ソースコードの品質を高めるには、どうすればいいか。例えば、最初のうちから、少しずつ、すべてのソースコードを、熟練者によってレビューしていくことだ。一部のソースコードでは駄目で、すべてのソースコードに目を通す。まるで無菌室のように、常にクリーンなソースコードの状態を保ち続けること。
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完成間際になってからソースコードの品質をチェックしても、もはや手遅れになってしまいがち。テストコードがなければリファクタリングもできないし、ヒドいソースコードを直すのは、新しく作るよりもコストがかかるものだ。だからといって仕方ないと妥協すると、誰にも直せないシステムが出来上がる。
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ソースコードの品質は、ビジネスの人間からすると見えないし、すぐに影響が出るものではないために、決まった期日に間に合わせることこそを最重要な課題としてしまいがちだが、それを徹底したときに、将来の過大なコストを負うことになる。納品するビジネスの場合、そのツケは発注側が負うことになる。
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行動の伴わない理想は、ただの妄想であり、理想のない行動は、ただの衝動だろう。ただ、どちらも周りに迷惑さえかけなければ別に悪いことではないが。
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インターネット以前と以後。企業におけるソフトウェア開発の需要も大きく変化してきた。インターネットが登場してから、どんな業種・業界の企業であっても、直接に顧客と繋がることが出来るようになった。それまでの経路をすっ飛ばして顧客に価値を届けられるようになることで、新しい事業も産まれる。
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これからのビジネスマンにITリテラシーが必須になるのと同じように、経営リテラシーを持つと良いだろう。特にソフトウェアエンジニアには、そういうことに無頓着な人が多い気がする。それは別に経営すべきという訳ではなくて、経営リテラシーを身に付けるだけで、自分の会社がどういう会社かわかる。
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アジャイル開発をお客さまに説得するにはどうすれば良いですか?という質問。説得しなければならない時点で既に押し売りになっている。まずは自分たちが誰の何を解決するのかをはっきりさせて、それを求める顧客に伝わるようにすること。そうすれば説得などいらなくなる。それが即ちマーケティング。
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今すぐに自分たちだけではどうにもならないような変えようもない事実について語りあうのは、あまり意味があるとは思えない。未来にどうしていきたいかを共有し、そのために今できることは何かを語りあうのは、有意義に思える。現状を変えようとすることより、理想の実現のためにできることを考えたい。
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生き残るために新規事業を、という話はよく聞くが、もし新規事業がうまくいったとして、既存事業で積んだ経験は活かせないために、社員は入れ替わることになるのではないか。結果として会社という器は生き残るかもしれないが、そこで働く人は生き残れない。だから誰もが自分の頭で考えていくしかない。
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「フルスタックエンジニア」って違和感のある言葉。フルスタックエンジニアを自称するようなエンジニアには出会ったことがないし、自分のスキルを表すのに使いたいとは思わないよね。「フルスタックエンジニア」てのは求める側の言葉であり、エンジニアを高く売りたいキャリア業界の陰謀にすら感じる。
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戦略では「そもそも」がキーワード。難しい状況を作っているのはそもそも何か見極めて、難しい戦局で戦うことを避けて、勝てる戦にしてから戦う。戦術では「とはいえ」がキーワード。与えられた難しい状況がある中で、とはいえ仕方がないので、なんとか最善を尽くして摺り合わせて勝つべく努力する。
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もし失敗したとしても挑戦した結果なら讃えて良いのではないか。何もせずに評論だけしてるよりよほど凄い。しかも諦めずに続けていけるのだとしたら、失敗は経験として血肉となる。しかし、少々の失敗で諦めてやめてしまうような挑戦だったとしたら、それは最初から失敗するべくして失敗したのだろう。
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日本のマーケットが欧米とは違うかどうかは正直わからないけれど、そんなステレオタイプで考えることこそが欧米っぽいかな、と思うし、そんなことよりも、もっとお客様は誰かを見極めて、それぞれのお客様の困っていることの解決にフォーカスした方が良いと思う。ステレオタイプで見ると見失うかもね。
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フリーランスや、これから独立を考えている腕の立つエンジニアたちが、「自由」な立場のままで、自分の「得意」なことで貢献できて「安定」した報酬を得つつ、「素敵」なお客様と「楽しく」仕事ができ、切磋琢磨できる「仲間」に囲まれ、将来の「安心」も得ることができる、そんな場を作っていきたい。
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また、腕に自信があって独立したくても、商売が出来ないことを不安にフリーランスに踏み出せない人も多くいるだろう。もしかすると、そのせいで優秀な才能が、どこかに埋もれてしまうことがあるとしたら、もったいないことだ。その状況はクラウドソーシングで変わる可能性もある。それ以外も考えたい。
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フリーランスに求められるのは、ただ腕が良いというだけでは駄目で、少なくとも自分自身を売ることのできる商売の力が必要になる。人脈で仕事を見つけることも手かもしれない。ただ下手をすればいいように使われてしまうし、特にエンジニアは商売が下手な人が多い気がする。それは非常に惜しいと思う。
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私は幸い風通しの良い会社で、上司や先輩や仲間にも恵まれ、それ以来ずっと独立も転職もせず、今の会社を起業するまで同じ会社で仕事させてもらった。しかし人によっては独立を選ばざるをえない状況もあるだろうし、辞めた方がいい会社もあるかもしれず、そうしてフリーランスになった人もいるだろう。
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そこで気付いたことは、自己評価では仕事に価値はなく、仕事とは相手にとっての価値であり、その価値を届けられることを、対価を払ってくれる人に気付いてもらわなければ、存在していないに等しい、ということだ。それが出来なければ、フリーランスになっても会社員でいても結局は駄目だということだ。