リモートワークの誤解を解く「リモートワークは孤独感を生む」は本当か?

私たちソニックガーデンでリモートワークを始めて早くも3年以上が過ぎ、もはや私たちにとってリモートワークは当たり前の日常になりました。

今回の記事では「リモートワークは孤独感を生む」というよく聞く意見について、私たちの経験をふまえ考えてみました。

リモートワークとクラウドソーシングは違う

多くの人が考えているリモートワークに対する大きな誤解は、「リモートワークをすると孤独感で辛くなる」というものではないでしょうか。

そして、この誤解を生み出した大きな原因は、リモートワークとクラウドソーシングを混同してしまっている点にあると、考えています。

確かに、インターネット越しに仕事の発注と受注が出来るクラウドソーシングと、物理的に離れた場所で仕事をするリモートワークの相性はバツグンです。クラウドソーシングはリモートワークがあるから実現できたのでしょう。

だからといって、リモートワークがすべてクラウドソーシングで仕事をしている訳ではありません。例えば、私たちが取り組んでいる「納品のない受託開発」であれば、会社として受注してチームで共有しながら仕事をしています。

リモートワークでも変わらずチームで働く

私たちにとってリモートワークは「物理的に会う」ことをしないだけで、離れた場所にいながら、これまで通りチームで仕事をすることです。インターネットとモニタ越しではあるけれど、顔も会わせて話をするし、声を出して言葉も交わすし、時に雑談だってします。これまでの働きかたとなんら変わりません。

私たちの場合は、仮想オフィスの”Remotty“という自作のツールでチームワークを実現しています。

今では“Remotty”の画面を開いていることが出社している感覚になっていて、「おはよう」から「お疲れ様」で終わるまで開いています。オフィスにいても”Remotty”を開いているので、リモートの人たちも含めて全員が同じ感覚でいます。

仕事の打ち合わせや必要な時しか繋がないのであれば、個人の作業中に孤独を感じるかもしれませんが、どんなときも”Remotty”を開いたままで、お互いの顔を見ながら仕事をしています。これはオフィスにいるのと同じ感覚になります。

“Remotty”が私たちにとってのオフィスになったのです。

その孤独感は本当にリモートのせいか?

孤独感は、ちょっとした相談がしにくいことや、お互いの近況がわからないことから生まれます。仕事中でも仲間に、気軽に雑談や相談できる環境さえあれば、孤独感は解消できるのです。誰にも頼ることも頼られることもない環境は孤独です。

もしチームで働いていて孤独を感じるときがあるとしたら、それはきっとリモートワークのせいだけではありません。そのチームにおける人間関係に原因があるのでしょう。そして人間関係に問題があるのなら、たとえオフィスで集まって働いたとしても、その孤独感を拭うことなどできません。

また、たとえ仕事で孤独を感じることがあっても、友人や家族との語らいで救われることも多くあります。リモートワークがない時代には、仕事の孤独感を友人や家族が埋めていたのです。もし、そんな友人がいない、家族との時間をとっていないのならば、友人を作り、家族との時間を作るようにしてみると良いでしょう。

あなたの問題なのに、リモートワークを言い訳にしてしまっていませんか?

ホウレンソウ(報・連・相)よりザッソウ(雑談・相談)

これまで、そうした気軽に雑談や相談ができることがリモートでは難しいと思われていました。そこで「やっぱり会わないと孤独になる」と考えてしまうのは思考停止です。私たちは考え続けました。

最初に取り組んだのは、リモートのメンバーとの音声通話を常時接続することでした。しかし、それでは3人以上の場合になったときに音声の混線が起こってしまう問題が出てきました。

次に取り組んだのは、Skypeでの全員参加のチャットでした。しかし、それでは自分に関係のない話題のときも画面に通知されて仕事の邪魔になりました。互いに投稿することに遠慮も出てきました。

そこで、お互いの顔がほぼリアルタイムに見えつつ、個人ごとにチャットできる場がありつつ、お互いの場はオープンに行き来ができる機能をもったツールを作りました。それが仮想オフィス”Remotty”です。

“Remotty”のコンセプトは「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)よりザッソウ(雑談・相談)」です。リモートワークをうまく進めるためのポイントは「雑談」です。

リモートワークを前提として未来のことを考える

リモートワークが日常になったとしても、人と人との関係作りといった本質的なところは何も変わらないのだというのが、私たちの感じているところです。これまでのオフィスワークとの大きな違いは、物理的に顔をあわさず、リモートで顔をあわす、ということです。

なにも物理的である必要がないというパラダイムシフトが起きました。フェイストゥフェイスの意味が変わって、インターネット越しであっても、フェイストゥフェイスと言えるのです。

リモートワークは物議を醸しやすいテーマです。リモートワークには、憧れや批判など様々な意見が出ます。批判は憧れの裏返しのような気もしますが、それはさておき、新しい概念や技術が広まるときに、必ずこれまでの何かが失われることを嘆き残念に思う人もいますが、それでも便利なものは自然と広がっていきます。

そうであるならば、もはやリモートワークは広まっていく前提で、早めに経験を重ねて、その上で何ができるかを考えていくことで未来に進んでいくことができるのではないでしょうか。

適者生存、失うことを恐れないものだけが生き残ることができるのです。

倉貫 義人

株式会社ソニックガーデン代表取締役社長。経営を通じた自身の体験と思考をログとして残しています。「こんな経営もあるんだ」と、新たな視点を得てもらえるとうれしいです。

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