私の出身大学から、会報誌の卒業生の近況報告を伝えるコーナーに載せたいので協力してくれないか、という連絡が来ました。なんとなく、学生時代のことを思い出しながら書いてみましたが、何か会報誌だけに載るのはもったいない気がしたので、こちらにものせておきます。


 立命館大学を卒業して10年が経ちました。立命館の学部、そして大学院と、学生として過ごした6年間よりも長い時間を社会人として過ごしてきた訳ですが、今でも学生時代の頃のことはよく覚えていますし、今の私を作り上げた基礎はやはり、大学での経験だったのだろう、と改めて思います。

 今、私はTIS株式会社の中で、社内ベンチャーを立ち上げて経営者をしています。TISは、いわゆるシステムインテグレーターであり、顧客に情報システムを提供しています。私が立ち上げた社内ベンチャー「SonicGarden」は、TISがまだ取り組んでいない新規事業に取り組むための組織です。

 SonicGardenでは、主にSaaS(Software as a Service)を中心に事業を展開しています。今の主力サービスは、大企業向けの「セクショナリズムの解消」を実現する「社内SNS」である「SKIP」というソリューションです。企業風土の活性化に悩みをもった企業に対し、SaaSとコンサルティングを提供しています。

 私は、SonicGardenの中で経営者として日々、事業経営を行っています。経営の仕事、とはいえ大層なものではなく、少人数のベンチャーなので、できることは何でもやるといったスタンスです。今でこそ、経営者という立場ですが、元々は、学生時代は理系でしたし、入社後もプログラマやシステムエンジニアとして仕事をしてきました。むしろ、プログラミングは大好きで、私にとって天職とも思える仕事だったし、それができるという理由で今の会社を選んだのでした。

 では何故、そんな私が事業経営に従事することになったのか、社内ベンチャーを立ち上げようと考えたのか、その説明には、立命館での学生時代の経験まで遡ることになります。

 大学時代、私は2つのことに没頭した記憶があります。1つは、知り合いの学生が立ち上げたベンチャー企業でのアルバイト。もう1つは、研究室の仲間とともに作って公開したフリーソフトです。

 ベンチャー企業でのアルバイト経験は、私にとって、プログラミングを仕事にすることの楽しさ、クリエイティブな発想を実現する方法、そしてビジネスに対する考え方の基本を学ぶことのできる機会でした。なによりも自分より何十倍も優れた人たちに囲まれて仕事ができた経験は、なにものにも代え難いものでした。

 研究室の仲間と作り上げたフリーソフトは、当時普及の兆しが見え始めたインターネットで公開したことで、日本中のユーザに使ってもらうことができ、しかも、使ってくれた利用者から直接メールなどで反応をもらうことができ、大興奮をしたことが記憶に残っています。反響も大きく、雑誌などで取り上げられ、関連書籍も出すことができました。そこで、自分たちのアイデアでソフトウェアを作りあげること、利用者からの直接のフィードバックを得ることの楽しさを覚えました。

 そして大学院を卒業した後、現在の会社に入り、プログラミングの仕事に従事することになりました。お客様のシステムを作り上げる仕事は、とても学ぶことの多い仕事ではあったのですが、自らのアイデアを実現する仕事とは少し違っていました。そこで私は、その自分がやりたかったことを実現するために、社内で企画を作り提案を通すことで、社内ベンチャーを立ち上げました。自らが経営者の立場になることで、本当にやりたかった仕事を得ることができました。

 こうして、今の私があるのは大学での経験が礎となっています。改めて、そのような経験の場を与えてくれた立命館には感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。