私たちソニックガーデンの提供する「納品のない受託開発」では、新規事業を実現するためのエンジニアを社内に持たないお客さまのためのエンジニアチームとして、要件の検討から開発、運用まですべてを請け負います。それは、あたかもお客さまのCTO(最高技術責任者)を引き受けるような仕事です。
そんなCTO役を引き受けさせて頂いているお客さまの一つである株式会社AsMamaさまの本が出ました。子育てを助け合い、頼りあうことのできる地域ネットワークを実現する「子育てシェアサービス」を提供されているAsMamaさまですが、そのサービスの開発と運用を私たちで引き受けさせて頂いています。(事例ページ)
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そのAsMamaさまの本「ワンコインの子育てシェアが社会を変える!!: 欲しい子育て支援は自分たちの手で創り出そう」では、AsMamaのこれまでの歴史やこれからのビジョンなど、甲田社長によるAsMamaにかける想いが綴られています。
そして、なんと私たちソニックガーデンとの出会いや仕事の仕方についても、数ページに渡って書いて頂いています。
AsMamaのシステム開発を担当しているのは、株式会社ソニックガーデン(東京都渋谷区)というちょっぴり変わった技術者集団。「納品のない受託開発」というビジネス手法で、いちど関わったお客さんと月額定額契約を結んで長く長―くつきあい、試作と評価を繰り返しながらサイトを構築していきます。
その開発プロセスは、まさに子育てそのもの!
子育てに終わりがないように、AsMamaのシステム開発にも終わりはありません。「おぎゃあ!」と生まれたばかりの子育てシェアサービスが、やがて社会を変える仕組みになる日まで……。長い道のりを一緒に歩いてくれる、技術面の心強いパートナーです。
目次
ソニックガーデンから見たAsMama
私たちソニックガーデンの「納品のない受託開発」は一度契約をすると、お客さまの顧問としてずっとお付き合いをさせて頂くスタイルをとっています。事業におけるエンジニアリングの部分はすべて信頼してお任せ頂いて、お客さまには本業の強みを強化し、活かして頂くことを役割分担としたパートナーでいさせて頂くのです。
そのように長いお付き合いを前提とする契約のため、私たちにとっても、どのお客さまと一緒にお仕事をさせて頂くか、というのは非常に重要な判断になります。ある意味で、会社と会社の結婚のようなもので、お互いに不可欠な存在になっていきたいと思っています。そのために、私たちも簡単にお仕事をお受けすることはなく、長いご相談の期間の中で「何を作るか」というよりも「なぜ作るか」を問わせて頂いています。その期間を「お見合い期間」と呼んでます。
そして、AsMamaさまとのお見合い期間はとても長くて、おそらく私たちの最長記録です。じっくりと事業の根幹から、何が本当に必要なのか、本質は何かをお互いに議論を重ねていって、ようやく一緒になって、そして開発に入って、AsMamaさまのサービス「子育てシェア」をローンチすることが出来ました。
長くお付き合いしている中で、この人たちとは一緒にやっていけそうだ、と思った瞬間がいくつかあって、そのうちの一つエピソードがあります。
色々な検討を重ねていく中で、うまくいきそうな案も駄目そうな案も出る訳です。そんな中で甲田さんに「こうやって色々と取り組んでやっていく訳ですが、もしうまくいかなくて失敗したらどうしますか?」と、聞いたことがあるのです。そのときに、彼女は満面の笑みで即答で、こう答えたんです。「成功するまでやめないから大丈夫!」と。彼女は本物の起業家なんだな、と思ったことを覚えています。
私たちソニックガーデンとしては、ずっとお付き合いさせて頂くつもりで、全力でお手伝いする訳ですから、途中でやめずにやり遂げるつもりのお客さまを助けたいです。それについては、AsMamaさんたちは間違いないと思ったのでした。
インソーシング(内製)でもない、アウトソーシングでもない、新しい関係で一緒に事業をさせて頂くことで、社会を変えていくお手伝いが出来ることを、私たちも誇りに思います。
AsMamaから見たソニックガーデン
以下は、以前に「納品のない受託開発」の事例取材があった際に、AsMamaの甲田社長がインタビューに答えていらっしゃったものを、私が横で聞いていてメモをとっていたものを、AsMamaさんの許可を得て公開させて頂くことにしました。
あえて、そのときの私のメモのまま、ありのままで載せることにしました。
ソニックガーデンさんを採用した経緯を教えてください
創業して1年くらいのときにシステムを作った。それはそれは立派なものができた。1年くらい、ずっとイベントをしていたんだけど、あるとき違う、と思った。イベントをずっとしてたんで、沢山の人が集まるようになってきた。人が集まったら、お金が出る。お金は出るのでイベントする。だけど、あるとき「助け合いの社会を作りたい」というところから外れてると気付いた。イベント屋になってしまってるので、それは違うから、やめたいと思った。
一緒にやってきた仲間たちに、イベントはもう辞めるといった。創業メンバーからやめてどうする、と言われた。せっかく、それまで売上もあがっていない状態から、お金が入るようになってきたのに、と。だけど、頼りあいのプラットフォームにできていない、そのことが嫌だった。だから、イベント屋はやめると決めた。ただ、それを怒って、そのときに一緒にシステムつくっていた人たちが、みんなやめていった。それが2010年10月くらい。
200人のエンジニアと面接したが・・・
2010年10月くらいからシステムが怖い、となった。でも、ネットやめるか?とならなかった。広げていくためにはネットは絶対に必要だと思ったし、リアルとネットの融合だと思っていた。だから、システムがわかる人が必要だなーと思って、100人200人はエンジニアと面接した。中には20人くらいNDAむすんで、中身まで見てもらった。
そこで、みんな言うのが、「自分はこれくらいできます」と言ってアピールしてくる。どれくらいかかるのか、人によっては、2ヶ月という人、1年という人もいる。金額もバラバラ。そして、なによりその人たちとは、ビジョンが共有できない、言葉が通じなかった。エンジニアの人たちは、社会をどうしたいかは、興味がなさそう。モノを作れば良いんでしょ、という感じ。私(甲田さん)が、仕様書も一生懸命つくって、面接する人にあってたけど、全然いうことはバラバラだった。困って、大きな会社に持っていくと、要件定義書を出せ、無いなら要件定義書を作るのに1000万だ、と言われた。そんなの小さな会社が出来るわけない、と思った。いろんな人に相談して、一緒に議論して設計してほしいと言ったら、時間がかかりすぎるから無理と言われた。
もういっそフリーのも沢山あるので、自分たちで組み合わせて、作るのどうかと思った。システムを作る人を探すのを諦めようか、と思いかけていた。ダイヤモンドか石かわからないものを見せて、ある人は幾ら、ある人は幾ら、と言われる。訳がわからない。そして、エンジニアを自分たちで雇うのは難しいだろうなーとも思って来た。私たちがその人の仕事を判断できないだけでなく、自分が採用しても評価できないし、伸ばしてあげることが出来ない。もしミスっても、その人のミスかどうか判断できない。そうなると、その人に盛り上がってもらえない。頑張れない。
この世界のすべてのサービスは、すべて少しずつ改善していってる
システムを諦めるかどうかー、と悩んだときに、社会起業大学に行っている人がある日、わたしのシャドーイングにきた。その人はソニックガーデンのクライアントだった。「甲田さんには悩みないんですか?」と聞かれて、本当に困ってることを話した。「実はリアルとネットの両輪と言ってるんだけど、システムわかってないこと、が困ってるんだ」と。甲田さんとしては、こういうものを作りたい、と言ったときに実現してくれる人がほしい。そして、どれだけ考えたとしても、絶対に正しいかどうかわからない。使ってくれる人たち次第。だから、使ってくれるお母さんたちに見せた後、絶対に直していきたい、と思ってる。
だって、この世界のすべてのサービスは、すべて少しずつ改善していってるでしょう。レストランだって美容院だって、1回1回のサービスを少しずつ改善していってる。だから良くなる。なぜシステムだけは、素人が考えたもので、一回こっきりで作る、みたいなことをするの?家を造る感覚で、システムを作る、というのは間違っているのではないか。それってギャンブルだ。ど素人が絵を描いたものを、そのまま作ってもらって、お金5000万とか言われる。そんなの信じられない。
そして、ソニックガーデンが登場するんです。彼らの最初の説明は、すぐには理解できなかった。初めて会ったときは、すでにエンジニアに不信感を持っていたので、すぐに信用なんてしないと思ってた。彼らが言うには、納品しません、ギリギリまで頑張って作って納めて終わり、はないという。出来ないこともあるし、出来ることは頑張る。だけど、どこまでやる、いつまでやる、を約束しません。訳がわからなかった。
「AsMamaが世の中をどうしたいのか?」
今までの人たちは、もうちょっと出してくれたら、寝る間も惜しんでやりますよ。と言った。けど、この人たちは、そんなこと言わない。むしろ残業しないとか言ってる。月額定額は、お金の見通しがたって嬉しいけど、いつ出来るのか、わからないのは、心配だった。
しかも最初、仕様書をもってきたけど、「これは見ない」と言われた。それなのに事業計画は見ると言った。最初は、受注する気がないのか、AsMamaのことをなめてるのか、何を考えてるのか、よくわからなかった。倉貫さん藤原さんが聞いたのは「AsMamaが世の中をどうしたいのか?事業をどうするのか?なぜ仕組みがいるの?」。
ぜんぜん、作るものの話をしてくれない。作らなくていいなら、作らない方がいい、とか言う。作るのをお願いしにきてるはずなのに。この人たち作るのいやなのかなーと思った。「作らなくていいなら、作らない方がいいですよ。要らない仕組みなら作らない」と言われた。「でも作りたいんですよね。では、それで作るなら、何が必要なのか、なぜ?つくるのか?」と聞かれる。まるで、メンターとか投資家みたいなことを聞いてくる。
お客さんと一緒にチームになってやっていきたい
倉貫さんのことは会う前にネットで見て、よくわからないけどシステム開発のすごい人だとわかっていた。だけど、だから、きっと訳のわからない言葉をいって、話が通じないじゃないかと疑問だった。でも、そんなことなかった。システムの難しいことは一切言わない。むしろ聞くのは、AsMamaがどんな社会を目指しているのか、どれだけの思いがあるか、とかだった。で、彼らはそれが大事だとずっと言っていた。そこを納得しないとだめ、と。
「エンジニアをハッピーにしたい、そのためには、このやり方がいい」「そして、ソニックガーデンとしてはお客さんと一緒にチームになってやっていきたい」と倉貫さんが言った。そして「僕たちは、手を動かさないうちは、いっさいお金がかからないので、いつでも来て」と言われた。そこで「本当?」と信じて、だから、そこから、毎週お茶菓子をもって4ヶ月も通った。社内からは、何をしにいってるんだと、言われたけど、通った。
通ってるうちにわかったのは、世の中の沢山のシステム会社は受注することが目的、だけど、ソニックガーデンの場合は、納品がないので、AsMamaが実現したい世界を成り立つようにする、そのための仕組みを作るんだ、ということ。イベント機能で作って終わりー、メッセージ機能で作って終わりー、ではない。甲田さんが言ったから、それを作って終わり、にしない。実現したい世界を叶え続けなければいけない。AsMamaが叶えたい世界とは、子育てを助け合える社会。ソニックガーデンは、その実現をするために一緒に開発するということなんだ。だから、ソニックガーデンには納品がないんだ。とやっとわかった。
不安はなかったですか?
ニフティ時代の話。そのときは、作る前に全部決める、仕様もきまったものをつくる。リニューアルだって一気にやる。リーンスタートアップという言葉を知ってたけど、本当に80%とかで、小さく出してみましょう、というのは斬新だった。
「このサービスの一番大事なところは何ですか?」「頼りあえること」「じゃそこから出しましょう」とか。その前に検索とか、いろいろあるんじゃ、と思ったけど、話をしているうちにいらないんだとわかった。
「最初はこれでいいんじゃないですか?」と言われて、でも、そんなので本当に使う?と疑問だった。で、実際に出してみたら、ユーザさんは使ってくれて、フィードバックの声を出してくれた。自分自身でさえ、使ってみたら、言ってみたものの、違うと思うことも多くでてきた。これを、最初に全部決めて一気に作っていたら、いったい、どこから直していたのかな、と今は思う。
今はシステムに対する不安がなくなった。以前からメディアに出ることが沢山あって、そのたびにホームページが落ちてたりしたけど、今は心配ない。問い合わせにも安心して答えられる。
前のシステムはもう捨てたんですか?
ソニックガーデンに会う前は、リニューアルした方がいいと思ってた。でも、会う人会う人が、違う人のつくったものは直しにくいと言ってた。システムのことがわかる経営者の人って、数%しかいない。キャッシュリッチなところは、作って潰して、をすればいいけど、ほとんどの会社はそれができない。そんなやり方でないところは他になかった。
マネタイズについてはどうお考えですか?
子育てシェアサービスのマネタイズは、保育園とかに提供する。1IDあたり100円とか。仕組みだけいれても駄目だ、という保育園には、交流機会つきで、1IDあたり300円で。コミュニティ母体の法人から課金していく。子育てライフラインを持つ付加価値として提供する。
子育てシェアサービスは、4/18からローンチしてる。今は、テスト導入している段階。企業や、保育園、マンションへ。課金の仕組みも作っていってもらえるはずです。
だけど、システムのことは本当にわからない。たとえば「コミュニティ機能」ひとつ作るだけでも、本当はたくさんのことを決めないといけないらしいそれを、いっぱい考えて作らないと駄目らしい。素人的にはわからない。ソニックガーデンのエンジニアさんは、すごくいろいろと聞いてくれる。それがとっても楽。
今後の目標は?
目標は、創業5年で、世の中で使える仕組みにする。今はまだ全部使える機能がない。一気に面で展開することができない。そのために、今の仕組みをもっと洗練させたい。3年でママサポーターを1万人にして、それぞれが100人とつながっている状態を作りたい。 日本中の1割のお母さんが、ママサポーターとつながっている状態になる。そして、子育て以外の助け合いができることにも広げていきたい
ソニックガーデンの好きなところは、そういうところをどうでもいい、と思っていないこと。普通の会社は、そういうことは、どうでも良いと思うんだと思う。ソニックガーデンは、そういうことが本当に大事、だと思ってくれている。経営目線がある。場所としては離れているけど、経営陣がもうひとりいる、みたいなもの。倉貫さんがよくバーチャルCTOと言うけど、本当にCTOができた、と思っている。
そして会社でやってくれているというのもの良い。個人だと、やっぱり心配になる。個人である限り、本当か?ということがある。営業もかねているだろうからか。システム開発の個人の方だと信頼してる、と言い合いにくい。営業の人なら「いくら売る」と約束するのが信頼。だけど「いや、約束できない」というのがエンジニアの信頼。そこを信頼できるのが大事。そうなる関係になれた。
ソニックガーデンを選んだ3つのポイントは?
- 信頼できるCTOができる:ここより他に信頼できるシステム会社はないと思った。
- 一蓮托生。そう、共存共栄。
- この人たちとなら、一緒に社会を変えていける会社だと思ったこと!
ーーありがとうございました。
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