12月にひとつも記事を書かずに終わってしまいそうなので、2013年をふりかえって書いてみます。
2013年前半
2013年の前半の最初のトピックスとしては、ソニックガーデンに新しいメンバーを迎えたことがあります。若干19歳(当時)の元恒と、起業経験のある遠藤の2名です。少ない人数でやっているソニックガーデンで、2人が入るということは、それなりのインパクトです。ソニックガーデンにどういった変化をもたらすのか、カルチャーは維持できるのか、いろいろと不安な面もありましたが、今ふりかえってみると、彼らはジョインしてくれたことで良い影響を与えてくれたと思います。
ソニックガーデンとしては初のiPhoneアプリで、コンシューマ向けのサービスとして「Sakenote(旧SakeLover)」のローンチを行ったのも、2013年4月でした。ローンチしてまだ1年経ってないことに、ふりかえって少し驚いています。iPhoneアプリに続き、Androidアプリも出し、プロモーション活動も続けています。Sakenoteチームにも新しいメンバーが増えて、プロモーションやイベントに力を入れてきました。これからも継続し拡大していこうと考えています。
社員が増えたことで、これまでよりも多くのお客さまとお仕事をさせて頂くことができるようになりました。ありがたいことに「納品のない受託開発」のお客さまも順調に増えて、これまでの経験を活かすことで、案件の進めかたもより洗練されてきました。また、これまでお付き合いさせて頂いたお客さまや、新しいお客さまとの話をしていく中で、「納品のない受託開発」は、スタートアップや新規事業にとてもフィットするものだという発見もありました。そこで、新規事業を支援する「納品のない受託開発」というメッセージに、よりフォーカスをしてウェブサイトのリニューアルを行いました。
社員とお客さまが増えると、会社のオペレーションも増えることになります。それに対して、これまで副社長ひとりの体制だった会社のオペレーションを、チーム化して対応することにしました。ただ人を入れてチームにするのではなく、テクノロジーとアイデアで解決しようと考えました。IT企業出身のママさんたちで構成されたこのチームと新しい働きかたについては、いつかブログで紹介したいと思います。
ソニックガーデンの一つ一つの事業については、私が陣頭指揮をとることを控えるようにシフトしてきたのも、2013年前半です。プロダクトオーナーの仕事は楽しいのですが、楽しいことだけを続けても成長はない、ということで、新しいことに取り組むために現場に任せるようにしました。その新しいこと、というのは、2013年後半で発表することになる、ジェニュインブルーの設立と、ソニックガーデンギルドです。
2013年前半の私個人の活動としては、それらの準備期間として取り組んできました。ギルドというソニックガーデンにとっての新規事業をゼロから立ち上げるため、様々な関係者の皆様との話や、新規顧客の開拓のためのヒアリングなどに取り組みました。リーンスタートアップと言えば、そうですが、やはり形を作り上げてから市場に出すのではなく、ひとつひとつ具体的にしつつ、実際に関係してくれる人たちと話をしていくことこそが、新しい事業を生み出すために必要なことだと気づきました。
そして、ジェニュインブルーです。越川さんという非常に優秀な技術者であり、しっかりした経営センスを持った方と出会ったことで、新しく会社を起こすために具体的に動き出し、新規顧客の開拓等を行いつつ半年以上の準備期間を経て、起業しました。私としては、ソニックガーデンを設立したとき以来のワクワクした気持ちを持ちました。
2013年前半で、ソニックガーデンとしては2期が終わりました。2期目も、1期目に引き続き黒字で終えることができ、お客さまにも、パートナーの皆さんにも、社員のみんなにも感謝です。ありがとうございました。一番の感謝は、働く社員を支えるご家族だろうということで、社員とそのご家族の皆さんを招待して一緒に社員旅行に行けたことが出来たのも良い思い出になりました。
2013年後半
2013年の後半となる7月から株式会社ソニックガーデンは3期目に入りました。2012年の振り返り記事にもあったように、ソニックガーデンという会社だけを見れば、ある意味で完成形であり、私がいなくても回るようになりつつありましたが、その次のステージにいくための準備をしてきたのが、2013年の前半だとすれば、それが一つずつ芽を出し始めたのが、2013年の後半でした。
3期目に入ってすぐに、ソニックガーデンのオフィスの移転を行いました。メンバーが増えたことで働く場所が手狭になったことと、お客さまが増えるとともに、打ち合わせが増えてきたため、移転せざるを得なくなりました。これまで何度か1年足らずで移転してきたこともあるので、次はせめて2年はいれるような少し大きめのところに移転をすることにしました。それが今のオフィスです。新しいオフィスは、コワーキングスペースのような雰囲気に設計を行いました。新しいオフィスでは、以前からやってみたかった「まかないランチ」を始めました。
そして、8月に入って発表することが出来たのが、「ソニックガーデンギルド」です。「納品のない受託開発」を3年ほど続けてきて、このビジネスモデルを望んで頂くお客さまがいることもわかり、このビジネスモデルで働くエンジニアはやりがいをもって働いていて、私の望んだソフトウェア開発の理想に近い形を実現できつつあると感じており、この「納品のない受託開発」を広めていくことが私のミッションのように思うようになりました。しかし、私たちソニックガーデンでは、急成長をしない小さなチームであることが大事なカルチャーだと考えていて、そこにジレンマがありました。
このジレンマを解消するために、「納品のない受託開発」というビジネスモデルをオープン化して、広くソニックガーデン以外の会社でも出来るようにしていくことで、ビジネスモデルを広げることが出来るのではないか、と考えたのが「ソニックガーデンギルド」という仕組みです。公開してから、非常に多くの反響とお問い合わせを頂きました。その中から次の段階に進む方たちが出てきています。こちらも、近いうちにまた発表できることと思います。
「納品のない受託開発」のお問い合わせも、変わらず沢山頂いていて、AsMamaさんの事例を出させて頂いてから、より一層多くのお問い合わせを頂くようになりました。事例を通じたお客さまの声というのは本当にありがたいですね。多くのお問い合わせについて、一つ一つ対応させて頂くのですが、いつのまにか、そこのボトルネックが私のところになってしまっていました。私がいなくても会社が回るようになってはいたはずが、新しい案件を生み出すところだけは、私が必要だったのです。必要とされる場があるのは嬉しい反面、これでは次のことに取り組めなくなってしまうため、2014年からは自分からその仕事をはがしていくことをしなければならないと思っています。
ジェニュインブルーでは、新しいメンバーが参加する準備を始めつつ、価値観やビジョンを考えながら、新しいサービスも始めつつあります。まだプライベートな状態の新サービスですが、ジェニュインブルーらしい非常に面白いインターネットのサービスになりそうで、今後に期待です。ジェニュインブルーのように、私が社長をするのではなく、ギルドではあるけれど、会社として別にしたことで、その会社のカラーで面白い発想が出てくるのは、とても良かったことだと思います。
2013年は講演も多数させて頂きました。メディアへの露出も多かったので、多くの方に注目して頂けたようで嬉しく思います。今はまだ実績が数多くある訳ではないので、多少注目されたからといって浮かれることなく、そもそも地味な仕事だと思うので、これからもじっくりと仕事を通じて、より多くのお客さまやエンジニアに価値を届けていきたいです。地方での講演も多く呼んで頂けましたが、地方に行った際は講演+観光のセットでいくのが良いな、と愛媛の松山ツアーで思いました。他のところでも、ぜひ呼んでください。
そして、2013年の最後に、ソニックガーデンにもまた新しいメンバーがジョインしました。在宅でのリモートワーク2人目となる野上です。岡山在住で、働くのも岡山の自宅になりますが、ソニックガーデンには既に前例もあることから、リモートワークに対して抵抗も無く始めることができました。2014年、彼がジョインしたことで、ソニックガーデンにも新しい何かが生まれるのではないか、と期待しています。
2013年の後半は、人が増えたこと、案件が増えたこと、事業も増えたことで、非常に忙しくなりました。そんな中でも組織のカルチャーを守りつつ、全員での情報を共有しつつ、一人一人がチャレンジをしていけるようにする、という組織作りに苦心している毎日です。2014年は引き続き、組織のあり方と広がり、カルチャーの維持と変化について考えていくことになるでしょう。
2012年の振り返り記事では、私がいなくなっても回るように、と書いたはずですが、それについては残念ながら、まだまだ出来ていません。ギルドを通じて実現したい思いが大きくなったからかもしれませんね。2014年の抱負はまた改めて。
では、良いお年を。