2月27日に、島根県の主催するビジネスセミナーに参加してきました。私は、パネルディスカッションの司会として呼んで頂きました。

ビジネスセミナー「新規事業の成功率を高める手法 」 ~ムダのない、市場の変化に対応できるマネジメント理論~

登壇者は、リーンスタートアップの日本での第一人者である Lean Startup Japan LLC の和波さん、リーンスタートアップを実践している企業であるクックパッドの橋本CTO、そして、リーンスタートアップの元になった顧客開発モデルを紹介した「アントレプレナーの教科書」の堤さん、という豪華なラインナップでした。

この登壇者を揃えたリーンスタートアップのイベントは、これまで日本でもなかったんじゃないかと思うのですが、島根の松江で開催されたのは画期的なことだと思います。関係者の皆さんの熱意の賜物ですね。

豪華な登壇者の皆さん

和波さんのリーンスタートアップ入門のプレゼンは、非常に明快でわかりやすいものでした。「計画しただけでは、事業が正しいかどうかはわからない」というスタンスで、実行してフィードバックを得て変えていくことの重要性を訴えています。とても良い切れ味でした。

クックパッド橋本さんのプレゼンは、クックパッドの社内で行われている新しい機能やサービスの生み出し方について、事例を用いて紹介して頂きました。非常に参考になったのは、仮説構築の方法でした。

仮説検証を非常に重視されることもあり、まずは紙上で仮説を書き出すことから始めるそうで、その仮説構築のフォーマットが非常に優れていると感じました。詳しいことは書けませんが、新しいことに取り組む際の仕組み化がしっかり出来ており、そうした仕組みを創り出す文化を作ったことが素晴らしかったです。

仮説の検証も、機能を作らないで済むなら作らないし、作っても少しずつ本体に取り込み、一部ユーザで試していくということをされています。そのときに使っているのが、クックパッドさんがオープンソースで公開されているChankoですね。

堤さんのプレゼンは、「リーンスタートアップ=顧客開発+アジャイル開発」ということで、顧客開発のための実践方法について説明して頂きました。新規事業のアイデアの思いつきは大体が間違いで、お客さんに話を聞いて初めて間違いに気付くため、早く聞いてくることが大事。

そして参考になったのは、そのお客さまにニーズを聞いても答えは返ってこないので重要なのは「ニーズではなく、そのメカニズムの存在を確認する」という話でした。そこの本質を掴まないと、表面的な解決策となり、お客さまには購入して頂けません。簡単そうで難しいですね。

堤さんの講演資料はこちらです。

パネルディスカッション

私が司会を務めたパネルディスカッションでは、こちらのテーマ「不確実な市場で成功するために、いま必要とされるものは」で、USTの放送なしで、ぶっちゃけた話をしてもらうため、かなり突っ込んだ質問もさせて頂きました。

今回のスタイルは、各自のプレゼン中に、聴講者の皆さまの手元に用紙を用意しておいて、感想や質問があればそれを書き込んで頂いて、休憩中に、その紙を集めて、パネルの壇上で公開質問するという形にしました。

こうすることで、通常の質疑応答にしてしまうと躊躇して質問出来ない人の質問も拾うことが出来ますし、限られた時間を有効活用することができます。

「最初の顧客の見つけ方」や「フィードバックループをまわすときの測定の仕方」などといった具体的な話から、「現場でのカスタマイズのポイント」や「最適なチームの人数」、「新規事業を生み出すためのリーダーのあり方」といった話を聞かせて頂きました。

イベントを通じて感じたリーンスタートアップ実践のポイント

当初、イベントを通じて参加者の皆さんに知って頂きたいことを考えていたのは、新規事業や新しいサービスや市場の開拓のためには「小さく失敗することの大事さをわかってもらう」ということでした。

しかし、登壇者の皆さんの講演と、パネルディスカッションを通じて感じるようになったのは、「失敗を失敗と捉えずに学習と考えること」ということです。失敗や間違いと言ってしまうと、途端にそれを認めたくなくなります。そうではなくて、それは学習の過程な訳です。

そこで考えたのですが、小さな失敗を積み重ねても駄目だということです。積み重ねるべきは成功した事実であって、少しずつ成功させていって、大きな成功になるのではないでしょうか。小さな失敗よりも小さな成功の方が大事です。

そもそも、やったこともないにも関わらず最初から大きなことをしようとすると、難しいに決まっています。そして、うまくいかないのも間違いないでしょう。まずは小さく試してみて、うまくいったら、少し大きくして試してみる、ということが大切なのでしょう。

先日、講演で話を伺ったライフネット生命の出口社長のお話でも、テレビCMをうつにあたって、最初は非常に限られた地域で試して、うまくいったら、それを拡大していったというエピソードがありました。どんな経営も、そうやって少しずつ試していくのだろうな、と思います。

小さく試してうまくいったら、少しずつ大きくしていく。そんな当たり前のことを、新規事業をやろうとするときになると、ついつい忘れてしまって、大きな事業計画を書いてしまいがちになりますね。

大事なことは、まず小さな成功を掴むこと。そして、小さな成功を積み重ねていくことで、大きな成功に辿り着くことができるのでしょう。それまでうまくいかないことがあっても、それは失敗ではなく、学習だと考えられるんですね。

これって新規事業に限らず、どんなことにも言えそうです。そういう小さな成功のためにチャレンジできる企業文化をつくっていきたいと思いました。

そして、本当の失敗というのは、何もしない、ということではないでしょうか。

Small stepsSmall steps / Håkan Dahlström