「ふりかえり」は、プロジェクトや職場において継続的な改善をしていくための取り組みのことだ。もともとはシステム開発の業界で始まったものだが、最近では別の業界での試みも始まっている。特に現場の業務改善する場面に有効だ。

ふりかえりで有名なメソッドが「KPT」。KPTは、Keep/Problem/Tryの略で、非常にシンプルだが強力な手法だ。まずは、このメソッドに従って始めると良いだろう。

本稿では、ふりかえりのやり方「KPT」について、私たちがやっている方法について書いた。(もし公式があるのなら違うかもしれない)

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KPTの基本。目的と対象について

KPT(私たちは「けぷと」と呼んでいる)は、仕事やプロジェクトの進め方の見直しをするために、「Keep=よかったこと」「Problem=悪かったこと」「Try=次に試すこと」の項目に分けて考えるやり方だ。

KPTでは、基本的に仕事の内容について話はしない。仕事やプロジェクトの進捗については、別の会議や朝会などで行えばいい。KPTで対象にするのは、仕事の進め方だ。やり方そのものを見直すことで、次の成果をより良いものにできる。

KPTは、定期的に実施すると良い。プロジェクト終了後では手遅れになる。いつやっても良いが、慣れないうちは週に1度か、同じメンバーでのプロジェクトなら毎日夕方など時間を決めてやるのも良いだろう。

なぜKPTをするのか?ゴールについて

なぜKPTをするのか。仕事の進め方で未熟なところがあって、上司や先輩がいるのならば指導すれば済むことではないか。しかし、それでは指導されなくなったら、そこで改善が止まってしまう。

進め方の見直しはどこかで完成して終わることはない。指導されることがなくても、自律的に改善していけるようになるには、自分たちでやってみるしかない。自分だけでも「ふりかえり」ができるようになるために、「ふりかえり」をするのだ。

最初はKPTを使って定例でやるのが良いが、最終的にはKPTのフォーマットに頼らず、仕事の区切りなどで自然とできる状態になることだ。そうなれば、自律的に改善できるチームにもなっているだろう。

「ふりかえり」さえできるのならば、多少の失敗や下手をうったとしても構わない。たとえ外的環境が変わっても、対応していける。正解のない世界を生きていくための大いなる武器になってくれるに違いない。

KPTをする人数・時間・道具について

KPTは主にチームで実施する。同じテーマやプロジェクトのメンバーでやると良いが、多くても6人くらいが望ましい。それ以上になると、一人当たりの話す時間が短くなって、満足いく内容にはならない。

どうしても関係者が多いなら、仕事の種類ごとに開催を分けても良いだろう。

KPTにかかる時間は、1時間以内、長くても1時間半程度が望ましい。ふりかえりに時間をかけすぎて仕事ができなくなるのは本末転倒だ。それも参加人数によるため、人数を少なくするのがシンプルな解決方法だ。

短い時間で終わらすために、参加者は事前に「Keep」と「Problem」はあらかた考えてくるのも良い。普段の仕事の中で気づいたことをメモしておくと、準備がいらなくなる。「Try」は参加者全員で考える方が良い。

道具は、ホワイトボードさえあれば良い。最近では、ディスプレイに映してメモ帳に書き込んだりもする。文字情報がほとんどなので、タイピングした方が効率的だし、画面共有をすればリモートワークにも対応できる。

KPTの進め方(1)KeepとProblemを出す

最初に「Keep」と「Problem」を出す。どちらからでも良いので、気にせずに同時に出していけば良い。誰か書記がいると良いだろう。

「Keep」は「よかったこと」と訳すため、「褒められてよかった!」「うまく進んでよかった!」といった感情を挙げてしまいがちだ。それはそれでチーム内で賞賛し合って良いのだが、より良いのは「取り組んでよかったこと」を出すことだ。

KPTをやった後に、その良かった取り組みは続けた方が良いから「Keep」なのだ。であれば、感情よりも取り組みに注目したい。

「Problem」でも、「進捗が遅れている」「xxにつまづいている」といった現在の状態について挙げてしまいがちだ。進捗をなんとかするのは、通常の仕事の話なので、別途、関係者で対策を考えたほうが良い。

「Problem」も、やってみてうまくいかなかった取り組みに注目すると良いだろう。

KPTの進め方(2)Tryをメンバーで議論する

「Keep」と「Problem」は個々人で感じたことを出していく。出しきったところで、チーム全体で見て共有していく。よくわからないところがあれば、質問などをして、互いの認識を合わせよう。

その時点で、ある人にとって「Keep」だったことが、別の人にとって「Problem」になったり、その逆もある。そうなったら、チーム内の認識を合わせていくチャンスだ。議論していくことで、チーム内の共通の価値観が明らかになってくる。

そして、その参加者全員で「Try」を考えていく。闇雲にアイデアを出すよりも、せっかく出した「Problem」を解決できるように考えていくと、議論が発散しなくて良いだろう。

「Try」も、ともすれば「xxについて気をつける」「もっと頑張る」みたいな内容が出てしまう。しかし、これはあまり良い「Try」と言えない。気をつけてできるなら苦労しないし、頑張るなんてただの根性論だ。

たとえば、「成果物にミスが多い」といった問題があるならば、「提出前に同僚に見てもらう」という仕組みを入れた方が、「次から気をつける」よりも良いだろう。

KPTをうまく進めるために

KPTを始めたばかりの頃は、うまくいかないことも多いだろう。プロジェクトの開始直後など、チーム内の関係性ができてないうちにKPTをやろうとしても、心理的安全が足りずに意見が言いにくいこともある。

だから、慣れないうちはファシリテーターのような進行役を置くのも良い。

また、他の人の意見に引っ張られて、同調した意見しか出せなかったり、異論が言いにくくなることもある。そうした状況には、いきなり「Keep」「Problem」を参加者の前で出すのではなく、一旦、手元のポストイットなどに書き出す時間をとって、それを貼り出すのも良いだろう。

なによりも、「KPT」に決まった方法などないのだから、その「ふりかえり」の手法すらも、ふりかえって見直す機会を作れば良い。自分たちに馴染んだ方法を見つけていくのも、ふりかえりの内なのだ。恐れずに変えていこう。

本ブログの「ふりかえり」記事まとめ

具体的な進め方を写真つきで: 自律的に現場を改善できるチームをつくるための「ふりかえり」の進め方 〜 KPTと進め方のノウハウ

「Keep」と「Problem」を出す際に陥りがちなパターンと対処法: ふりかえりで初心者が陥りやすい落とし穴 〜 性格も実力も急に変えられないが行動は改善できる

「Try」を上手に出したい時に: 「ふりかえり」を効果的にするための実践的なトライの出しかた 〜 TRYを掛け声で終わらせない

ふりかえりを教育に活用する応用編: 自律的に動ける人を育てるためにワークレビュー(ふりかえり)でメンターが気をつけていること

教育でKPTを使う効果とは: ふりかえりのレビュー(ワークレビュー)の目的 〜 会社が無くなっても生きていける人材になる