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「イノベーションのジレンマ」で有名なクリステンセンによるビジネス論ではなく、人生の指針や目的を再確認させてくれる論文です。

彼がハーバード・ビジネス・スクールの卒業生に語った言葉で、もともとはハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文だったものを、抜粋して電子書籍にしたもの。だから分量も短く、30分ほどでサッと読むことができます。

マネジメントの本当の価値

ビジネススクールでビジネスや経営論を教えているクリステンセンが、最後にするのは、人生の目的を考える3つの質問というのが興味深い。その3つの質問について、経営の理論で学んだことを活かして考えてみようというのです。

もっとドライにビジネスを語るのかと思いきや、なぜ経営を学ぶのか、マネジメントに取り組む意義は何かを語っていることに大いに驚きます。契約をまとめることよりも、人を育てることのほうが喜びが大きいと彼は主張します。

マネジメントをうまくすれば、人のプライベートひいては人生までも幸せにすることができるという視点は、わかってはいたけれど、改めて大事な仕事なんだと実感させてくれました。

マネジメントとは、正しく実践すれば、最も尊い仕事の一つである。人が学び、成長し、責任を担い、成果を認められ、チームの成功に貢献することを、これほど多くのやり方で手助けできる仕事はほかにない。

人生の戦略を考えるヒント

経営の戦略を考える上で大事なことは、資源をどのように割り振るのか、ということで、その考え方は、人生の目的を考えることにも応用が効くといいます。

クリステンセンが学生の頃に、研究に没頭しても、毎日1時間は人生の目的について考える時間を取ることを貫き、その結果、その目的にたどり着くことができたのです。この時間を取らなければ、もっと空虚な人生になったに違いない、と。

これはとても良く分かる逸話です。大事なことに時間をどう使うか、ということ。目の前のことだけに時間を使いすぎるのは、その時はよくても後になって後悔するものです。

職業を選択し、その仕事で成功することは、自分の目的を達成する一つの手段にすぎない。しかし、目的がなければ人生は空虚なものになりかねない。

謙虚さを持つ人は、高い自尊心を持つ人である

私がこの本にたどり着いたのは、謙虚さと自尊心の関係について調べていたからです。謙虚でいたいと思う気持ちと、卑屈な態度や行動をとるのではなく、どういった心持ちでいればいいかを知りたかった、その答えが載っています。

自分自身のことを本当に満足している人間のみが謙虚になれる、として、自分が満足していれば周囲の人たちも満足できるように手助けしたくなるという話には、膝を打ちました。

謙虚さの前提には、自分が何者なのかを知って受け入れること、そして、他者を尊敬する気持ちを持つこと。謙虚に常に他者から学ぼうという姿勢でいれば、学習の機会は無限にあるのです。

自分がどれだけ高い名声を得られたかに気をもむことはない。そうではなく、どれだけ他者がよりよい人間になるよう助けたかを気にすべきなのである。

本書を最後まで読むと、そのアドバイス「正しい物差しを選ぶ」は誰にとっても役にたつ人生の指針になることでしょう。詳しくは本書の中で。