自分にあった会社を選ぶための3つの視点 〜 ビジネスモデル・人数・方向性

自分にあった会社を選ぶための3つの視点 〜 ビジネスモデル・人数・方向性

もし転職するとしたら、選ぼうとするその会社のどこをみるでしょうか?

私が採用応募の相談を受けるとき、その人にとっては転職になる訳ですが、入ろうとする私たちの会社が本人のワークスタイルやライフスタイルと一致しなければ、お互いに不幸なことになりかねません。

採用というのは、会社側が入りたい方を選ぶのと同時に、入ろうとする人にとっても会社を選ぶという意識が大事です。私は、私の会社を含めて、その人が自分にあった会社かどうかを判断してもらう時に、3つの視点があると話しています。

ひとつは、キャリアに影響してくる会社のビジネスモデル。二つ目は、ワークスタイルに影響してくる会社の人数。最後は、ライフスタイルに影響してくる会社の方向性。

これらの視点を話した結果として、もし自分にとって違うということがわかれば、私たちの会社に入ってもらえなくなりますが、それでも良いと思っています。入ってしまって後悔するよりも絶対に良いので、こういったことをちゃんと伝えるようにしています。

この記事では、私の考える、自分にあった会社を選ぶための3つの視点について書いてみます。

 

Freeway ChoicesFreeway Choices / sacks08

ビジネスモデル:どんなキャリアを目指すのか

やはり私のまわりはエンジニアが多いので、エンジニアの方からの相談が多くなるのですが「技術を重視する会社に行きたい」や「マネジメントじゃないキャリアパスのある会社に行きたい」といった話をききます。

そうした場合、どういう基準で会社を選べば良いのでしょうか。社外に情報発信をしている会社?技術書を書いている社員のいる会社?・・・果たして、それだけでわかるのでしょうか?

知っておくべきは、どんなビジネスモデルの会社なのか、ということです。ビジネスモデルというと小難しく感じますが、何を、どんな形で売っていて、お客様は何の対価でお金を払っているか、ということです。

その会社が、どんなビジネスで成り立っているかを知ることは、その会社の中で何が評価されるのかを知ることに繋がります。シンプルな話で、会社においては、その会社に利益になることに貢献ができたら一番に評価されます。

例えばもし、人月計算による一括委託のビジネスをしているとしたら、何をすることが会社にとっての一番の貢献なのかを考えてみると良いでしょう。個人が技術力を持つことはその会社の貢献に直結するでしょうか。

念のため書くと、会社が技術を重視するかどうかに良いも悪いも無いのです。何を重視するかは、会社のビジネスに結びつくことなので、ミスマッチが起きないようにするには、ビジネスモデルを知っておいた方が良いということです。

ScalaだRubyだと特定の技術をやりたいからと言って、それだけで会社を選んでしまうと、その後のキャリアという視点からのミスマッチが起きてしまう可能性が大きいということですね。

その会社が何を売って、何で儲けていているのかを知っておくことで、その会社でどういったキャリアが求められるのかを知ることができます。

 

社員の人数:どんなワークスタイルを望むか

会社の規模というよりも、社員の人数も、自分自身にとって大きな影響を与えるでしょう。

人数の多い会社と人数の少ない会社、どちらも、それぞれに特徴があります。それぞれの特徴を捉えておくことで、ミスマッチのないワークスタイルを実現することが出来ます。

人数の少ない会社では、一人当たりの責任が大きくなります。責任が大きいというのはどういうことでしょうか。ひとりの行動の与える影響が会社全体に及びやすいということですね。もし、とんでもないミスをしたとして、それで会社がつぶれるかもしれない、と思うと責任は大きいですね。だからこそ、やりがいを感じるという人もいるでしょう。

しかし、人数の多い大きな会社では、そういったことはほぼ起きません。ひとりのミスで会社全体が揺るぐなんてことがない規模の会社は、安定していると言えます。今の時代、社会的に見て大きな会社でも安定しているなんてことはない、ということはありますが、個人の影響力と考えた場合、やはり人数が多いというのは安定しています。

また、人数の多い大きな会社の方が、専門的な仕事をしやすいということはあります。多くの人数で、より沢山の成果を出すには役割分担をする必要が出てきます。それぞれで専業で役割を持つことができます。これは小さな会社には出来ません。小さな会社で働くと、色々な仕事を兼任することになりやすいでしょう。

一方で、人数の少ない小さな会社であれば、会社に性悪説にのっとったようなルールやマネジメントは必要ありません。信頼関係の中で一緒に仕事をすることが出来ます。それを幸せだと感じる人は小さな会社の方が良いかもしれません。(小さくてもそうではないという会社もあると思いますが・・・)

こうした大きな会社が良いか、小さな会社が良いか、というのも個人の判断になります。ただし、それぞれにどういった特徴と違いがあるのかを知っておくというのは、望むワークスタイルを実現するのに大事なことです。

 

会社の方向性:ライフスタイルにはあっているか

最後は、自分のライフスタイルに合う会社かどうかを判断するポイントです。

自分の人生にとって「会社に求めるものは何か」ということが、それが会社の目指す方向性と合致していなければ、どれだけやりたい仕事や、働きかたであっても、長続きはしないように思います。それを知るためには、会社の形を見てみると良いでしょう。

例えば、株式公開して上場している会社で働くとなると、毎年の目標は年々あがっていきますから、それなりに大変です。大変ですが、上場しているからにはコンプライアンスもしっかりしていて、ちゃんとお給料も残業代も出ます。

例えば、上場やバイアウトを目指しているようなベンチャーと呼ばれる会社の場合、達成した場合のインセンティブは非常に大きいかわりに、寝る間も惜しんで働くことを求められるかもしれません。

例えば、ソニックガーデンの場合は、短期的な急成長を目指していないので、ベンチャーのような一攫千金を狙う人が来ても、目指す所が違うためご遠慮いただくことになります。

会社の方向性は、自分の人生の戦略やライフスタイルと大きく関わってきます。家族との時間を大事にするのか、経験を積むために自分の時間は犠牲にするのか、それぞれの価値観によるでしょう。その価値観が、会社の方向性とあってなければ辛いことになります。

会社のステージはどこなのか、どういったスピード感で、どこを目指しているのか、を知ることは、とても重要なことです。そのときに気をつけるのは、会社の目標を決めるのは誰なのか、ということです。その会社は誰のものなのか、ということにも繋がります。

もちろん、ここで書いたことは、そういった傾向にあるだろうということで、例外もあると思います。

会社を選ぶ際に、そこで働く社員の話を聞いてみたりして雰囲気で決めることも大事かもしれませんが、それとは別に、会社情報から見て取れる情報からでも、どういった会社なのか色々とわかってくるものです。

働きたい会社とのミスマッチが減ると良いですね。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

ニュースレター

ブログの更新情報や、ここだけの執筆裏話など、3ヶ月に1度のペースでお届けします。

購読する
書影: 私はロボットではありません
倉貫書房の新刊

私はロボットではありません

長瀬光弘 著

「嫌な未来なら変えればいい」

あなたの毎日にも、きっと繋がる。株式会社ソニックガーデン代表倉貫義人のブログ「Social Change!」のノベライズ化第一弾。

BASEで注文する
ページ上部へ