今回は、ソニックガーデンアドベントカレンダーの25日目として用意しました。
ソニックガーデンのアドベントカレンダーとしては、2012年以来で当時は7人だけで記事も7本でした。ある意味で貴重なアドベントカレンダーでしたが、今や25日が全て埋まるまでになるとは感慨深いものです。
さて最終日の今回の記事では、ソニックガーデンを経営していくにあたり、これからの社会をどう考えているのか、そしてどのように生き抜こうと考えているのか、書いてみました。(あまりタイトルに社名を入れることはないのですが今回は特別に)
目次
「人口が減っていく時代」こそナレッジワーカーとして働く
こちらのちきりんさんによる記事に、とてもわかりやすく書かれている通り、日本の人口が激減していく時代はもうすぐやってきます。それはなんとなく感じることではなく、紛れもない事実として受け止める必要があります。
一方で、人工知能やロボットなどのテクノロジーの進化は、ここ数年で一気に現実的なものになってきており、大量に作ることや誰かに言われたことだけをするような仕事はテクノロジーによって置き換えられてしまうことでしょう。
人口が減ったとしても、人手が要らなくなるのであればバランスは取れそうですが、では数の減っていく人間がすべき仕事は何が残るのでしょうか。残された価値のある仕事とは、アイデアを出したり考えたりするような頭を使う難しい仕事です。
そうした職業は「ナレッジワーカー(知識労働者)」と呼ばれます。マニュアル通りの仕事ではなく、これまでにない価値を生み出したり、誰かの難しい問題を解決するような仕事であり、決して機械に置き換わることのない仕事です。
私たちソニックガーデンでやっている「納品のない受託開発」では、お客さまのビジネス上の課題をソフトウェアで解決する「顧問プログラマ」という仕事をしています。「顧問プログラマ」はお客さまのコンサルティングまでする難しい仕事です。
この「顧問プログラマ」という仕事はマニュアルのない、まさしくナレッジワーカーの仕事です。私たちは「顧問プログラマ」という仕事を自分たちがやってみせることで「プログラマを一生の仕事にする」という文化を広めていきたいと思っています。
「フリーエージェント時代」とコミュニティのような会社
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本書の初版が出たのは2002年にもかかわらず、今の日本社会で起きている働きかたに対して非常に示唆に富んでいます。本書が示すのは誰もがフリーランスやミニ起業家として独立して、プロジェクト単位で集まって仕事をするような働きかたです。
日本でもクラウドソーシングが広まることで地方にいても、フリーランスでも様々な仕事に取り組むことができるようになってきました。誰もが本書にあるようなフリーエージェントとして仕事をしていくことができる環境が整いつつあるのです。
私たちのようにソフトウェア開発の仕事だと特に、人さえいればやっていけるし、人こそが会社を支える全てで、しかも人の数よりも質が大事になります。ゆえに「顧問プログラマ」をする私たちは「個人事業主の集まり」に見られることがあります。
確かに個々の実力であれば、フリーエージェントでもやっていくこともできるでしょう。しかし、私たちは会社であることを大事にしています。会社というよりもチームと言ったほうがしっくりきますが、チームワークを非常に大事にしているのです。
私たちは「ホラクラシー」と呼ばれるセルフマネジメントできる人たちのフラットな組織を志向していて、事業のために人を集めるというよりも、人がありきで会社になっているのが私たちの考えです。それはまるで会社というよりもコミュニティです。
個々がフリーエージェントをしているだけでは出来ないことをするために会社にしています。会社という形にすることで、お互いのリスクを補い合い、次世代の若者たちを育てていくことができます。それは会社だからこそ出来ることでもあるのです。
「ずっと働き続ける時代」こそ好きな仕事を住みたい場所で
これからの日本において人口が減少すること、それぞれがフリーエージェントとして働けることから見えてくることは、これからの社会において「ずっと働き続ける時代」が来るということです。仕事から引退することのない時代が近付いています。
ずっと働くことを考えた時、嫌な仕事でも我慢して働くという価値観は崩壊します。55歳の定年まで働いて会社に奉公すれば立派な退職金がもらえて、国からの保障もあり第2の人生を謳歌できる、と思えば嫌でも我慢しても働く気になったでしょう。
しかし、そんなことはもはや幻想です。誰もがずっと働き続けることを前提としなければ社会が成立しなくなってしまいます。どのみちずっと働くのであれば、好きな仕事を、好きな仲間と好きな場所で働くことを選んだほうが良いと思いますよね。
また、前述したような問題解決をするナレッジワーカーの仕事であれば、歳を重ねたことで蓄積した経験は強みになるし、肉体的な衰えは多少あったとしても、ずっと働いていく時代の中で価値を出し続けていくことはできるはずです。
そんなナレッジワーカーの働きかたを考えた時、場所に縛られないリモートワークは非常に相性が良いのです。私たちの会社では「顧問プログラマ」たちの半数が在宅勤務などのリモートワークをしていますが、全く業務上の支障はありません。
リモートワークが普及すれば、これまで場所が制約になっていた仕事の選択肢が大きく広がることになります。もっと誰もが働きたいと思える会社で働けるようになれれば幸せなことだし、ずっと働き続ける時代にとって大事なことではないでしょうか。
会社経営は実験である 〜 「プロトタイプ会社」で試行錯誤
日本における人口が減少する中、フリーエージェントの働き方が当たり前になり、高齢化する社会で働き続ける時代に向けて、私たちはナレッジワーカーとして働けるビジネスを構築し、コミュニティとしての会社でリモートワークを実践しています。
私たちソニックガーデンでは、これからの時代の会社の姿や新しいワークスタイルを広めていきたいと考えていて、そのための手段の一つとして自分たち自身で実践してみるということをやっています。先んじて経験すればノウハウも蓄積できます。
私の経営に対する考え方の一つですが、すべてが実験だと考えて取り組んでいます。「納品のない受託開発」のビジネスモデルも「リモートチーム」のようなワークスタイルも、それが正しいと考えていて、それを証明するために取り組んでいます。
そして経営には到達点はなく、ずっと精進し続けるもので、課題があれば改善し続けなければなりません。そのために出来ることは何でもするし、多少の失敗でやめることはなく、間違いがあれば正して、またトライを続けていく姿は実験そのものです。
ソニックガーデンという会社を、これからの時代における会社のプロトタイプとして実験しているのです。私たちを知ってもらい、自分たちでも出来るかもしれないと思うような人を増やすためにも、アイデアを並べるだけよりも説得力があるはずです。
そんな私たちの取り組みを伝えていく手段の一つが、この「Social Change!」というブログです。そして、もう一つが書籍です。先日、リモートチームについての知見をまとめた本を書きました。これからの新しい働き方のヒントになれば幸いです。
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ソニックガーデン Advent Calendar 2015
今回のソニックガーデンアドベントカレンダーは、採用や教育の話、リモートワークの話、使っている技術の話など多岐に渡ったものになりました。
特に「見習い」と呼ばれている中途採用で一人前の顧問プログラマを目指している人たちによる生の声は、これから応募される方にとって非常に参考になるのではないかと思います。
もしソニックガーデンに興味を持たれたら、以下をよく読んでトライアウトにエントリーしてみてください。皆さまのチャレンジお待ちしています。
それでは良いクリスマスを。