマ」です。プログラマといっても、お客様が抱える問題を理解し、解決策を提案した上で、手ずからプログラミングまで行うため、コンサルタントのようなスキルも必要です。
私たちがお客様に期待されていることの一つは、そうした優秀なプログラマが揃っていることであり、裏を返せば、それが私たちの企業としての「強み」であり、事業におけるコアとなる部分な訳です。
そこで、私たちは本業に集中して強みを尖らせて差別化を図るためにもプログラマだけの会社にしてしまい、本業以外の部分はすべてアウトソースとして外部のパートナーの皆さんの協力を得ることにしています。餅は餅屋、という訳です。
派遣よりも顧問のスタイルを望む
会社の人数が6〜7人を越えてくると、案件の数も取引先の数も比例して多くなって、どうしても事務処理が増えてしまいます。そこで発生するバックオフィスの仕事も、社員として抱えるのではなくアウトソースすることを考えました。
とはいえ、派遣の形態で来て頂くとなると、一時的な関係になってしまいます。私たちの価値観では、長く会社を続けていき家族のような関係を築いていくことを大事にしているので、派遣という形態はフィットしないと感じていました。
なによりも、私たちにとっては、ただ手を動かすだけの人をフルタイムで欲しい訳ではなく、バックオフィスに関する専門家として相談に乗ってもらえて、その上で手を動かしてくれるような存在を必要としていたのです。
まるで私たちが「納品のない受託開発」で、ITに関する顧問として、相談から提案、実装と運用までをマルッと引き受けるように、バックオフィスに関して、そうした顧問スタイルでやってくれるところが理想だと考えたのです。
バックオフィスのエキスパート誕生
普通であれば、バックオフィスの専門家を中途採用するなり、社員として育てるなりするのでしょうが、プログラマ以外を採用することは私たちのコンセプトではありませんでした。
とはいえ、私たちのニーズであるバックオフィスを顧問スタイルで引き受けてくれるような会社でフィットするところは早々には見つかりませんでした。そこで、無いならば作ろうという発想で、バックオフィス専門の会社をつくることを考えました。
そこで当時ちょうど起業について考えていた十年来の友人であった串田さんと縁があって、バックオフィス専門の会社を一緒に作ることにしたのです。それが、ジェントルワークスという会社です。そのときの彼女の思いが、こちらの記事になっています。
ジェントルワークスは、私たちのようなコアだけに集中する「持たざる経営」をする企業にとってのバックオフィスのエキスパートとして、継続的に様々な相談に乗りつつ、手を動かしてくれることを価値として提供する会社です。
スタートアップにこそ必要だったバックオフィス顧問
私たちソニックガーデンは、ようやく今は4期目になって人数も増えて、会社としての様々な制度や仕組みが出来上がってきたところですが、創業当初はどこのスタートアップもそうだと思いますが、制度も何もなく混沌としていました。
創業から1年2年過ぎてくると、会社としてのルーチンとなる部分とクリエイティブな部分が徐々に見えてきます。ルーチンの部分は制度化・仕組み化していく必要がありますが、その時に必要だったのがバックオフィスに関する専門的な知識とノウハウでした。
スタートアップの場合、バックオフィスにどういった業務があるのかすらわかっていないケースが多いです。どんな業務があるか知らない状態で派遣やインターンを使ってもうまくいきません。知らない領域は専門家に相談するのがベストです。
私たちも制度も何もない状態から、ジェントルワークスに相談することで業務が整理されて、かつ手を動かしてもらえるので負荷も軽減されました。スタートアップこそ、本来やるべき事業に集中して、バックオフィスはすべて専門家に任せてしまうべきなのでしょう。
バックオフィス業務にも専門性がある
ジェントルワークスがやってくれることは、ざっくり言えば会社の総務と庶務です。
たとえば、備品の購入や会社設備の整備、オフィスの管理、福利厚生の制度整備、社内の業務改善、新人の社会人教育、会社イベントの運営、ブログ記事やニュースの作成、来客受付、電話やメール対応、伝票処理、小口金の管理、資料の電子化とファイリング、営業書類の作成、データ入力などなど、本当に多岐に渡ります。
定型的な作業もありますが、その定型的な作業に落とし込むところは業務設計や制度設計のノウハウがあり、そこは専門性の必要とする部分なのです。これまでバックオフィスには専門性を求めない傾向があったかもしれませんが、それは間違いです。
さらに、ジェントルワークスでは「ITリテラシーが高いこと」を強みの一つにしていて、たとえばサイボウズ社の”kintone”を活用できる人材を揃えていて、業務のIT化をする部分までを請け負って実現することもできます。
ジェントルワークスは、バックオフィスに関する「コンサルティング」「IT化」「オペレーション」この3つを兼ね備えた専門性を持っています。
職能とキャリアパスで会社を分ける
ジェントルワークスは、そうしたバックオフィスの専門性をコアコンピタンスとして高めていく会社として作りました。IT顧問としてプログラミングをコアコンピタンスとするソニックガーデンとは強みとミッションが違うのです。
事業のミッションと強みが違うならば、いっそのこと会社も分けてしまえば良いという発想で今回のジェントルワークスが誕生した訳ですが、それによって、もう一つ別の効果も生まれます。
強みに合わせてソニックガーデンではプログラマしか採用しないし、会社の中心にいるのはプログラマであり、おそらく将来の幹部候補や経営者にはプログラマの中から選ぶことになると思います。それが会社の強みの体現だと思うからです。
プログラマの会社でバックオフィスを社内に持ったとしても、バックオフィスの人たちにとってのキャリアパスが用意できませんが、ジェントルワークスだったらバックオフィスの専門家として、マネージャになり経営者になるという道も考えられます。
バックオフィスの人たちにとってのキャリアパスの未来が開けたのです。
「稼ぐ本社部門」なら生き生きと働ける
ジェントルワークスは当初は、ソニックガーデンのバックオフィス業務を請け負うために作った会社ですが、もちろん1社だけに限定する必要はないため、様々なお客様とお仕事をさせて頂くことを考えて事業化しています。
バックオフィスを別会社化したことで、ジェントルワークスから見ると私たちはお客様になるため、プロとしての成果を出そうとしてくれるようになりますし、ソニックガーデン以外の仕事をすることでコストセンターではなくなって、対等の関係になれます。
バックオフィスでありながらも、自分たちで稼ぐことができるということはモチベーションの向上にもつながりますし、将来に対しても前向きに過ごすことができるようになります。ジェントルワークスは「稼ぐ本社部門」というスタイルなのです。
ジェントルワークスでは、まだ業務が整備されていないようなスタートアップにとって、バックオフィスの顧問としてサービス提供を行っています。ご興味あればお問い合わせください。