オフィスに社長がいなくても思いは共有できる 〜 リモートチームならやるべき「社長ラジオ」

オフィスに社長がいなくても思いは共有できる 〜 リモートチームならやるべき「社長ラジオ」

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昨年の今時期から、ソニックガーデンの社長である私もリモートワークを始めました。やはり、リモートワークを全社で推進していくためには、リーダー自ら実践しないと、いつまでもリモート側がマジョリティにならないと思ったからです。

とはいえ、ただ単にリモートワークをすれば良いかというとそうではありません。リモートでも問題なく経営できるように幾つかの取り組みを行ってきて、その一つが「社長ラジオ」です。この記事では「社長ラジオ」について紹介します。

リモートチームにとっての朝礼の代わりが「社長ラジオ」

私たちの会社は、社員やメンバーの半数ほどがリモートワークをしています。チームワークのためにだいたい昼間の同じ時間帯に仕事をしますが、コアタイムなどがある訳ではないので、毎日必ず全員が揃うタイミングなどありません。

そんな中で社員の数が増えてきたこともあり、経営者として会社全体のことを伝えるのにコストがかかるようになってきたと認識してました。そんな時に普通の会社であれば朝礼をして、経営者が自らの言葉で伝えたりすることもできます。

しかしリモートチームな私たちの会社で朝礼をするのは難しい。そこで、私が毎朝5分間だけの音声メッセージを収録して社内に配信をすることを始めました。社員たちは通勤中や子供の送り迎えなど自分の好きなタイミングで聞くことができます。

それはまるで朝礼のようなもので、私の肉声で、会社の価値観や仕事への動機付けになるような話をしたり、社内で起きていることや今後の経営方針について話をしたりしています。私たちの会社では、この仕組みを「社長ラジオ」と呼んでます。

ある日の社長ラジオ

2015/10/23 vol.210「会社と働き方」

2015/11/13 vol.224「毎月決算」

2015/12/01 vol.235「目的とチート」

社内のコミュニケーションのきっかけとなる「社長ラジオ」

「社長ラジオ」は、今ではAndroidやiPhoneのアプリまで作ってくれたので、本当にいつでもどこでも聞けるようになりました。そして、社長ラジオだけだと一方通行の配信ですが、それに対してコメントをもらえるようになっています。

社長ラジオを配信したら、私たちの論理オフィス(インターネット上のオフィス)である「Remotty」に投稿されるように連携されています。そこから聞くこともできるし、その投稿に対してコメントをしてくれます。

「社長ラジオ」をきっかけでもらえる社員からのコメントは、私にとっては貴重なコミュニケーションの機会になっています。コメントがあまりつかなかった日などは、内容がイマイチだったかと反省したりします。

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たった一人でも出来る「社長ラジオ」の収録方法

「社長ラジオ」の収録方法はとても簡単です。私の場合、Macに標準で付いてくる「Garage Band」というソフトを使って収録を行っています。テンプレートで導入の音楽やジングルの入ったファイルを用意しておき、音声だけ入れ替えてます。

社長ラジオをはじめたばかりの頃は何度も収録したり編集したりしていましたが、最近は、話すテーマだけを決めて、5分間の一発撮りをしています。多少、噛んだりしても気にしないで、5分で終わるように話をするのです。

収録できれば、あとはRemottyと連携するアプリに登録すれば、スマートフォンへの配信もRemottyへの連携もしてくれるようになっています。すべて一人で出来るので気軽ですし、一発撮りなのも気軽です。気軽でないと続けることはできません。

始めた当初は視聴率も悪かったのですが、ずっと続けていくことで少しずつ聞いてくれる人が増えてきました。過去の収録分も聴けるので、今では新しく入ったメンバーも、過去のラジオを聞いたりしてくれています。価値観の共有に役立ってます。

1年間の「社長ラジオ」をやってみてのふりかえり

そんな「社長ラジオ」を始めて、ちょうど1年が経ちました。1年間、営業日は欠かさず毎朝アップし続けました。大変でしたが、収録だけを考えれば10分もかからないし、話すネタを考える時間も楽しいもので、自分のふりかえりにもなってます。

社長ラジオは5分間だけというのが、絶妙でした。5分より長いと聞く方も億劫になるし、後で聞こうとなると結局は聞かないものです。話す方も5分なら毎日でも気軽ですし、5分で伝えようとすると、かなりフォーカスした話になります。

社内向けの情報発信としてブログや文章でもいいのですが、文章にするとどうしても確定事項の通達っぽくなりますが、それでは社員の自主性は高まりません。口頭で伝えることでふわっとしたニュアンスも伝えられるのがとても良かったのです。

「よくそんなに毎日話すことありますね?」と聞かれたことがありますが、社内で起きたことや考えてることなど社員に知って欲しいと思うことは、毎日たくさんあって、みんなの顔を思い浮かべながらネタを考えて、むしろ厳選している感じです。

中間管理職による伝言ゲームなんてなくても伝えられる

私たちの会社はリモートチームであることのほかに、ホラクラシーと呼ばれるフラットで管理職を置かない組織構造であることも特徴としています。会社に組織図はなく、セルフマネジメントできる人材だけで構成し、中間管理職を置かないのです。

中間管理職を置かないことをカバーするためには、セルフマネジメントな人材をそろえるだけでは足りません。従来の管理職の大事な仕事の一つは、指示命令のほかに、経営の意思や会社の価値観などを部下に伝えることも役割だったはずです。

ホラクラシーなチームにとって、経営者の考えや言葉を伝える手段としても「社長ラジオ」は非常に有効でした。むしろ、フラットな組織でありながら、経営者からのメッセージを一斉に伝えることができるため、スケールすることができるのです。

話している私にはわからないことですが、社員からの感想として、毎日私の声を聞いていると勝手に親近感が湧いてくるらしいです。もしかしたら、テレビによく出る芸能人に勝手に親近感が湧くのと同じ効果があるのかもしれません。

リモートチームをマネジメントする立場の人にとって、ホラクラシーを目指すチームのリーダーにとって、「社長ラジオ」は取り組むだけの価値はあると思いませんか?

新著「リモートチームでうまくいく」発売のお知らせ

このたび、この記事で紹介した「社長ラジオ」のようなリモートワークをするチームのためのマネジメントや取り組みに関する本を出すことになりました。

このブログでは断片的に紹介しているリモートチームのノウハウを読みやすい1冊の本にまとめました。12月17日に発売です。ぜひ、読んで頂ければ幸いです。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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