とあるきっかけがあり、20年前に読んだ本「調理場という戦場」を引っ張り出して再読。やはり良い本だった。
当時は20代の後半で、少し仕事はできるようになった一方で、会社員として働いて、将来どうなるのか、どうしたいのかもわからずにいた頃に読んで、とても勇気づけられたことを思い出した。
自分の思いに真っ直ぐ、小賢しくならず、だけど愚鈍にもならず、自分の頭で考えて、だけど先達からは素直に学ぶ。そうして、ひたすら技術に向き合うことで、辿り着く先があることを知った。
その頃は仕事そのものが楽しかった記憶はなく、仕事で何かを達成したり、できることが増えることに楽しく感じることはあったけれど、それよりも、もっとできるようになることに必死だった。
料理とプログラミングに違いはあるけれど、技術に向き合う仕事人の姿勢には、なんら違うところはないと思う。どんな職業も、まずは技術に没頭し、突き詰めるところから。それが共通点かも。
プログラミングやソフトウェア開発の技術とプロセスにこだわりぬくことは、私たちにとっては大事にしていきたいことだし、そこに共感する人たちと働きたいのだ、と再認識することができた。
改めて読んでみて、当時とは少し違う視点で感じる部分もあるのは、この著者の方の立場や年齢に近づいているからだろうか。今の自分には、若い人たちに伝えられる言葉は持っているだろうか。
それは私なりに伝えていきたいし、今うちで働く若い人たちにとって、ここは厳しいけれど人生にとって得られるものが大きかったと後になって思える場を作っていければ、経営者として本望だ。
若い人たちに教えると同時に、私自身にも学びがあり、刺激をもらえて、まだまだ真摯に向き合える仕事があることに喜びを感じる。社員の誰もが、そんな風に思えるような会社にしていきたい。
いつか、こういう本が書けるようになりたいな。